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2011.07.20 Wednesday

星野写真の撮影と後処理方法

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    デジタルカメラを用いた星空写真の撮影方法と後処理に関してまとめてみました。

    今日は、星野写真です。


    1.カメラレンズによる星野写真

    1.1 星野写真

    赤道儀にカメラを載せて、ガイド撮影(日周運動を追尾しながら撮影する)したものを「星野写真」と呼んでいます。
    固定撮影と比べて、ずっと暗い天体まで写すことができます。
    天の川を撮る場合は広角レンズや対角魚眼レンズを使い、星座を撮る場合は主に広角レンズから標準レンズを使い、星雲星団や彗星を撮る場合は望遠レンズを使います。
    星座を撮る場合は、フィルターを使って明るい星を滲ませています。
    なお、望遠鏡を使った撮影はやったことがありません。


    1.2 構図

    撮影対象と構図は前もって決めておきます。
    ステラナビゲータで、星図とレンズの画角を表示させて、プリントアウトして持って行きます。
    ファインダーで見えない明るさの彗星や星雲星団の場合は、写野内に目印となる星を配置するように構図を決めています。



    2.機材

    2.1 赤道儀

    赤道儀は、タカハシのEM10を使っています。

    ヘールボップ彗星が明るくなる少し前の1月に、EM10赤道儀とマッチプレートとメタル三脚を購入しました。
    EM200とかなり迷いましたが、そっちにすると乗鞍へ通うようになりそうなのでやめました。
    メタル三脚はかなり高価でしたが、非常に使いやすくて、現地に着いて5分もあればセッティングが完了できます。
    暗くて寒いところで使うものですから、使い勝手が良いのが一番重要です。
    スターベースで、在庫の最後だと言われました。
    極軸望遠鏡には照明装置も付いているので、北極星さえ見えれば、極軸のセッティングはとても簡単にできます。
    おまけにもらった、ミザールの北極星指示盤はとても便利で、ずっと使っています。
     



    ガイド望遠鏡は付けずに、ノータッチガイドです。
    200mmの望遠レンズで数分程度なら、ほとんど問題ありません。
    撮影中も星空を眺めるようになりました。

         ※ 本格的に星野写真をやるようになって、この考えは少し甘かったかなと思っています。 (追記 2014.02.12)


    2.2 カメラ

    散光星雲の赤い光は、水素原子が出す波長656.3nmの輝線スペクトルです。
    通常のデジタルカメラでは、この波長の光は赤外カットフィルターによってほとんどカットされてしまって写りません。
    そこで、天文写真用に改造されたカメラが使われたりしています。
    私はキヤノンの20Daを使っています。
    これは20Dをベースに、上記の輝線スペクトルをもう少し透過するように、メーカーによってカスタマイズされたものです。
    散光星雲の写りは改造カメラには及びませんが、ホワイトバランスがあまり崩れないので使いやすいです。
    2005年発売なので、今となっては古いカメラですが、まだまだ使っていきたいです。


    2.3 雲台

    カメラは自由雲台に載せていますが、使い勝手はいまひとつと感じています。
        ・赤道儀のマッチプレートに載せているので、カメラが思った向きに向けられないことがあります。
           ・赤道儀の両軸をあれこれ動かして、悪戦苦闘します。
        ・天頂付近は、カメラは向くのですが、ファインダーが覗けません。
        ・時として、星像がひょこひょこ踊ってしまうという症状が出ることがありました。
           ・クランプ後に少し動いてしまうようです。(雲台が古くなったので買い換えました。)
           ・クランプしてから、少し時間を置いて撮影するようにしました。
     



    3.星野写真の後処理

    星野写真は強い画像処理を施すので、以下の3点がとても重要です。
        ・ダーク減算
        ・複数枚のコンポジット
        ・フラット補正

    でも私は、それほど本格的にはやっていません。  → あまり参考になさらぬように願います。

    処理は以下の順番で行なっています。
        ・ダーク減算は撮影時に行ないます。
           ・カメラの「長秒時露光のノイズ低減」機能を使っています。
        ・Raw現像
           ・この段階では、コントラストはあまり強調しません。
        ・複数枚のコンポジット
        ・フラット補正
        ・コントラストや明るさの調整

    Raw現像はCameraRawで行い、あとの処理はPhotoShop(CS5)で行います。



    4.複数枚のコンポジット

    複数枚の画像を重ね合わせることをコンポジットと呼びますが、目的によって様々な手法があります。
        (1)同一条件で撮影した画像を使って、ざらつきを低減する。
        (2)露光時間を変えて撮影した画像を使って、ダイナミックレンジを拡大する。
        (3)複数の画像を使って、実質的に露光時間を長くする。  → これはやったことがありません。

    重ね合わせにおいては、複数枚の画像で星の位置が合っていることが必要です。
    デジタルカメラで撮影した場合は、そのままでまず大丈夫です。
    必要ならば、位置合わせを行ないます。
    PhotoShopでは以下の機能を使います。
        ・[フィルター]→[その他]→[スクロール]
    なお、画像が回転していると手作業では困難です。
    フィルムで撮影してスキャナで読み込んだ場合は、少なからず回転しているので、とても厄介でした。


    4.1 ざらつきを低減する

    同じ条件で撮影したN枚のフレームを使うと、ランダムなノイズはNの平方根に低減でき、ざらつきの少ないきれいな画像が得られます。

    基本は2枚のフレームを使って、平均化、つまり足して2で割る処理をします。
    PhotoShopでは以下の機能を使います。
        ・[イメージ]→[画像操作]
        ・加算、スケール=2、オフセット=0
     



    4枚の場合は、1枚目と2枚目でコンポジットし、3枚目と4枚目でコンポジットし、さらにそれら2枚をコンポジットします。
    この方法はNが2のべき乗の場合に適用できます。
    そうでない場合は、別のやり方があります。


    4.2 ダイナミックレンジを拡大する

    星雲や星団などは、淡い部分を写そうとすると明るい部分が白とびしてしまい、明るい部分が白とびしないように写すと淡い部分が写りません。
    そこで、両者を両立させるために、露光時間の異なるフレームをコンポジットします。

    私は、露光時間の異なる2枚のフレームを使って、平均化、つまり足して2で割る処理をしています。
    でもこれで良いのかなあ?



    5.フラット補正

    星空を撮影した画像は、背景(バックグラウンド)の明るさや色合いが均一でなく偏りを持ってしまいます。
    その理由は主に以下の2つです。
        (1)レンズ等による周辺減光
        (2)街明かり等による星空の明るさや色合いの偏り

    星野写真は強い画像処理を施すことが多いので、それによって上記の偏りがより強調されてしまいます。
    そこで、最初に背景(バックグラウンド)の明るさや色合いの偏りを補正してやりますが、これをフラット補正と呼びます。

    フラット補正のためには、まず「フラットフレーム」を作ります。
    フラットフレームを作るには2つの方法があります。
        ・均一な光源を使って、同じ光学系で作る。
           ・正統派のやり方ですが、(1)にしか対応できません。
           ・空の暗い場所で望遠レンズで撮影した場合は、この方法を使っています。
        ・元画像をぼかして(擬似)のフラットフレームとする。
           ・ちょっとトリッキーですが、(2)にも対応できます。
           ・被写体が面積的に大きなもの(星雲や彗星の頭)はうまくできない場合があります。
           ・街明かりの影響が避けられない場合や画角が広い場合は、この方法を使っています。


    5.1 フラットフレームの作り方(1)
     


    同じ光学系で均一な光源を撮影します。(私はライトパネルを使っています。)
        ・ピントは無限遠、絞りは撮影時の設定、WBは撮影時の設定
        ・後で複数枚をコンポジットします。
        ・シャッター速度を変えて、明るさの異なるものを作っておきます。
    フラットフレームはグレースケール(モノクロ)に変換して使います。
    ただし、フラット補正時の処理の手間を低減させるために、RGB画像に戻しておきます。

    例(20Da、EF200mmF2.8)
     

    5.2 フラットフレームの作り方(2)

    この画像を例にして説明します。
    右下が明るくて、少し赤っぽいです。


     
    バックグラウンドで最も明るい部分の明るさは90程度です。(ヒストグラムの矢印)
    少し余裕をみて95とします。

    全体を160(=255−95)だけ明るくします。
     PhotoShopでは以下の機能を使います。
        ・[イメージ]→[色調補正]→[明るさ・コントラスト]

        ・明るさを160にします。(最大値は100なので、2回に分けて(100と60)処理します。)


     



     

    今度は全体を160だけ暗くします。


     

    コピースタンプツールを使って、明るい星や赤い星雲を付近の画像で塗り潰します。
        ・半径200,堅さ50%の円を使いました。


     

    全体をぼかします。
    PhotoShopでは以下の機能を使います。
        ・[フィルター]→[ぼかし]→[ぼかし(ガウス)]
        ・半径100で処理しました。


     

    元の画像に対して引き算をします。
    PhotoShopでは以下の機能を使います。
        ・[イメージ]→[画像操作]


     



     


    このフラット処理では、ぼかし量がポイントです。
        ・ぼかしが足りないと、明るい星や星雲星団の周りが少し暗くなってしまいます。
        ・ぼかしが過ぎると、周辺減光の濃淡まで均一化されてしまいます。
    例題では、冬の銀河(天の川)が薄くなってしまいました。


    5.3 フラットフレームの使い方

    フラットフレームの正しい使い方は、次式のように割り算だと思います。[]は行列、()はスカラーです。
         [補正画像]={[元画像]/[フラットフレーム]}×(フラットフレームの平均輝度)
    でも、PhotoShopでは上記の演算はできないので、次式で処理しています。
         [補正画像]=[元画像]−[フラットフレーム]+(フラットフレームの平均輝度)


    5.4 FlatAide(フラットエイド) (追記 2014.02.211)

    その2の方法よりも賢くて便利なツールが、ぴんたんさんから提供されています。
      → 深夜道楽Web



    6.コントラスト等の調整

    後処理はPhotoShopの調整レイヤーを使います。


     


    処理内容やパラメータをあれこれ変えながら追い込んでいきます。
    調整レイヤーを使うと、画像データに直接処理が施されないので、画像の劣化を避けることができます。
    また、レイヤーを結合しないで保存しておくと、いつでも画像処理をやり直すことができます。
    ただし、画像データは非常に大きくなります。

    処理が終わったら、レイヤーを結合して(実処理を行なって)、ブログ用としてJPEGファイルにします。

    フラット補正で示した例題の場合は、下に示すような処理を行ないました。
        ・レベル補正で、コントラストを強調します。
        ・レンズフィルタで、全体に少し青みを加えます。


     




     








    コメント

    こんにちは
    またまたお勉強させていただきました。 こうして理論的&体系的に手法を公開されるのって素晴らしい事だと思います。 是非多くの人に見ていただきたいです。 
    5.2のフラットフレームの作り方は目からうろこでした。 元画像に直接ガウスぼかしやスタンプツールで輝星を消したりはしてましたが、一旦明るくして暗くするなど思いもつきませんでした。  ヒストグラムも画像も元に戻らないんですね。 これはえーと、言葉で説明するとどういう事なんでしょうか。
    (平均化)?という事でしょうか。
    いつも質問ばかりでスミマセン(^^;)
    2011/07/20 11:27 AM by かたくちいわし
    >かたくちいわしさん、こんにちは。

    説明が足りなかったようですみません。

    最終的にはバックグラウンド(背景)だけの画像を作りたいのです。
    話を簡単にするために、モノクロで考えてみます。
    ある領域のバックグラウンドの輝度が90だったとします。
    星や星雲の輝度は、それよりも高いです。
    白とびしている明るい星の輝度は255です。
    星雲などの輝度は90と255の間です。
    星や星雲の輝度の、その高い部分を削り取りたいのです。
    そこで3段階で処理を行ないます。

    まず第1段階。
    輝度を160(=255−95)上げると、星や星雲の輝度は255でクリップします。
    次に輝度を160落とすと、バックグラウンドの輝度は90に戻り、星や星雲の輝度は95になります。
    だいぶ削れましたね。
    実際は、バックグラウンドの輝度がもっと低い領域もあり、そこでは差はその分だけ大きくなります。

    第2段階で、コピースタンプツールで明るい(大きな)星や星雲を塗りつぶします。
    第3段階で、全体をぼかします。


    でも、この方法は例題のように、銀河(天の川)もバックグラウンドとして引かれてしまうのですよね。
    2011/07/20 2:23 PM by やまねももんが
    いえいえ、私のコメントわかりにくくてすみません(^^;)
    ご説明頂いた事を頭の中で何となく理解していたのですが、上手く言葉に現せませんでした。 
    ありがとうございます。わかりやすい解説でモヤモヤがスッキリしました。「わざと飛ばして削る」という事ですね。
    早速手持ちの画像でやってみます。
    天の川等の大きく広がる星雲が、この方法で少し薄くなってしまうのは仕方ない事です。 
    2011/07/20 3:04 PM by かたくちいわし
    >かたくちいわしさん、こんにちは。

    >「わざと飛ばして削る」という事ですね。
    そうです。

    フラット補正した画像だけを使うのではなくて、
    元画像とフラット補正した画像をミックスするのも手だと思います。
    PhotoShopでは、レイヤーを重ねて、不透明度を設定すれば簡単にできます。
    不透明度を変えればマックスの度合いが変えられます。
    2011/07/20 3:29 PM by やまねももんが
    こんにちは。
    フラット補正は勉強になりました。フラットフレーム作りから何度か試みたんですが、どうも上手くいかずに、ステライメージの周辺減光・カブリ補正で誤魔化していました(^^;)
    今度、最初からやってみます。
    2011/07/20 5:10 PM by さとう
    >さとうさん、こんにちは。

    フラット補正がうまくできると、星野写真の見栄えが格段に向上します。
    でも写野が広いカメラレンズでのフラット補正は、まだまだ試行錯誤しています。
    本当は、光害の無い背景がフラットな星空で撮影するのが一番なんですけどね。
    技巧ばかり身に着けてもって、ときどき考えてしまいます。
    日本にいる限りは無いものねだりですかね。

    2011/07/20 5:47 PM by やまねももんが
    こんばんは。
    いつも実践的で役に立つ多くの情報、ありがとうございます。いつも試行錯誤の連続で処理しているので、こういうふうに理論的に説明していただけると本当に助かります。なるほど、そういうことだったのか、と目からうろこが落ちまくりです。
     本当にありがとうございます。
    2011/07/20 11:47 PM by 阪神ファンいっこう
    >阪神ファンいっこうさん、おはようございます。

    皆さんよりも少し前からやっていただけで、亀の甲より年の功です。
    ただし、思い違いや勘違いもあると思います。
    あまり鵜呑みにしないで下さいね。
    2011/07/21 5:38 AM by やまねももんが

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