2019.06.17 Monday
動物愛護法の改正
先日、国会で「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)」の改正案が可決成立しました。
動物愛護法は5年毎に見直されますが、今回も議員立法でした。
議員立法は全会一致が必須なので、玉虫色で骨抜きの内容になってしまうことが多いように感じます。
それでも今回は「愛護と管理」に向けて幾つかの部分で踏み込んだ内容になったようです。
内容を適切にまとめたものが見つからなかったので、衆議院のWebサイトから資料をお借りしました。
改正の大きなポイントは以下の3つでしょうか。
・出生後56日(8週)たっていない犬や猫の販売を原則禁止
・動物虐待の罰則強化
・犬・猫へのマイクロチップ装着義務化
(1) 出生後56日(8週)たっていない犬や猫の販売を原則禁止 (8週齢規制)
現行法にも同じ規定はありますが、ペット業者らの強い要望によって、経過措置として「49日(7週)」とされていました。
今回はその附則がやっと外されました。
ただし、伝統的な飼育方法が確立されている「天然記念物として指定された日本犬(6種)」は対象外となりました。
聞くところによると、日本犬保存会と秋田犬保存会の会長さんはそれぞれ国会議員だそうです。
(2) 動物虐待の罰則強化
インターネットに犬や猫の虐待動画を投稿するなど、悪質なケースが後を絶ちません。
動物虐待罪の厳罰化が抑止力になれば良いのですが、、、。
でもそのためには、逮捕・起訴・処罰が速やかに行われることが必要ですよね。
(3) 犬・猫へのマイクロチップ装着義務化
チップ装着を義務付ける対象は、犬・猫の販売を目的とした繁殖業者(ブリーダー)などです。
マイクロチップの装着と所有者情報の環境相への登録が義務付けられます。
登録された犬猫を購入した飼い主には、情報変更の届け出が義務付けられます。
なお、一般の飼い主から譲り受けたり、既に飼育していたりする場合は、努力義務となっています。
更なる課題
ブリーダーやペットショップなど、営利目的で動物を繁殖させたり展示販売したりするのが「第1種動物取扱業」です。
今は「登録制」になっています。
しかし、悪質な業者に対しても、行政には強制的な立ち入り権限がありません。
そのためか、実際に業務停止命令や登録取り消しが行われることもほとんどないようです。
これには、より行政に権限のある「許可制」導入が必要なのではないでしょうか?
多頭飼育崩壊
業者ではなく個人でも大きな問題を引き起こす場合があります。
繁殖の繰り返しで徐々に数が増えて、それにつれて劣悪な環境になって、にっちもさっちもいかなくなってしまうケースです。
現行法では「飼育禁止命令」ができず、多頭飼育など不適切な飼育を続けることができてしまいます。