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2020.10.04 Sunday

宇宙物理学  天の川銀河の構造 新しい描像

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    ***** 宇宙の構造 (3) 天の川銀河とその仲間 > 天の川銀河 *****


    天の川銀河の構造の続きだ。
    ここでは私が知らなかったこと(昔には習わなかったこと)がたくさん出てくる。
     
         クリックすると大きな画像が表示されます。
         この画像はネイチャーからお借りしました。 → こちら



    ダークマターハロー

    天の川銀河の内部ハローの外側には高温で稀薄なガスが取り巻いている。
    そしてさらにそれら全ての構造が、ダークマターハロー(暗黒物質ハロー)にすっぽりと包まれている。
    その直径は100万光年にも及び、その質量は太陽の約1兆倍と考えられている。

    ダークマターは、通常の物質と違って電磁放射と相互作用しないので、ハローの形状は球状になる。
    渦巻銀河では星が円盤状に分布しているが、これは不思議なことだ。
    円盤という平面的な分布ではなく立体的な球状に分布をしたほうが、万有引力の法則にかなっているはずだ。
    実際、星どうしの引力だけを考慮したシミュレーションでは、円盤銀河はすぐに壊れてしまうという。
    渦巻銀河のままでいられるのは、星のほかに重力を及ぼし合う物資があって、しかもそれが球状に分布しているためなのだ。

    ダークマターハローはどんな分布をしているのだろう?
    銀河や観測方法にもよるが、円盤(ディスク)部分では、見えている物質の0.1倍から数倍程度、ハローでは約10〜20倍程度と考えられている。
    だが、詳しい分布、さらには、どういう軌道を描いて運動しているかはまだよく分かっていない。

    円盤銀河ばかりか、ほとんどすべての銀河はダークマターハローに取り囲まれていることが分かってきている。
    宇宙の始めにダークマターの塊ができ、その重力によって普通の物質が引き寄せられ、ダークマターの塊の中心に落ち込み、そこで銀河が生まれたのだ。
    だからダークマターハローは、銀河が生まれる場所、いわば「銀河のゆりかご」なのである。

    だが、ダークマターの正体はまだ分かっていない。
    重力を及ぼすので物質であることは確かなのだが、電磁波と相互作用しないので目には見えないのだ。



    銀河中心部

    天の川銀河の中心には、太陽質量の約400万倍の質量をもつブラックホールが存在している。
    このようなブラックホールは、恒星質量ブラックホールとは違う種類の「怪獣」だが、そもそも銀河という天体が存在することの鍵を握っている。
    銀河中心部に関しては、次回説明する予定だ。



    星流(スター・ストリーム)

    天の川銀河の多数の星々とは全く異なった方向に運動している、細くて長い帯のような星の流れがある。
    全体の質量は太陽質量の数千〜1億倍、長さは2万〜100万光年もある。
    それらは「星流(スター・ストリーム)」と呼ばれていて、現在までに9ないし10個発見されているが、未発見のものもまだあると考えられている。
    星流は、天の川銀河のまわりを回っている小さな銀河(矮小銀河)や球状星団のひとつと微かに繋がっている。

    星流が他の天体と繋がっていることは、星流の起源にとって大きなヒントになる。
    まず、天の川銀河に極めて近づいた矮小銀河が、天の川銀河の重力、正確には潮汐力、によって引き裂かれる。
    そして天の川銀河のまわりを回るにつれて、星が矮小銀河からはぎ取られ引きずり出されて星流となるのであろう。
    いて座矮小楕円銀河は現在このプロセスの最終段階にあり、銀河自体が淡い一群の星としてかろうじて見える姿となっている。
    最終的には、星流以外は何も見えなくなり、その星流も天の川銀河と合体して消滅してしまうだろう。
     

    図は「いて座ストリーム」の想像図だ。
    紫色の流れが「いて座ストリーム」で、「いて座矮小銀河(Sagittarius dwarf)」の位置も示されている。

    また緑色の流れは「オーファンストリーム」という別の星流で、おおぐま座矮小銀河供Ursa Major II)がその起源ではないかと考えられている。



    バブル

    2010年に、NASAのガンマ線天文衛星「フェルミ」が天の川銀河の円盤から垂直方向にそれぞれ5万光年にも広がる2つの巨大なバブル構造を発見した。
     
         画像はNASAのサイトからお借りしました。  → こちら

    その想像図を上に示す。

    「フェルミバブル」と呼ばれるこの構造は、過去に銀河中心部で起こった爆発的なガス放出により作られたものと考えられている。
    おそらくその原因は、銀河中心部にある大質量ブラックホールだろう。
    現在は活動が活発ではないが、過去に活動的な時期があったことは十分に考えられる。

    アストロアーツ・天文ニュースに記事がある。
      → こちら
      → こちら


    「様々な波長の電磁波で見た天の川」において、ガンマ線の項では「フェルミバブル」を、X線の項では「ノースポーラースパー」を紹介した。
      → こちら

    早稲田大学理工学術院の片岡淳さんたちの研究チームは、1000万年前に天の川銀河の中心で起こった爆発により、フェルミ・バブルやその外側の巨大ループ構造が一気に形成されたという説を提案している。
     

         画像は早稲田大学のサイトからお借りしました。 → こちら

    アストロアーツ・天文ニュースに記事がある。
      → こちら



    天の川銀河の周り

    大小のマゼラン雲は、お互いの周りを10億年程度で回っている連銀河であり、かつ天の川銀河の周りを20億年程度で回っている伴銀河だ。

    その大小のマゼラン雲は、南半球の夜空を横断するような長大なストリーム構造をつくりだしている。
    それは「マゼラン雲流(マゼラン・ストリーム)」と呼ばれている。

    この流れは大小マゼラン雲に含まれていた水素原子ガスが天の川銀河の潮汐力によって引き出されたものだと考えられていた時期があった。
    しかし、実際には、小マゼラン雲の水素原子ガスが大マゼラン雲の潮汐力によって引き出されていることがわかってきた。
    このマゼラン雲流は天の川銀河を半周するぐらいの距離に及んでいるように見える。
    しかし、これはごく一部で、長さはざっと100万光年もあることがわかっている。
     
         画像はAPODからお借りしました。 → こちら

    可視光による天の川の画像に、電波で観測した水素原子ガスの分布を合成したものだ。
    中央やや右下のピンク色が濃い部分の中に白っぽい領域が見えるが、それが大小のマゼラン雲だ。

    アストロアーツ・天文ニュースに記事がある。
      → こちら


     
    参考図書
      ・「銀河と宇宙」、ジョン・グリビン、(訳)村岡定矩、丸善出版、2008年
      ・「宇宙の果てを探る」、二間瀬敏史、洋泉社、2009年
      ・「重力機械」、ケイレブ・シャーフ、(訳)水谷淳、早川書房、2012年
      ・「ダークマターと恐竜絶滅」、リサ・ランドール、(訳)向山信治、NHK出版、2015年
      ・「輪廻する宇宙」、横山順一、講談社ブルーバックス、2015年
      ・「アンドロメダ銀河のうずまき」、谷口義明、丸善出版、2019年


     








    コメント

    ダークマターは実は存在せず、人類がまだ発見していない物理法則があるのではないかと言っている著名な研究者もいます。もし見つることができれば今までの理論がひっくり返りますね(笑)。
    2020/10/04 10:41 AM by 北杜の犬
    >北杜の犬さん、こんにちは。

    物理学での理論の原則は、実験や観測で実証されなければならないことだと思います。
    新しいことを言い出すときは、こういう実験や観測をすれば検証できるはずということを、同時に示して欲しいですね。
    でも最近は、それができない場合が増えてきているようで、どうするのでしょうね?
    2020/10/04 4:59 PM by やまねももんが

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