ポータブル赤道儀
大学1年の時に、ガイド撮影のためのポータブル赤道儀を作りました。
極軸はネジを切ってある太い金属棒を用い、テーパーローラーベアリングに通してナットで止める構造にしました。
この極軸を、木製のロック機構を介して微動装置(部分微動)で動かします。
これで日周運動に合わせて、手動でガイドできるはずです。
夏合宿に持って行って試してみましたが、使い勝手が悪くてだめでした。
まず、極軸を合わせられたかどうかの確認ができません。
また、ガイド望遠鏡にガイド星を導入するのがとても大変です。
極軸望遠鏡で極軸を合わせて、モータードライブで自動追尾する、という形態が必須だと痛感しました。
TS式40mm屈折赤道儀H型
ポータブル赤道儀の自作をあきらめて、高橋製作所のH型赤道儀を購入することにしました。
板橋区蓮沼まで行きましたが、4年前に行った時とは違って、立派な建物になっていてびっくりです。
最初はカメラ用の三脚に載せていたのですが、翌年に専用の木製三脚を購入しました。
3.5Kgの重量と、極軸望遠鏡の内蔵が魅力です。
ポータブル赤道儀なのにドイツ式を採用しているのは、高橋製作所らしいところでしょうか?
極軸望遠鏡は照明装置が無いので、ボリューム付きの電池ボックスを作って、豆電球で照らしてやりました。
その豆電球は、次にガイド鏡の前に差し込んで、明視野照明として使います。
幾つか使いにくい点がありました。
まず、極軸調整用の微動装置が無いことです。
極軸部分を左手で持ちながら北極星を導入して、右手に持った六角レンチでナットを締めるという作業を強いられました。
また赤緯軸に微動が無いので、ガイド星を導入するのが大変です。
写真のように、まず25mm程度の接眼レンズでガイド星を導入し、クランプを締めます。
次に、バローレンズと天頂プリズムを挿入し、焦点距離の短い接眼レンズに代えます。
バローレンズは天頂プリズムと組み合わせないとピントが合いません。
クランプをそっと緩めて、ガイド星が中央にくるように動かして、クランプを締めるという作業が強いられました。
今から思えばかなり厄介な作業ですが、何度もやっていると慣れてくるものです。
それよりも、持ち運ぶことのできる機材が手に入ったことが嬉しかったです。
当時は、機材一式とシュラフや防寒具等を背負子(しょいこ)に積んで、電車やバスで出かけていました。
標準レンズや広角レンズはもちろんのこと、135mmの望遠レンズでも手動ガイドで撮影できます。
先日ご紹介した「103aEフィルムでの星野写真(35年前の星空)」は、この赤道儀で撮影したものです。
当時はまだモータードライブが無かったので、手動ガイドです。
その後、念願のモータードライブを購入しました。
でも、20年ほど天文から離れてしまい、この赤道儀も休眠状態でした。
1996年に、百武彗星というモンスター彗星が突然やってきます。
ブランクが長すぎて、固定撮影しかできず、悔しい思いをしました。
でも、すっかり天文少年?に戻ってしまって、、、。
天文写真を再開し、この赤道儀はヘールボップ彗星の序盤戦まで頑張ってもらいました。
久しぶりに引っ張り出して組み立ててみましたが、やはり高橋製作所の製品は良いなあ。