2018.06.08 Friday
星野写真(60Da、100mm) さそり座領域1
60Daと100mm中望遠レンズによる星野写真シリーズです。
メシエ天体(全て),カルドウェル天体(一部),その他の面白そうな散光星雲や暗黒星雲、が対象です。
この「さそり座領域1」には、以下の天体があります。 (※ 領域名は私が勝手に付けています。)
・M4(NGC6127) : 球状星団
・M80(NGC6093) : 球状星団
・IC4603 : 散光星雲
・IC4604 : 反射星雲
・IC4605 : 反射星雲
・IC4592 : 反射星雲(青い馬星雲)
・B : 暗黒星雲(Barnard Catalogue)
・Sh : 散光星雲(Sharpless Catalogue)
撮影日時 : 2014/04/05 02:56〜 240sec×17枚
撮影場所 : 山梨県・みずがき湖 気温は約-1℃
撮影日時 : 2018/05/19 23:00〜 180sec×30コマ
撮影場所 : 山梨県・みずがき湖 気温は約+8℃
カメラ : EOS 60Da (ISO1600、RAW)
フィルター : 無し
レンズ : EF100mm F2.8 Macro (F4.0)
赤道儀 : EM11(ノータッチ)
処理
・RAP2 : ダーク減算、フラット補正
・CameraRaw9: Raw現像
・DSS : コンポジット
・StellaImage6.5 : デジタル現像、Lab色彩強調
・Photosop CC : コントラスト調整、色合い調整、等々
・FlatAidePro
・Nik Collection (Dfine 2)
空の暗さ(CD)、透明度(C)、フォーカス(B) 5段階評価 2014/04/05
空の暗さ(DE)、透明度(C)、フォーカス(BC) 5段階評価 2018/05/19
StellaNavigator での写野 (恒星は9.5等まで、星雲星団は12.0等までを表示)
”アンタレス” 付近は赤黄青といろいろな色の星雲が重なっていて、「カラフルタウン」と呼ばれています。
「青い馬星雲(IC4592)」も入れたかったので、縦構図にしてみました。
この領域は光り輝く星雲だけでなく、暗黒星雲のうねうねした様子も魅力的です。
しかし地平高度が低くて、”アンタレス” の南中高度は30度に届きません。
私の撮影地はどこも南の低空は甲府盆地の街明りの影響を受けてしまうのですよね。
さらに青い星雲の写りは空の透明度の影響を強く受けてしまいます。
そのためになかなか撮影のチャンスが巡ってこないのです。
この日は月が沈むのが23時少し前で、薄明が始まるまで4時間ほどありました。
2対象を撮影できそうですが、最初は何を狙いましょうか?
昇ってきたさそり座のはさみの星が肉眼でもよく見えたので、南側の空の透明度もまあまあのようです。
という訳で久しぶりに「さそり座」を撮影することにしました。
22時半頃から撮影を始めましたが、23時頃から0時半頃までに撮影した画像を使いました。
”アンタレス” が南中するのが0時半頃でしたので、南中前の撮影になったわけですね。
この日は夜半を過ぎてから空の透明度がかなり良くなっていったので、
結果的には撮影を後ろにずらしたほうが良かったようです。
でもそうすると1対象しか撮影できなくなるので、悩ましいところです。
2014年に撮影した画像も使って処理しました。
それぞれをコンポジットしてグラデーションマスクを使ったかぶり補正を施してから、明るさを合わせてコンポジットしています。
それからは通常の処理で仕上げています。
それぞれの構図がずれていたので、長辺方向が約98%、短辺方向が約97%のトリミングになっています。
低空の領域を縦構図で撮影すると背景の明るさ(暗さ)は上下方向でかなり違ってきてしまいます。
それでも明るさの偏り等はまだ対処が楽です。
色合いの偏りはムラは本当に厄介で、処理を進めながら気が付いた時点で何度も補正しなくてはなりません。
最初の段階では、20分程度の露光時間毎に画像をまとめて偏りやムラの補正をしたほうが良いのかもしれませんね。
まあとても面倒ですが、、、。
この領域はとてもカラフルなので、ついつい調子に乗ってやり過ぎてしまいます。
コントラストの低い元画像から無理して炙り出しているので、星雲のざらつきが気になります。
また「IC4603」や「IC4604」の青さが表現できていません。
これはやはり空の透明度が足を引っ張っているのでしょうか?
しかし前回の2014年もみずがき湖で撮影していたのが面白いですね。
今から思えば、前回はこの場所としてはかなり条件の良い空だったのだと思います。
足繁く通えばそんな星空に出会うことができるということでしょうか?
アンタレス付近 (ピクセル33%表示で切り抜き)
「M4」はかなり大きな球状星団ですが、ちょっと疎らな感じがします。
赤っぽいのは星雲をカラフルに仕上げた影響でしょうか?
散光星雲・反射星雲や暗黒星雲は個々に番号が付いていますが、
全ては巨大な雲の一部なのでしょうね。
近くに明るい星があれば散光星雲や反射星雲として見えるし、
それでなければ暗黒星雲として見えるのです。
この領域がこんなにもカラフルだったとは、フィルム時代には全く知りませんでした。
そしてこんなに楽しい天文写真が撮れるようになったのは驚き以外の何物でもないです。
IC4592 (ピクセル33%表示で切り抜き)
「IC4592」は青色がとてもきれいな星雲です。
暗黒星雲と表裏一体になっているのがよく分かりますね。
最近は「青い馬星雲」と呼ばれていますが、上下逆に見ると馬の頭に見えますね。