星空が好き、猫も好き

しばらく「宇宙物理学」のブログになります。
星空がきれいな晩はどこかへ出かけたいなあ

<< October 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

<< 宇宙物理学  主系列段階を終えると | TOP | 宇宙物理学  星の晩年と最後 (1)太陽質量の8倍以下の場合 >>

2020.09.06 Sunday

宇宙物理学  近年のベテルギウス騒動

0
    ***** 宇宙の構造 (2) 天の川銀河内 > 恒星 *****

    昨年の初冬から今年の春先にかけて、ベテルギウスが1等級ほど暗くなって大騒ぎになった。
    10年ほど前には、今にも超新星爆発を起こすのでは?なんて大騒ぎがあった。


    2019年から2020年にかけてのベテルギウスの減光

    ベテルギウスの光度変化を示す。
     
         AAVSOのサイトで図を作りました。 → こちら


    一時は1等級ほども暗くなったが、今ではすっかり元に戻っている。
    ベテルギウスはそもそも周期的に明るさが変わる星なので、幾つかの周期が重なって大幅に暗くなったのではという説があった。


    今年になって幾つかの研究発表があった。


    マックス・プランク天文学研究所らの研究グループは、ベテルギウスがサブミリ波でも20%ほど暗くなっていたと報告した。
    この変化の由来として、ベテルギウスの直径が10%ほど小さくなったか、あるいは表面温度が平均して200度ほど下がったか、が考えられるとしている。


    ヨーロッパ南天天文台(ESO)の「超大型望遠鏡(VLT)」による撮影画像が公開された。
    ベテルギウスは地球から約640光年と近いので、点ではなく球状に見える数少ない星の一つだ。
    ただし640光年という数値は誤差が25%もあるそうだ。(これくらいの距離の星はかえって計測が難しいらしい。)
    大阪にあるソフトボールを東京から見たほどの大きさにすぎないが、最新技術を使うと星の表面や周囲のガスの流れまで撮影できるそうだ。

         credit:ESO/M. Montarges et al.

    この画像は電離水素ガスが出す赤い光(Hα線)で撮影されていて、減光とともに形も変わったように見える。
    ベルギー・ルーヴェン・カトリック大学の研究チームは、赤外線ではあまり暗くなっていないため、ベテルギウスから漏れ出したガスに由来する塵のようなもの(ダスト)に下半分だけが覆われて光が遮られているためではないかと考えている。


    ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの研究グループは、ベテルギウスから放出された大量のプラズマによって減光が引き起こされたとする研究成果を発表した。
      → ハッブルサイト

    ハッブル宇宙望遠鏡は1年近く前からベテルギウスを観測していて、減光の一部始終も記録していたそうだ。
    観測データによると、減光を起こす前ベテルギウスは南側領域で大規模な爆発を起こしていた。
    この爆発で塵の雲が形成され、部分的にベテルギウスを隠したことが減光の原因と考えられるという。

    その様子を描写した想像図が公開されている。
    左から1枚目と2枚目では、明るい高温のプラズマが星の表面から噴出している。
    3枚目では、急速に外に向かったガスが冷やされて大量の塵の雲が形成されている。
    4枚目は、地球から見たときの視点で、巨大な塵の雲によりベテルギウスの南側からの光が遮られている。
     
         Image Credit: NASA, ESA, and E. Wheatley (STScI)



    ベテルギウスとはどんな星?

    ご存知のように、ベテルギウスはオリオン座の一等星で、オレンジ色をした星だ。
    質量は太陽の約20倍もあり、直径は太陽の約1000倍もある。
     

    地球から約640光年と近いので、点ではなく球状に見える数少ない星の一つだ。
    ただし640光年という数値は誤差が25%もあるらしい。
    大阪にあるソフトボールを東京から見たほどの大きさにすぎないが、最新技術を使うと星の表面や周囲のガスの流れまで撮影できるという。

    星の一生の90%の期間は、中心部で水素原子が核融合を起こしてエネルギーを作り出している安定な時期だ。
    ベテルギウスでは、この期間はわずか1000万年ほどしかなかった。
    そして中心部の水素が使い果たされると、外層が膨らみ始めて、やがて赤く大きな星(赤色巨星や赤色超巨星)になった。
    ベテルギウスはだいぶ前に赤色超巨星の時代に入ったと言われている。



    いまにも超新星爆発を起こす?

    10年ほど前になるが、ベテルギウスが2012年にも超新星爆発を起こすかもしれないと、ちょっとした騒ぎがあった。
    観測結果の発表の一部だけを捉えて、話を凄く大きくしてしまった、というのが真相のようだ。
    でも、ベテルギウスに何かが起こっていたのは間違いない。
       ・ガスが特定の3つの方向に放出されていて、その先端は40億km先まで到達している。
       ・表面に2つの大きな明るい白い模様が見られたり、
        一部がこぶのように盛り上がったりへこんだりしているようだ。
       ・大きさが変動している。(ただし観測する赤外線の波長で結果が異なるようだが。)


    NASAのウェブサイトの「今日の画像」の2010年1月6日版より  → こちら
     


    ベテルギウスから流れ出るガス(イメージ図)  ヨーロッパ南天天文台(ESO)のウェブサイトより → こちら
     


    ただし、これらの現象がすぐに超新星爆発に結びつくかどうかはわからないそうだ。
    あと10万年のうちには爆発するのではという点では意見が一致しているようだが、、、。

    ベテルギウスは近いこともあって精力的に観測されているが、他の赤色超巨星(例えばさそり座のアンタレス)のほうが先に超新星爆発するかもしれない。



    ベテルギウスが超新星爆発を起こしたら?

    さて、実際に超新星爆発した場合には、以下のように見られると考えられているそうだ。

    最初にやってくるのはニュートリノだ。
    爆発のエネルギーの99%はニュートリノとして放出される。

    そしてその1.5日後にピカッと輝きだす。
    1987年に大マゼラン銀河で起こった超新星爆発の時は、ニュートリノは数時間前にやってきた。
    今回は1日以上も余裕があるので、観測体制を整えて待ち受けることができるはずだ。

    赤かったベテルギウスが青くなり、1時間後にはリゲル、2時間後にはシリウス、3時間後には半月くらいの明るさになる。
    そして爆発の勢いで星が膨張し表面温度が下がることから、色は青から白へと変わっていく。
    明るさがピークに達するのは7日目で、満月と同じくらいの明るさになるそうだ。
    でもベテルギウスは点に近いので、ギラギラ度は満月の100倍もあるのではとも言われている。

    その後はほぼ同じ明るさが3ヶ月ほど続き、色は白からオレンジ色へと少しずつ変化していく。
    この期間には日中でも見ることができるだろう。
    4ヶ月目に入ると明るさは2等級ほど急速に下がり、そのあとはじわじわと暗くなって、15ヶ月後には−4等級の金星くらいの明るさになる。
    2年半後には2等級になり、4年後には6等級になる。

    しかし実際にはもっと明るく見えるかもしれない。
    まわりには、かつて放出されたガスやチリがあるので、それらが光を反射してさまざまな色で輝くと思われるからだ。


    これは是非見てみたいなあ。
    昼間に見えても面白くないので、ぜひ冬の時期に起きて欲しい。


     
    参考図書
      ・「ベテルギウスの超新星爆発」、野本陽代、幻冬舎新書、2011年


     








    コメント

    ももんがさん お久しぶりです。
    いやぁ、実に面白い記事でした。
    一時急激に暗くなっていよいよかとワクワクしていたのですが、元の明るさにもどったのが理解できなかったのです。
    超新星爆発後の経過など誰でも興味深々の話題ですね。
    この冬の星の会でのネタに使わせてくださいな。
    2020/09/08 1:33 AM by フィガロ
    >フィガロさん、おはようございます。

    今回の明るさの変化に関しては、いろいろな説がありましたね。
    でもこれが真相だったようです。
    プロの天文学者がしっかりと観測していたのを知って、ちょっと嬉しく思いました。
    なおベテルギウスは、最近また少し暗くなっているそうですよ。
    2020/09/08 6:44 AM by やまねももんが

    コメントする









    ▲top