2016.11.08 Tuesday
星野写真(60Da、100mm) カシオペア座領域1
60Daと100mm中望遠レンズによる星野写真シリーズです。
メシエ天体(全て),カルドウェル天体(一部),その他の面白そうな散光星雲や暗黒星雲、が対象です。
この「カシオペア座領域1」には、以下の天体があります。 (※ 領域名は私が勝手に付けています。)
・M103(NGC581) : 散開星団
・NGC281 : 散光星雲
・IC59/63 : 散光星雲
・NGC457 : 散開星団(E.T. Cluster、Caldwell Object C13)
・NGC663 : 散開星団(Horsechow Cluster、Caldwell Object C10)
撮影日時 : 2016/11/03 21:36〜 360sec×20枚
撮影場所 : 山梨県・みずがき湖にて 気温は約+4℃
カメラ : EOS 60Da (ISO1600、RAW)
フィルター : 無し
レンズ : EF100mm F2.8 Macro (F4.0)
追尾 : EM11(ノータッチ)
処理
・RAP2 : ダーク減算、フラット補正
・CameraRaw8.5 : Raw現像
・StellaImage6.5 : デジタル現像、Lab色彩調整
・Photosop CC : コントラスト調整、色合い調整、等々
・FlatAidePro
空の暗さ(BC)、透明度(B)、フォーカス(AB) 5段階評価
StellaNavigator での写野 (恒星は9.5等まで、星雲星団は12.0等までを表示)
カシオペアの中心部とも言える領域で、Wの明るい星の3つが入っています。
思っていた以上にカラフルで、とても楽しい領域ですね。
でも場所によって背景の色合いがかなり異なっていて、色合いの仕上げ方がとても難しいです。
本来の色合いの違いなのか単なる色ムラなのかとても悩ましいです。
特にシアンが強い領域があるのが私は苦手です。
パックマン星雲を入れたのでこのような構図になりましたが、もっと北側が気になるところですね。
この領域は散開星団がとても多いです。
しかもカルドウェル・カタログに選ばれているものが2つもあります。
秋の銀河(天の川)の中なので、いろんな要素が入り混じっています。
でも全体を見ながら仕上げていったので、個々の対象に適した処理にはなっていないと思います。
このあたりが写野の広い星野写真のとても厄介なところだと感じています。
この領域を撮影するには時期的に少し遅くて、前回同様に夜半前の撮影になってしまいました。
→ 前回はこちら
でも地平高度が高いので、枚数を多くして撮影してみました。
前回と比べてフォーカス調整が比較的うまくいったので、星の色合いが表現できたかなと思っています。
M103 (ピクセル50%表示で切り抜き)
天の川の中なので、散開星団は微光星に埋もれてしまいそうです。
この領域は散開星団がとても多くて、M103は目立たないですね。
写真ではNGC663のほうがずっと見栄えがして、
カルドウェル・カタログに選ばれているのも納得できます。
NGC281 (ピクセル50%表示で切り抜き)
その形から「パックマン星雲」と呼ばれています。
比較的明るくて、満月ほどの大きさがあります。
IC59/63 (ピクセル50%表示で切り抜き)
Wの真ん中の星(γ星)にまとわりつくように位置している小型の反射星雲です。
全体はひとかたまりの星間ガスのようですが、
γ星の北側にIC59,北東側にIC63という番号が付いています。
色がとても綺麗な星雲ですね。
でも拡大撮影では、γ星のゴーストが厄介かもしれません。
NGC457 (ピクセル50%表示で切り抜き)
ふくろう星団(Owl Cluster)、とんぼ星団(Dragonfly Cluster)、ET星団(E.T. Cluster)などと、
いろいろな愛称があるようです。
ET星団は2つの明るい星から連想されるのでしょうね。
その東側に小さい赤い星雲があって気になるのですが、番号等は分かりません。
この領域はずっと撮り直したいと狙っていたのですが、相性が悪いのか失敗続きでした。
10月上旬に撮影した時は、赤いフリンジがかなり出てしまって仕上げるのを断念しました。
10月下旬に撮影した時は、明るい星の周囲に盛大なハロー?が出てしまいました。 → 下の画像
ヒーターのスイッチが切れていて、どうもレンズが少し曇ってしまったようです。
星野写真としてはこれも面白いのですが、IC59/63に影響が出てしまったので泣く泣くボツにしました。
という訳で、今回は3度目のだったのです。
確かにそれぞれのスターに合わせた処理と違い、八方美人になりがちな難しさはあると思います。
が、それを感じさせない調和は、確かな技術とセンスでしょうね。