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しばらく「宇宙物理学」のブログになります。
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2020.09.28 Monday

宇宙物理学  一般相対性理論 (2)

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    ***** 基礎物理学 > 相対性理論 *****


    再び自由落下

    自由落下している物体は、時空の中で「最もまっすぐな」経路に沿って運動する。
    直線は2点間の最短経路だというのは、平らな紙の上では真実だ。
    しかし重力が存在するところでは空間は湾曲して、最短経路は曲線になるのだ。
    そして自由落下しているから重力を経験しないのだ。


    国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士は、地球の周りで(ISSと一緒に)自由落下している。
    どうして地球に落ちていかないかというと、落ちながら前へ前へと進んでいるためだ。
    だから彼らは地球の重力を感じないのだ。

    地球は太陽の周りで自由落下しているので、私たちは地球上では太陽の重力を感じない。



    時空が曲がる(歪む)

    時空の曲がりをイメージするのは難しいので、2次元平面の曲がりに置き換えて、2次元の薄いゴムシートで説明されることが多い。
    ゴムシートの上に鉄球を載せると、ゴムシートは下にたわむ。
    これが物質によって時空が曲がった状態だ。
    次にゴムシートの上に2つの鉄球を少し離して置くと、ゴムシートはやはり下にたわむ。
    そして同時に2つの鉄球はたわみに沿って移動して近づき、最終的にはくっついてしまう。
    実はこれが万有引力と呼んでいる力が働くしくみなのだ。
     


    ゴムシートと鉄球の喩(たとえ)は、空間の湾曲(ゆがみ)とはどういうものかを具体的につかめるような視覚的イメージを与えてくれる。
    しかし、注意を要する点が幾つかある。

    このモデルでゴムシートがゆがむのは、ゴムシートが重力によって地球のほうに引っ張られるからだ。
    しかし、太陽のせいでまわりの空間がゆがむのは、重力によって「下に引っ張られる」ためではない。
    「引っ張る」役目をする他の物体などないのだ。
    このモデルでは、私たちがニュートン的枠組みのなかで重力に対して抱く直観に訴えるが、空間のゆがみが生じるメカニズムとしては正しくない。

    2つめの欠点は、ゴムシートが2次元だということからきている。
    しかし、これは視覚化の観点から仕方のないことだろう。

    3つ目の短所は、時間の次元を削除しているということだ。
    時間の次元をおなじみの3つの空間次元と対等に考えるべきだと特殊相対性理論が述べているにもかかわらず、見やすいようにこうしたのだ。



    曲がった空間の幾何学

    アインシュタインが友人で数学者のグロスマンに相談すると、当時完成していた「リーマン幾何学」の存在を教えてくれた。
    平らな空間上での幾何学(ユークリッド幾何学)ではなく、曲がった時空の幾何学だ。
    ただし、グロスマンは「これは込み入った数学なので、物理学者が深入りするものではない」と警告したそうだ。
    しかし、アインシュタインはその後の数年間にわたってリーマン幾何学と格闘する。

    時空の曲がり具合を表すには「曲率」という概念を使う。
    4次元時空の曲率はリーマン幾何学でなければ表現できず、そこには計量テンソルがふんだんに使われるそうだ。

    リーマン幾何学は全く分からない。
    計量テンソルだの曲率テンソルだのリッチテンソルだの、本当にチンプンカンプンだ!



    重力場の方程式(アインシュタイン方程式)

    物質(及びエネルギー)の存在によって周囲の時空がどのように歪むかを表す方程式を、「重力場の方程式」または「アインシュタイン方程式」と呼ぶ。
     

    左辺全体としては、時間と空間の幾何学(曲がり)を表している。
    右辺全体としては、物質やエネルギーの分布の効果を表している。

    一見簡単な式のように見えるかもしれないが、それは大間違いだ。

    まず下付き添え字の付いたものはテンソルで、4行4列の行列である。
    対称性のために、独立した成分は10個になっている。
    そのため全体としては10個の連立微分方程式になっていて、しかもそのどれもが非線形の偏微分方程式だとのこと。

    質量の分布の仕方が球対称であうような特別な場合だけは、紙と鉛筆で解くことができるそうだ。
    しかし、一般的な解を得るにはスーパーコンピュータに頼らなければならず、その場合でも多くの困難を伴うという。



    重力で時間が遅れる

    重力(正確には重力場)が強い空間では、時間の進みが遅くなる。
    しかし、これは相対的な現象だ。
    重力の弱い地球と重力の強い巨星を考えてみる。
    重力の弱い地球から重力の強い巨星を見ると、巨星での時間は地球より遅く進む。
    逆に重力の強い巨星から重力の弱い地球を見ると、地球での時間は巨星より速く進む。
     
    ??? 重力によって時間の進みが遅くなる理屈がよく分からない


    GPS衛星は、正確な時刻を刻む原子時計を備えて、地上から2000kmの上空を秒速4km(1周11時間58分)で周回している。
    地上のGPS受信機とGPS衛星とでは、相対性理論による時間の進み方に違いがあるので、その補正が行われているそうだ。

    GPS衛星は高速で運動しているので、特殊相対性理論の効果によって、地上の時計より1日あたり7マイクロ秒遅れる。
    またGPS衛星は重力の弱い上空にいるので、一般相対性理論に効果によって、地上の時計より1日あたり45マイクロ秒進む。
    これらを考慮しないと、1日で11kmの誤差が生じるそうだ。
     
         c 2015 香取秀俊  絵は東京大学のサイトからお借りしました。 → こちら



    重力赤方偏移

    重力の強い天体からやってくる光は波長が伸びてしまう。
    これを「重力赤方偏移」と呼ぶ。
     
         絵は Lefteris Kaliambos Wiki からお借りしました。 → こちら


    この現象を説明するのに、2種類の論法が見受けられる。

    (1)
    重力の強い天体では、時間がゆっくり経過している。
    光の振動数は単位時間当たりの振動の回数だから、時間の進み方が遅くなると遠方の観測者からは振動数は小さく観測される。
    これは言い換えれば、波長が長くなるということだ。

    (2)
    光と言えども、強い重力に逆らって進まなければならないので、かなりのエネルギーを費やしてしまう。
    光子のエネルギーは「hν(プランク定数×振動数)」だから、エネルギーが減少するということは、振動数が減少するということになる。
    これは言い換えれば、波長が長くなるということだ。

     
    ??? 重力赤方偏移の理屈がよく分からない



    重力は遠隔作用ではない

    ニュートンは、重力という力は距離がどんなに離れていても、ひとつの物体からもうひとつの物体へ瞬時に伝わるものと考えていた。
    このような力の伝わり方を「遠隔作用」という。
    実はニュートン自身も、遠隔作用に違和感を覚えていたようだが、追求しようとはしなかった。


    物体が動いたり回転運動したり、あるいは振動したりすると、いったい何が起こるだろう?
    重力場に変化が起きて、その変化が光の速さで波のように周囲に伝わっていく。
    このように、一般相対性理論では、むしろ「近接作用」として考えられている。



    水星の近日点移動

    水星の軌道はきれいな楕円にならず、周回を重ねる毎に軌道が少しづつずれていく。
    太陽にもっとも近づいた点(近日点)がずれていくことから、このような運動は「近日点移動」と呼ばれている。
    その原因の多くは他の惑星(特に木星)からの重力だが、どうしても説明できない部分があった。

    重力場はエネルギーをもっているので、重力場のエネルギーもまた質量に換算され、その質量が新たな重力場を作り出す、という事態が生じる。
    太陽に近いところでは重力が強いため、その効果が無視できなくなる。
    その結果、その軌道をまわっている物体はいずれも、逆二乗則から予想されるよりも大きな重力の引っ張りを感じる。
    惑星は楕円軌道を繰り返したどるのではなく、軌道模様を描きながら徐々に空間的位置を変える楕円軌道をたどる。
    これは太陽から遠く離れたところでは気づかれない。

    1915年に、アインシュタインが完成したばかりの方程式を適用してみたところ、水星が100年間で「43秒角の歳差運動をする」結果が出て、観測結果を見事に説明できた。
     
         絵は Wikipedia からお借りしました。


     
      参考図書
         ・「相対性理論の世界」、ジェームズ・A・コールマン、(訳)中村誠太郎、講談社ブルーバックス、1966年?
         ・「宇宙を織りなすもの 時間と空間の正体」、ブライアン・グリーン、(訳)青木薫、草思社、2004年
         ・「繰り返される宇宙」、マーチン・ボジョワルド、(訳)前田秀基、白揚社、2009年
         ・「重力とは何か」、大栗博司、幻冬舎新書、2012年
         ・「ブラックホール・膨張宇宙・重力波」、真貝寿明、光文社新書、2015年
         ・「時空のからくり」、山田克哉、講談社ブルーバックス、2017年
         ・「超入門 相対性理論」、福江純、講談社ブルーバックス、2019年


     








    コメント

    テンソルの表記が機械系で扱う弾性体の応力と歪の3行3列の表記にそっくりなのでてっきり行列演算と思った(じゃ、扱えるかも、と一瞬、楽観した)んですが、ウィキペディアを見ると違うようですね。広義のベクトル場というのは我々が高校で習った(しかも数靴任呂覆数兇如)ベクトルと一致しないようなのでこうなってくると手に負えません(笑)。ちなみに、現在の高校のカリキュラムでは行列を扱っていないので理系学生は大学に行って憤死するそうです。物理も理系の必修科目から外れて久しいですよ。昭和は遠くなりにけりです。
    2020/09/28 10:15 AM by 北杜の犬
    >北杜の犬さん、こんにちは。

    シュヴァルツシルトは、戦場でブラックホールの解を解いたそうです。
    電荷なし、回転なし、点対称、の条件です。
    私は全くのお手上げなので、ぜひ解いて教えて下さい。
    2020/09/28 11:38 AM by やまねももんが

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