2018.04.07 Saturday
星野写真(60Da、100mm) カシオペア座領域3
60Daと100mm中望遠レンズによる星野写真シリーズです。
メシエ天体(全て),カルドウェル天体(一部),その他の面白そうな散光星雲や暗黒星雲、が対象です。
2014年と2015年に撮影した画像を使って再処理してみました。
・2014/12/18に撮影 → こちら
・2015/12/16に撮影 → こちら
この「カシオペア座領域3」には、以下の天体があります。 (※ 領域名は私が勝手に付けています。)
・NGC869,884 : 散開星団(二重星団、Caldwell Object C14)
・IC1805 : 散光星雲 (ハート星雲)
・IC1848 : 散光星雲 (ソウル星雲、胎児星雲)
撮影日時 : 2014/12/18 20:42〜 240sec×24枚
撮影場所 : 山梨県・みずがき湖にて 気温は約-8℃
撮影日時 : 2015/12/16 21:22〜 360sec×20枚
撮影場所 : 山梨県・みずがき湖にて 気温は約0℃
カメラ : EOS 60Da (ISO1600、RAW)
フィルター : 無し
レンズ : EF100mm F2.8 Macro (F4.0)
追尾 : EM11(ノータッチ)
処理
・RAP2 : ダーク減算、フラット補正
・CameraRaw8.5 : Raw現像
・StellaImage6.5 : デジタル現像、Lab色彩調整
・Photosop CC : コントラスト調整、色合い調整、等々
・FlatAidePro
・Nik Collection (Dfine 2)
空の暗さ(CD)、透明度(B)、フォーカス(BC) 5段階評価 2014/12/18
空の暗さ(BC)、透明度(BC)、フォーカス(B) 5段階評価 2015/12/16
StellaNavigator での写野 (恒星は9.5等まで、星雲星団は12.0等までを表示)
この領域には、大きな散開星団と散光星雲があります。
散開星団は同じような明るさのものが2つ並んでいて、”二重星団” と呼ばれています。
ペルセウス座に位置しますが、カシオペア座からたどったほうが探しやすいと思います。
散光星雲も大きなものが2つ並んでいて ”ハート&ソウル” と呼ばれています。
この画角だとそれらを一緒に収めることができ、しかもそれぞれが大きいので見応えがありますね。
この散光星雲は存在だけなら簡単に写せますが、諧調豊かに仕上げようとすると案外と手強いです。
色合いも赤一辺倒ではなくて青の成分もあるようです。
この領域は秋の銀河(天の川)の中なので、微光星がびっしりです。
そして所々に暗黒帯がうねうねしています。
今までに2回撮影しているので、2回分の画像を全部使って処理をやり直してみました。
すでにRaw現像してそれぞれコンポジットしてある画像をDSSでコンポジットしています。
写野はずれていたので、合成後の写野は短辺,長辺共に3%ほど狭くなっています。
右下半分と左上半分とでは、微光星のつぶつぶ感と色合いが違って見えますが、これは実在なのでしょうか?
この領域を仕上げる上で、このことがとても厄介で悩まされました。
総露光時間が3時間を超えた割には、仕上がりはイマイチですね。
空の状態やフォーカスの甘さ、それに私の処理技術が足を引っ張っているようです。
この領域はどうも苦手で、特に色合い調整がしっくりきません。
背景全体にシアン味が強くて、これが駄目なのです。
星のキラキラ感が表現できないことが課題だと思っています。
二重星団 (ピクセル50%表示で切り抜き)
とても大きくて密集度も高い散開星団です。
双眼鏡で見るととても綺麗ですよねえ。
昔は恒星と思われていたようで、西側の星団にはh、東側の星団にはχの
バイエル符号が付けられていました。
私はhχ(エイチ・カイ)という名前で教わりましたが、今はそう呼ばないのでしょうか?
写真では、右斜め上の方向に並ぶ星の列が目立ちます。
星雲をしっかり浮かび上がらせようとすると、星像が潰れてしまいます。
青い星に混ざってオレンジ色の星が点在しているのがきれいなのですが、表現できませんでした。
IC1805 (ピクセル50%表示で切り抜き)
大きな散光星雲で、その形から「ハート星雲」と呼ばれています。
輪郭の部分が特に星雲として目立っているのですが、ちょっと変わっていますね。
ちょうど真ん中付近に散開星団がありますが、「IC1805」は星雲とこの散開星団の番号のようです。
星雲の左端にも「NGC1027」という散開星団があります。
星雲の右上の特に明るい部分は「IC1795」という別の番号が付けられています。
写真星図を見ていたら、マフェイという銀河があるのに気が付きました。
右の矢印が「Maffei-1」、左が「Maffe-2」で、楕円銀河です。
「Maffe-2」のほうは殆ど分かりませんね。
マフェイはかつては私たちの局部銀河群の銀河と考えられていました。
現在は独立した銀河群で、局部銀河群から最も近い銀河群だそうです。
IC1848 (ピクセル50%表示で切り抜き)
これも大きな散光星雲で、その形から「Soul Nebula(胎児星雲)」と呼ばれています。
言われてみると納得できますが、不思議な姿の星雲があるものですね。
赤一辺倒ではなくて青い成分もあるようで、微妙な色合いの表現は難しいです。
胎児星雲の形を見るといつもミジンコに見えてしまいます。
この星雲の複雑な色合いが綺麗に表現されていますね。
こんなだったんですね。改めてクローズアップで撮りたくなりました。