星空が好き、猫も好き

星空がきれいな晩はどこかへ出かけたいなあ
ときどき猫ブログや宇宙物理学のブログになります
星空や猫だけでなく、風景や草花などの写真を撮るのも好きです

<< July 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

<< 103aEでの星野写真 (35年前の星空) | TOP | 空海と密教美術展 >>

2011.08.24 Wednesday

103aEフィルム

0


    昨日の記事で登場した「103aEフィルム」について少し説明します。


    103aフィルム

    103aはコダック社で天文用に作られたモノクロフィルムで、aはastronomyの頭文字です。
    天文台ではこの感光剤を用いた写真乾板が広く使われていましたが、そのフィルム版です。

    大きな特徴は二つあります。
    ひとつは「相反則不軌」が極力抑えられていて、低照度での実効感度が高いことです。
    もうひとつは、いろいろな感光性を持ったフィルムが用意されていたことです。
    大雑把に言って、Oは青っぽい光、Fは緑っぽい光、Eは赤い光を出す天体の撮影に適したものです。

    分光感度の図を示します。



    103aEフィルム

    散光星雲では、近くの明るい星からのエネルギーを受けて、星雲を形成する水素原子が光を放射しています。
    この光は連続光ではなくて輝線(スペクトル)です。
    可視光領域で最も強い輝線は波長656.3nmの赤い光なので、多くの散光星雲は赤く輝いているのです。
    もちろん、人間の目は暗いものに対して色を識別する能力が低いので、赤く見えるわけではありません。

    103aEは、この赤い光(Hα線)に高い感度を持っているので、赤い散光星雲がとてもよく写ります。
    現在で言えば、デジタルカメラの赤外カットフィルターを外した改造機での写り具合いに匹敵します。

    そんな夢のようなフィルムが、1970年代の中ごろから、一般のアマチュアにも手が届くようになったのです。
    早速、星仲間で個人輸入しました。
    直接の値段はそれほど高くなかったですけど、関税がかかることを知らなくて、、、。

    入手したのは100フィートの長巻きです。
    当時は、新宿のヨドバシカメラで使い終わったパトローネが容易に入手できました。
    コダックのものは頑丈で使い難いので、フジのものをもらって(拾って)きて、押入れの中でフィルムを入れ込みます。


    フィルターとピント

    赤フィルターを使って、上記の赤い光(Hα線)より波長の短い光をカットします。
    こうすることで多くのメリットが生じます。
      ・多くの街明かりを効果的にカットでき、赤い散光星雲がコントラストよく撮影できます。
      ・赤い光だけで撮影するので、レンズの色収差の影響を受けずに、星像がとてもシャープに撮影できます。

    R64というカットオフ波長が640nm付近のフィルターがお勧めでしたが、
    私はカットオフ波長が600nm付近の通常のR1フィルターを使っていました。

    ピントには注意が必要でした。
    通常のフィルムのように無限遠に合わせると、星がぼけてしまうのです。
    昔のレンズには、赤外線フィルムを使うときのピント指標の赤点(Rマーク)がありました。
    ピントリングの∞マークを、通常位置(黄色の線)とRマークのほぼ中央に合わせると、ピントがよく合いました。


    この写真を撮っていたら、いつものように猫がやって来て右下に写り込んでしまいました。(笑)
    最近のレンズには、このRマークがありません。
    波長によってピント位置がずれるようなことはないということでしょうか?


    現像

    フィルムの現像は、トライ-Xなどと同じ処理をしました。
    パンドールを使って増感現像します。

    現像が終了してフィルムを取り出した時は、真っ黒だったので驚きました。
    でも手で触ると黒いものが簡単にとれます。
    後でそれはハレーション防止用のバッキングというものだと知りました。


    このフィルムは、結局数回使っただけで、その後は天文から遠のいてしまいました。
    今思うと、オリオン座を撮らなかったのが悔やまれます。










    コメント

    こんにちは
    昨夜探したら103aEで撮ったものが1枚見つかりました。
    今思えば一体どういう経路で入手したのか覚えてません。
    自分の頃は天ガに掲載しているショップなどでも買えた気がします。
    ネガも出てきました。 他の白黒のネガに比べるとペラペラでした。  フィルムがたるみやすかったので、巻き取りレバー部をテープで止めてましたね。
    今のレンズで赤丸マークがないのはAF前提だからでしょうか。 ん、AFで合っててもズレちゃうのかな? 
    わからなくなってきました(笑)
    2011/08/24 10:47 AM by かたくちいわし
    >かたくちいわしさん、こんにちは。

    天文ショップで、パトローネに詰めて売っていましたね。
    それをお買いになられたのでしょう。

    昔のレンズは、ピントリングを回し切るとちゃんと無限遠にピントが合いました。
    AFレンズになって、特に望遠レンズでは、ピンボケ写真ばかり量産していましたね。
    今でも少し怪しいですが、、、。
    2011/08/24 1:25 PM by やまねももんが
    いろいろおもしろいですね。勉強になります。
    私も猫ちゃんと一緒に覗き込んでいる気分です。
    「へぇ、その赤い点、そういう意味だったんだにゃぁ」
    2011/08/24 4:29 PM by 阪神ファンいっこう
    >阪神ファンいっこうさん、こんにちは。

    今はすっかり世代交代が進みました。
    この頃に活躍されていた方々は、もう引退されてしまったのでしょうか?
    それとも、自分のペースでのんびりとやられているのでしょうか?

    何かごそごそやっていると、いつの間にか近くにいますよ。
    2011/08/24 5:01 PM by やまねももんが

    コメントする









    この記事のトラックバックURL

    http://kai-kuu.jugem.jp/trackback/142

    トラックバック

    ▲top