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2020.08.06 Thursday

宇宙物理学  太陽磁場の形成メカニズム

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    ***** 宇宙の構造 (1) 太陽系 > 太陽 *****

    黒点などの活動領域には、どうして非常に強い磁場が作られるのだろう?

    正直に言うと、私はその概要ですら半分ぐらいしか理解できていない。
    でも何とかイメージが掴めた範囲でまとめてみる。



    グローバルダイナモ

    強い磁場が作られるには、何段階ものステップがあるようだ。


    (1) 自転によって南北方向の弱い磁場が生まれる

    太陽の大部分は、水素が陽子と電子に分離したプラズマ状態のガスで構成されている。
    電離した粒子が運動すると、そこには電流が流れることになる。
    電流が流れると、電流の傍らに磁場ができる。
    これらは少し前に「電磁気学」で習ったことだ。

    自転(回転)によって、太陽には東西方向に数十億アンペアの大電流が流れているそうだ。
    それによって、南北方向の磁場が生まれる。
    ただし、これだけでは数ガウス程度の強さしかない。


    (2) 差動回転によって東西方向に磁場が強められていく
     

    太陽の北極や南極と、赤道付近では、自転の回転速度が異なっている。
    赤道付近では25日で1回転するが、高緯度になるほど遅くなり、極付近では35日かかる。
    これを「差動回転」と呼ぶが、その仕組みはまだ解明されていないそうだ。
    この差動回転は光球と対流層で起こっているが、中心核に近い放射層では起こっていない。
    放射層では緯度によらず26日で1回転している。
    その結果、低緯度の部分では、放射層は対流層に常に遅れながら、逆に言うと、対流層は放射層を常に先導しながら自転していることになる。
    つまり、太陽表面では極と赤道付近で、内側では対流層と放射層で、回転の速度が異なるのだ。

    太陽にもともとあった極方向の磁場が、北極がN極で、南極がS極としよう。
    磁力線は太陽のN極を出て、太陽の外側を通って南極のS極に入り、対流層と放射層の境界線上のタコクラインを通って再び北極のN極につながっている。
    このとき太陽の内部では、磁力線はS極からN極へ向かっていることになる。

    プラズマ粒子は磁力線の周囲を回転しながら、磁力線に巻き付いている。
    そのため、磁力線が動くとプラズマ粒子も引き連れられて一緒に動き、逆にプラズマ粒子が動くと磁力線が引き連れられて一緒に動く。
    この性質をプラズマ粒子の磁力線への「凍り付き」とか「凍結」と呼ぶ。

    差動運動があるために、極方向の磁力線は、対流層の赤道付近のプラズマ粒子にぐいぐい引っ張られていく。
    磁力線は引っ張られ、ひねられていくうちに、大きな力を蓄えていく。
    やがて磁力線は、太陽のまわりをぐるぐる巻きにされていく。
    このぐるぐる巻きにされた磁力線の磁場は、極方向と垂直の水平方向を向いた磁場だ。
    つまり差動回転とプラズマの凍結によって、太陽に新たな水平方向の磁場が生まれるのだ。
     


    (3) 磁力線の束が光球に向けて浮き上がっていく

    プラズマ粒子は磁力線に沿って動けても磁力線を横切れないので、ぐるぐる巻きにされた磁力線の束(これを磁束管という)の中に侵入することができない。
    磁束管の内部の物質は外部へ押しのけられるため、磁束管は、密度を減らして軽くなり、光球へ向けて対流層を浮き上がっていく。
    浮き上がってくる間に、磁力線は回転によってさらに引っ張られたり、対流の影響で複雑にねじられたりしながら、さらに大きな力をため込む。

    磁束管は太陽の表面まで浮き上がって、光球を突き抜ける。
    その断面として光球に見えているのが、黒点なのだそうだ。


    (4) グローバルダイナモ

    運動エネルギーを磁場のエネルギーに変える仕組みをダイナモと言うが、黒点磁場を生み出す仕組みはグローバルダイナモと呼ばれている。
    黒点磁場は、太陽全体の自転というグローバルな運動エネルギーをもとに作られているからだ。


    (5) 宿題事項

    以下のことを知りたい。
      ・ぐるぐる巻きにされた磁力線は、活動周期の中でリセットされるというのか?
      ・もしそうならどうやって?
      ・極域の磁場の反転とどう結びつくのか?




    ローカルダイナモ

    黒点の磁場などの磁力線は太陽表面に対して垂直に伸びている。
    そしてそれらは太陽表面でまばらに存在する。

    しかし、太陽観測衛星「ひので」によって、それとはまったく異なる性質を持った磁場が発見された。
    この新しい磁場は、磁力線の方向が太陽表面に対して水平を向いていて、寿命が数分程度と短い。
    大きさは1000kmほどで、磁場の強さは大半が700ガウス程度だ。
    そして、活動領域、静穏領域にかかわらず、太陽全面に大量に存在し、太陽表面を覆いつくしている。
    詳細は科学衛星「ひので」のウェブサイトをご覧下さい。 → こちら
     

    この「短寿命水平磁場」は、グローバルダイナモではなく、ローカルダイナモによって作られていると考えられている。
    対流層の対流運動によって磁力線が引っ張られたりねじられたりして磁場が増幅されるのだ。


     
    参考図書
      ・「太陽に何が起きているか」、常田佐久、文春新書、2013年
      ・「驚異の太陽」、鈴木建、日本評論社、2020年



     








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