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2020.09.04 Friday

宇宙物理学  星の生まれる場所 (2) わし星雲

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    ***** 宇宙の構造 (2) 天の川銀河内 > 恒星 *****


    星の生まれる場所といったら、前回の「オリオン星雲」と共に「わし星雲」が有名だ。

    わし星雲(M16)は、へび座にある散開星団と散光星雲の複合した天体だ。
    小さな望遠鏡で見ると星の集団しか見えないので、メシエ番号は実は散開星団の方に付けられた番号なのだ。
    星団の背後には星間雲が広がっていて、星からの紫外線によって輝いている。
    この散光星雲にはIC4703という番号が付けられている。
     


    1995年からのハッブル宇宙望遠鏡の詳しい観測によって、この星雲の中の密度が高い部分(分子雲)から星が生まれるということがわかった。

    ハッブル宇宙望遠鏡の画像には、星雲中央に象の鼻のような柱状構造の暗黒星雲が何本も写っている。
    それは先にできた星からの強烈な紫外線によって、分子雲のとくに密度が濃いところ以外は吹き飛ばされたためだそうだ。
    暗黒星雲の柱の先端から、さらに細い分子雲が伸びており、その先端に生まれたばかりの星が隠されている様子もはっきりと捉えられている。
    そして、この暗黒星雲は後に「創造の柱」(Pillars of Creation)と名付けられた。

    このように、いったん星ができ始めると、それを契機としてさらに星ができて若い星の集団ができあがる。
    このような星団を散開星団と呼ぶが、いずれはお互いに離れ離れになってしまう。



    今回も、いろいろなウェブサイトからお借りした画像を紹介する。
    オリジナルは大きな画像のことが多いので、是非そちらを見て頂きたい。



    わし星雲(Eagle Nebula)

         画像はESO(欧州南天天文台)のウェブサイトからお借りしました。  → こちら

    2.2メートルの望遠鏡で撮影した三色合成モザイク画像だそうだ。
    中央には「創造の柱」も見え、それ以外にもいくつか星形成領域が見られる。

    それにしても、とても美しい画像で、思わず見入ってしまう。



    ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した「創造の柱」
     

         画像はハッブルサイト・ニュースリリースアーカイブからお借りしました。  → こちら

    画像はハッブル宇宙望遠鏡広視野惑星カメラ2で1995年4月1日に撮影されたものだ。
    異なるタイプの原子からの発光を捉えた画像を合成してカラー画像としているとのこと。
    赤はイオン化した硫黄原子からの発光、緑は水素原子からの発光、青は2重にイオン化した酸素原子からの発光だ。

    下のアニメ(左→右)を見ると、創造の柱がどうやって出来たかイメージが湧くと思う。



    ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した「創造の柱」とは別の領域

         画像はハッブルサイト・ニュースリリースアーカイブからお借りしました。  → こちら

    上のESOの写真でいうと、創造の柱の左上のほうの領域を撮影したものだ。
    ハッブル宇宙望遠鏡に搭載された新しいカメラで撮影された。
    上部の青色は酸素原子からの光で、下部領域の赤色は水素原子からの光だ。



    わし星雲の「巨大な柱」は既に崩壊した?

         画像は赤外線天文衛星スピッツァーのウェブサイトからお借りしました。  → こちら

    赤外線天文衛星スピッツァーによる「わし星雲」の観測から、ハッブル宇宙望遠鏡の画像で有名な暗黒星雲の柱が、実は今この瞬間には存在してないことが示唆された。
    画像は複数の波長の赤外線で撮影したものを使った擬似カラー合成だ。

    緑色は比較的冷たいちりからの放射で、中央やや右寄りにあの有名な3本柱も写っている。
    ハッブル宇宙望遠鏡の写真に対して反時計回りに45度ほど回転しているので、少しわかりずらいかもしれない。
    一方で赤色は加熱されたちりからの放射だが、球殻状に広がっていることがわかる。
    この構造は爆発したばかりの超新星の周りに見える特徴的なもので、広がりゆく衝撃波によってガスが加熱されている。
    超新星は、地球時刻では1000年か2000年前に観測されただろうと考えられている。
    現地では8000年か9000年前なので、今現在はあの柱も吹き飛ばされているかもしれないとのことだ。











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