2019.07.13 Saturday
固定撮影による星景写真の試行錯誤 (2)
前回の記事でご紹介した例題を使って、もう少しお話します。
[画像の明るさ]
私は比較的明るく仕上げています。
具体的には以下のような感じです。
・地上風景 → 黒つぶれするところが無いようにしている
・星空 → 星空領域の中央部で輝度が256諧調の60程度になるようにしている
[ディスプレイに関して]
画像の見え方はディスプレイ(設定も含めて)に依りますよね。
特に暗部の見え方の影響は小さくありません。
以下に2つのグレースケールを示します。
グレースケール1 (256諧調で8諧調ステップ)
グレースケール2 (256諧調で4諧調ステップ)
私が作業をしているデスクトップPCでは、
・Photoshop では、諧調0と諧調4の違いがはっきりわかります。
・ブラウザ(Firefox)では、諧調0と諧調4の違いが何とかわかります。
しかし、ノートPCでは、
・ブラウザ(Firefox)では、諧調0と諧調4の違いがわからず、0と8の違いが何とかわかる状況です。
同じ画像を見ても、ノートPCではコントラストが付いたように見え、暗部の諧調が見えにくいです。
ディスプレイの明るさだけでなく、ガンマ値なども影響していると想像できます。
だから次の項目などは、人に寄っては重箱の隅どころか重箱の外の話になってしまうかもしれません。
[地上風景の暗部]
周囲からの明かりが直接当たっていない部分はかなり暗く、輝度は256諧調の10以下です。
これだけ暗いと画質云々を言える状態ではなく、画像はぐちゃぐちゃです。
ISO感度を下げて、さらにコンポジット枚数を増やせば良いのでしょうが、あまりやる気が起こりません。
そして暗部はどうしてもカラーバランスが崩れます。
私の機材と処理環境では、グリーンが強くなります。
そこで色域指定で選択して、グリーンの彩度を落としています。
見難いですが、左が処理前で、右が処理後です。
[地上風景にメリハリをつけたい]
地上風景は暗くて諧調が乏しいので、(私は)どうしてもメリハリを付けたくなります。
手っ取り早い方法は CameraRaw の「明瞭度」ですね。
でもこれはやり過ぎると副作用が出るようです。
上は元画像で、下は明瞭度をかなり上げたものです。
星空領域で牡鹿の角の周囲が、少し黒っぽく(紫っぽく)なっているのが分かるでしょうか?
またこの例では分かり難いのですが、山などの稜線のすぐ上の星空領域が明るくなります。
とは言っても、地上風景を仕上げるのに「明瞭度」は強力な武器です。
私は副作用を低減させるために、最近はマスクを使うようにしています。
星景写真と言えど、星野写真並みにマスクを使うようになって、賛否両論はあると思います。
でも綺麗な(あくまでも私の基準で)星空写真を追及していきたいのです。