2019.11.03 Sunday
星野写真(60Da、100mm) ケフェウス座領域1
60Daと100mm中望遠レンズによる星野写真シリーズです。
メシエ天体(全て),カルドウェル天体(一部),その他の面白そうな散光星雲や暗黒星雲、が対象です。
この「ケフェウス座領域1」には、以下の天体があります。 (※ 領域名は私が勝手に付けています。)
・IC1396 : 散光星雲
・Garnet Star
・Sh2-129 : 散光星雲
・Sh2-132 : 散光星雲
撮影日時 : 2014/09/28 23:20〜 480sec×12枚
撮影場所 : 山梨県・みずがき山自然公園にて 気温は約10℃
撮影日時 : 2019/10/29 22:20〜 360sec×17枚
撮影場所 : 山梨県・みずがき湖にて 気温は約6℃
カメラ : EOS 60Da (ISO1600、RAW)
フィルター : 無し
レンズ : EF100mm F2.8 Macro (F4.0)
赤道義 : EM11(ノータッチ)
処理
・RAP2 : ダーク減算、フラット補正
・CameraRaw11.4 : Raw現像
・DSS : コンポジット
・StellaImage6.5 : デジタル現像
・Photosop CC : コントラスト調整、色合い調整、等々
・StarNet++
・Nik Collection (Dfine 2)
空の暗さ(B)、透明度(B)、フォーカス(B) 5段階評価 2014/09/28
空の暗さ(BC)、透明度(B)、フォーカス(B) 5段階評価 2019/10/29
StellaNavigator での写野 (恒星は9.5等まで、星雲星団は12.0等までを表示)
”ケフェウス座” は星座としては今ひとつぱっとしませんが、写真ではとても華やかな領域です。
「ガーネットスター」と ”IC1396” という番号の付いている大きな散光星雲が目を引きます。
ガーネット・スター(ケフェウス座μ星)は赤色超巨星です。
あまりにも赤いために、ウィリアム・ハーシェルによって “the Garnet Star” と名付けられたそうです。
”IC1396” は大きさは北アメリカ星雲を凌ぐほどですが、秋の天の川の中に浮かんでいるように感じる淡い星雲です。
さらにシャープレスカタログに記載されている星雲が2つあります。
そのうちの ”Sh2-129” はかなり大きな星雲です。
他にも赤い領域が点在している様子が分かりますね。
8月から9月に撮影したい対象ですが、天候の影響で10月の下旬になってしまいました。
夜半前なので空の状態はやや明るく、地平高度も好条件ではありません。
前回の撮影はもう5年も前になります。
→ 前回はこちら
ケフェウス座は撮影したいものがたくさんあるのですが、どうも近年は旬の時期の天気が良くありません。
前回の撮影画像も使って処理しました。
それぞれをコンポジットして、グラデーションマスクを使ったかぶり補正を施してから、明るさを合わせてコンポジットしています。
それからは通常の処理で仕上げています。
どうしても構図がずれてしまうので、長辺方向が約97%で短辺方向が約94%のトリミングになっています。
今回は前回のものと比べると、少し柔らかく仕上げました。
星雲の構造の描写などには少し不満もありますが、全体的な感じを大事にしたかったのです。
ネットで公開されている画像と比べると、私の画像はいつも違うなあと感じています。
赤い星雲の淡い部分の写りは良くないです。
背景はニュートラルグレーを意識して仕上げていますが、全体の色合いも結構違います。
これがこのカメラの性格なのか、絵作りを含めた処理の違いなのかは未だに分かっていません。
でも今回の仕上がりは結構気に入っています。
この領域は天の川の中なので、微光星で溢れかえっています。
特に左下の ”Sh2-132” は、今までの仕上げ方ではどうやっても星に埋もれてしまいます。
そこで、最近流行りのソフト(StarNet++)も使ってみました。
処理の途中で「星を消した画像」と「星だけの画像」に分けて、強調処理は「星を消した画像」に対してだけ行います。
その後で「星だけの画像」を「覆い焼き(リニア)・加算」で重ねています。
星の色合いも良い感じにできたような気もします。
一方で、背景にはいろいろな要素が入り混じっていて、明るさや色合いの調整にてこずりました。
ある部分を調整すると、他の部分が気に入らなくなって、、、。
いくらやっても前進しないので、元画像のせいにして、終了としました。
IC1396 (ピクセル50%表示で切り抜き)
大きな散光星雲で、中央にはこれまた大きな散開星団(Tr37)があります。
たくさんの暗黒帯が見られ、星雲の中でうねうねと動いているようにも感じられます。
その中で「vdB142」と呼ばれる暗黒帯(分子雲)が有名で、
その形から「象の鼻」とも呼ばれています。
この散光星雲は赤一辺倒ではなくて微妙な色合いをしているようですね。
Sh2-129 (ピクセル50%表示で切り抜き)
これも大きな散光星雲ですが淡いです。
濃い部分だけ見ると三日月状ですが、極めて淡い部分も含めると円盤状になりそうです。
「フライングバット星雲」と呼ばれているようです。
中心にある明るい2つの星の色が対照的できれいですね。
構図的に右側が窮屈になってしまいました。
Sh2-132 (ピクセル50%表示で切り抜き)
比較的明るい散光星雲です。
星が多い領域なので、星との両立が難しい対象です。