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2020.08.07 Friday

宇宙物理学  黒点とフレア

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    ***** 宇宙の構造 (1) 太陽系 > 太陽 *****


    太陽の表面や大気では、様々な現象が起きている。
    いずれの現象にも「磁場」が関係していることが分かっているが、まだ解明されていない部分もあるようだ。



    黒点

    太陽内部で磁場が作られる様子は前回説明した。
    その磁力線の束(これを磁束管という)は光球へ向けて対流層を浮き上がっていく。
    浮き上がっていく間にも、磁力線は回転によって引っ張られたり、対流の影響で複雑にねじられたりしながら、さらに大きな力をため込んでいく。
    磁束管は太陽の表面まで浮き上がって、ついに光球を突き抜ける。
    その磁束管の断面として光球面に見えているのが、黒点なのだ。
     
         (c) JAXA

    黒点の磁場は非常に強いので、太陽表面近くでのガスの対流運動が阻害されてしまう。
    そのために内部から運ばれてくるエネルギーが少なくなってしまい、黒点の温度が周囲より低くなり暗く見えるのだ。
    下の画像で半暗部にも粒状斑らしきものが見えるが、いずれも暗部の方向に細長く伸びている。
    これは暗部から黒点の外側に向かって伸びる磁場の影響で、粒状斑が磁力線の方向に引き延ばされているらしい。
     
         (c) 国立天文台/JAXA

    上の画像は2007年5月に「ひので」によって撮影されたものだ。
    形が日本列島に似ていることから「Japan Sunspot」などと呼ばれているそうだ。


    通常、磁場は暗部の中心で最も強く、典型的な強さは3000ガウスほどだ。
    中心部から離れるにつれて磁場は弱くなり、半暗部では2000ガウスを下回る。
    ところが、太陽観測衛星「ひので」により、太陽観測史上最大となる6250ガウスの磁場強度を持つ黒点が発見された。
    太陽観測衛星「ひので」の可視光線・磁場望遠鏡が2014年2月4日に取得した偏光分光データから見つけたという。



    フレア

    太陽コロナ中で起きる爆発現象が「フレア」で、太陽系内で起きる最も激しい活動現象と言われている。

    X線や紫外線などのエネルギーの高い電磁波では、時折急激な増光が観測されることがあるが、この増光の原因の大半はこのフレアだ。
    わずか数分しか続かないが、温度は数1000万度にも達し、X線が大量に放出される。
    規模の大きなフレアでは、可視光領域でも増光が見られる。

    下の画像は2017年9月8日に発生したM8.1クラスのフレアで、波長が13.1nmと17.1nmの極端紫外線で撮影されたものだ。
    白く輝いているところでフレアが起こっている。
    磁力線の形がアーチ状になっているのがはっきり分かるのが凄い。
     

         Credit : NASA/GSFC/SDO  画像はNASAのサイトからお借りしました。 → こちら

    フレアが頻繁に発生するのは、黒点近くのコロナだ。
    黒点には強力な磁場があるため、そのエネルギーが何らかの形で解放された結果としてフレアが発生していると考えられる。
    その具体的な仕組みの最も有力なのが「磁気リコネクション」説だ。

    黒点ペアの付近では、N極から出ている磁力線と、S極へ入っていく磁力線が接近している状態にある。
    逆向きの磁力線が接近すると、それらがつながって磁力線のつなぎ替えが起こることがある。
    これが磁気リコネクションで、磁気再結合ともいう。

    磁力線に凍りついていたプラズマ粒子は、磁力線が縮むときに上下に吹き飛ばされてしまう。
    このときのプラズマ粒子の速度は秒速1000kmにもなり、その運動エネルギーを熱に換算すると1000万度以上にもなるという。



    コロナ質量放出(CME)

    フレアに伴って、コロナのガスの塊(かたまり)が磁力線といっしょに猛烈なスピードで惑星間空間に飛び出すことがある。
    これは「コロナ質量放出」と呼ばれ、1回で100億トンもの質量が噴き出し、磁気嵐など地球に大きな影響を与えることがある。

    AstroArtsニュースに「13の宇宙機でコロナ質量放出を追跡」という記事がある。 → こちら
    下の画像はその記事に載っていたもので、矢印がCMEの発生位置だそうだ。
    「STEREO-A」だけは、衛星の位置関係で、太陽を裏側から撮影した画像になっている。
    SOHOの画像で、太陽から左下に噴き出している明るい雲のようなものがコロナ質量放出である。
     

      画像をクリックすると大きな画像が表示されます。
      画像はESAのサイトからお借りしました。 → こちら

    幸運なことに他の様々な探査機もCMEの進行方向に位置していたおかげで、このCMEは合計13機の人工衛星や探査機によって太陽系の広い範囲にわたって追跡されることになったそうだ。


     
    参考図書
      ・「太陽に何が起きているか」、常田佐久、文春新書、2013年
      ・「驚異の太陽」、鈴木建、日本評論社、2020年



     








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