星空が好き、猫も好き

しばらく「宇宙物理学」のブログになります。
星空がきれいな晩はどこかへ出かけたいなあ

<< September 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

<< 宇宙物理学  局部銀河群 | TOP | みずがき山での星景写真 (1) >>

2015.07.19 Sunday

宇宙物理学  銀河の特異運動とアトラクター

0

    [銀河の特異運動]

    私たちの局所銀河群は、おとめ座銀河団の重力の影響によって、秒速220kmでおとめ座銀河団の方向に流れ込んでいるのです。

    でもどうしてそんなことが分かるのでしょう?
    銀河は宇宙という座標のある場所に貼りついて、宇宙膨張のために相対速度が生じています。
    その速度は銀河間の距離で決まります。
    ところが、近傍に質量の大きな構造があると、その重力によっても運動速度が生じます。

    そこでまず、銀河の距離を相対速度(赤方偏移)以外の方法で測定します。
    その距離に見合った、宇宙膨張による相対速度を計算します。
    それを実際に測定した相対速度と比較し、両者に差があれば、その差が宇宙膨張以外の運動による速度になります。

    このように、宇宙膨張ではなく、局所的な重力の影響で銀河が運動することを「特異運動」と呼びます。
    宇宙をローカルに見ると、銀河は近傍の銀河団などの大質量を持つ構造の影響を受けざるを得ないのです。

    ところが、さらに詳しく調べてみると、意外なことが分かりました。
    おとめ座銀河団とは別の方向に、うみへび座・ケンタウルス座超銀河団と呼ばれる銀河の大集団があるのですが、局所銀河群はこの方向にも秒速495kmで流れ込んでいたのです。
    結局、全体として二つの銀河団の重心を目指して秒速630kmで運動していることになります。



    [グレート・アトラクター]

    もっととんでもない特異運動の存在が1987年に発表されました。
    アラン・ドレスラーをはじめとする米英の7人の研究者らは、天の川銀河から数億光年以内にある楕円銀河を系統的に調べたところ、ある方向に向かって秒速400kmで特異運動していることが分かったのです。
    これをもたらしているものの質量は、典型的な銀河10万個分にも相当するそうです。
    銀河面に極めて近い方向にあるので、観測が難しく、正体はよく分かりません。
    距離は約2億光年と推定され、とりあえず「グレート・アトラクター」と名付けられました。
    どうも、「エーベル3627」という銀河団(じょうぎ座銀河団)とその周辺にある銀河集団が正体ではないかと考えられています。
    最近になって、ヨーロッパ南天天文台(ESO)による観測で、確かに銀河の集団があることがわかってきました。



      画像はESOのサイトからお借りしました。  → こちら



    [ラニアケア超銀河団]

    2014年9月に、タリーを中心とするグループが、グレート・アトラクターを中心として、それに重力的に支配された銀河から構成される、直径約5億光年の超銀河団を提案しました。
    これは、私たちの天の川銀河を含むおとめ座超銀河団と、隣接するうみへび座・ケンタウルス座超銀河団を含む大規模構造です。
    研究者達はこの超銀河団を、ハワイ語で「広大な天」を意味する「Laniakea(ラニアケア)」と呼んでいます。

    8000個の銀河の特異運動を調べ、天の川銀河と周辺の銀河がどのアトラクターに支配されているかを突き止め、それをもとにラニアケア超銀河団の範囲を確定したそうです。
    銀河の運動がグレート・アトラクターに支配されている銀河は、ラニアケア超銀河団に属しているとしています。 
    この超銀河団の直径は5億光年、質量は太陽10京個分、存在する銀河の数は10万個だそうです。

    アストロアーツ・天文ニュースに記事があります。  → こちら




      画像はAPODからお借りしました。  → こちら

    これは3次元の構造体をスライスしたある平面だそうです。
    色は銀河の密度を表していて、青は低密度,緑は中間,赤は高密度な領域です。
    白い点は個々の銀河を示し、白い線は「ラニアケア」の重力中心に向かって各銀河が動く道筋を示しています。
    青い丸は天の川銀河の位置です。(赤い矢印は何でしょう?)
    なお、図には近くの超銀河団も示されています。



    参考図書
      ・宇宙進化の謎 (谷口義明さん、ブルーバックス、2011年5月発行)
      ・宇宙の果てを探る (二間瀬敏史さん、洋泉社、2009年3月発行)
      ・銀河と宇宙 (ジョン・グリビンさん(訳:岡村定矩さん)、丸善出版、2013年7月発行(原書は2008年))


     








    コメント

    地球の表面に張り付いて、大気のフィルター越しに観測していて、何でこんなことまでわかるのだろう、と不思議でなりません。
    これでもし天の川銀河の外に出て、360度全天をくまなく調べる事ができれば、宇宙の構造のすべてがすぐにでも分かってしまうのではなかろうか、とさえ思ってしまいます。
    故南部さんたち最先端分野で活躍されている人たちの頭の中はどうなってるんでしょうかねえ。
    2015/07/19 8:43 PM by 悠々遊
    >悠々遊さん、おはようございます。

    最近の観測技術及び解析技術の向上とそれによる新しい発見には、驚かされるばかりですね。
    宇宙は思っている以上に複雑怪奇で、まだまだ見えていない顔をたくさん持っているような気がしますよ。
    私なんかは、どうして?と疑問に思っても、すぐに頭が疲れてしまって諦めてしまいます。
    でも南部さんなどは、どうして?どうして?どうして?とずっと追及していられるのでしょうね。
    2015/07/20 4:25 AM by やまねももんが

    コメントする









    この記事のトラックバックURL

    トラックバック機能は終了しました。

    トラックバック

    ▲top