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2020.10.22 Thursday

宇宙物理学  閑話休題 (5) お薦めの一冊(量子論)

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    ***** 閑話休題 *****


    量子論は非常にミステリアスな理論だ。
    私たちの常識や直観では、まったく歯が立たない。
      こちらの閑話休題もそんな話題です。 → こちら
    だからブルーバックスのような一般向けの本でも、かなり敷居が高く感じる。

    そこでお薦めしたいのがこの本だ。


      ルイーザ・ギルダー
      宇宙は「もつれ」でできている
      講談社ブルーバックス

    この本は、ある意味とても異色で、よくある解説書ではない。


    量子力学は、たった1人の天才によってつくり上げられた相対性理論とは対照的に、数多くの物理学者の努力によって構築された。
    もちろん、紆余曲折もあったろうし、侃々諤々の議論もあっただろう。
    インターネットなど無い時代だったので、直接会って会話したり手紙をやり取りしたりして、議論が闘わされたそうだ。

    通常の解説書では、重要な途中経過や最終結果しか記述されていない。
    しかしこの本では、どんな考えやきっかけからどのような着想を得て、そしてどんな議論がなされたのか、丹念に順を追って記述されている。
    そのために、量子力学がどのように構築されていったかを追体験することができるのだ。

    そして、物理学者の会話という形が多くとられていることも大きな特徴だ。
    再現ドラマを見ているような気になる。
    これは史実にしっかり裏打ちされたもので、先人たちの論文や書簡、公の場での発言や討論の記録などを調べるのに、8年半の時間をかけたという。



    ただし、いくつか注意点もある。

    登場人物が非常に多い。
      そのほとんどが、初めて聞く名前だった。
      私には、カタカナで書かれた名前は覚えにくく、たびたび混同することがあった。
      「ボ」で始まる名前の人が多いのは何故だろう?
        ボルン、ボーア、ボーム、、、

    話は量子論全般にわたっているが、主テーマは「もつれ」である。
      これはかなりとっつきにくい。
      だから、まずは「もつれ」の話が出てくる前の第1部の第2章から第16章を読むことを勧める。

    600ページ近くあり、ブルーバックスとしては異例の長さだ。



    山田克哉さんが監訳されているのだが、「監訳者まえがき」の内容が記事となっているものを見つけた。
      → こちら

    「もつれ」についても、簡単に解説されている。











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