星空が好き、猫も好き

星空がきれいな晩はどこかへ出かけたいなあ

<< March 2024 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

<< 宇宙物理学  星団 | TOP | 宇宙物理学  星間物質 >>

2020.09.20 Sunday

宇宙物理学  星雲

0
    ***** 宇宙の構造 (2) 天の川銀河内 > 星団、星雲、星間物質 *****


    星雲の実体はガス雲やチリ粒子だ。

    電磁波のスペクトルと放射過程の一般的な説明はこちらで説明してある。 → こちら



    星雲が輝いている仕組みで分類すると

    輝いている仕組みで分類すると以下のようになる。

    星雲
      ・暗黒星雲
      ・散光星雲
        ・反射星雲
        ・電離ガス星雲


    暗黒星雲
    チリ粒子を含むガス雲が背景の光を散乱・吸収して暗く見えている星雲だ。
    可視光で見る限り、暗黒星雲は自ら輝いている星雲ではない。
    しかし、そこに物質がないわけではなく、物質はたくさんある。
    暗黒星雲の主成分は分子ガスやチリ粒子で、その典型的な温度はマイナス260℃程度だ。
    温度が非常に低いので、ダストなどからの熱放射は主に赤外線(波長は数100ミクロン)になる。
    そして分子などからは、その種類に対応した輝線が主に電波として放出されている。


    反射星雲
    自分自身で輝いているわけではなく、近傍にある星の光を反射して輝いている。
    星からの光は主に熱放射(連続スペクトル)なので、反射星雲は連続スペクトルで輝いている。



    電離ガス雲
    強烈な光にさらされたり、ものすごい勢いでガスが衝突してくると、ガス(主に水素原子)は陽子と電子に分かれてしまう。
    これを電離という。
    電離した陽子と電子は再び結合して水素原子になる。
    これを再結合と呼ぶ。
    再結合するときに光を放射し、場合によっては再結合した後も、最もエネルギーの低い状態になるまで、どんどん光を放射していく。
    電離ガス雲は電離されたり再結合したりしながら輝いていて、その光は輝線スペクトルだ。

    強烈な光で電離されている電離ガス雲の代表格は「オリオン星雲」だ。
    「こと座のリング星雲」などの惑星状星雲もこの例だ。
    衝突で電離された電離ガス雲の代表例は、超新星残骸である「かに星雲」だ。
    超新星爆発の強烈な爆風でガスが電離して輝いているのだ。

    水素原子では、可視光領域での明るい輝線は波長が656.3nmのHα線だ。
    だから電離ガス雲は赤く写るのだ。
    また電離されるのは水素原子だけでなく、炭素や窒素や酸素など、さまざまな原子が電離される。
    それらはさまざまな波長で輝くため、かに星雲は色鮮やかな姿をしている。



    以下では、良く使われる分類に従ってそれぞれを見ていこう。



    暗黒星雲

    暗黒星雲は輝きもせず、反射もしない。
    光を吸収することで、シルエットとして見えているのだ。

    最も有名な暗黒星雲はオリオン座の「馬頭星雲」だろう。
    馬の首の部分には何もないわけではない。
    逆に冷たい分子ガスや塵粒子(ダスト)がたくさん詰まっている。
    それらが背後からやってくる星々の光を遮るのでシルエットとして見えるのだ。

      馬頭星雲
         画像はNASAのAPODからお借りしました。 → こちら



    散光星雲(電離ガス星雲)


    オリオン星雲
    きれいな模様は電離したガス雲の輝きである。
    この星雲の中心部には太陽よりも重い星がいくつかある。
    それらの星の表面温度は高く紫外線を出す。
    すると星の周りにあるガスは電離され、イオンになる。
    イオンは電子と衝突してエネルギーをもらうことができるが、エネルギーが低いほうが安定なので、光を放出して低いエネルギー状態に戻る。
    このとき放射される光で輝くのである。
    水素原子の場合は電離すると陽子と電子に分かれるが、また結合する。
    再結合した後、やはりエネルギーの低い状態に戻っていくが、そのとき光を出す。
    可視光で最も明るい光はHα輝線と呼ばれ、波長は656ナノメートルであり、色は真っ赤である。
    Hα輝線は他の輝線に比べて非常に強いので、オリオン星雲では赤い色が目立っている。

      オリオン星雲(M42)
         画像はNASAのAPODからお借りしました。 → こちら



    惑星状星雲

    惑星とは全く関係がなく、望遠鏡で見ると惑星のように見えることからこの名前が付いた。
    惑星状星雲は星の進化の終末期にできるガス雲の姿である。
    中心に残った白色矮星からの紫外線が星の周りに出ていったガスを電離して輝かせるのである。

      リング星雲(M57)
         画像はNASAのAPODからお借りしました。 → こちら

    数十億年後、太陽の周りにも美しい惑星状星雲ができているだろう。



    超新星残骸

    太陽の10倍以上の質量を持つ星は、最後に大爆発を起こして死ぬ。
    超新星と呼ばれる現象である。
    超新星残骸の代表格は「かに星雲(M1)」だ。

    超新星爆発はまさに大爆発で、ガスの飛び散るスピードは秒速数千キロメートルにもなる。
    そのため、ガスは激しくぶつかり、電離される。
    電離されたイオンが明るい輝線放射を出すので、美しい星雲として観測される。

      かに星雲(M1)
         画像はNASAのAPODからお借りしました。 → こちら



    参考図書
      ・「天の川が消える日」、谷口義明、日本評論社、2018年
      ・「アンドロメダ銀河のうずまき」、谷口義明、丸善出版、2019年











    コメント

    コメントする









    ▲top