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2013.10.13 Sunday

露光時間の異なる画像のコンポジット

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    デジタルカメラの個体撮像素子としてCMOSイメージセンサーが広く使われていますが、ダイナミックレンジはあまり広くありません。
    そのために、星雲星団の明るい部分などはすぐに飽和(白とび)してしまいます。

    これを避けるには、露光時間の異なる画像をコンポジットすることが有効な方法です。
    ここでのコンポジットは加算平均のことです。
    それによって実効的なダイナミックレンジを広げることができるのですが、この仕組みを簡単にご説明します。


    話を単純化するために輝度だけを考えます。
    そして、トーンカーブの図で考えると分かりやすいと思います。
    トーンカーブの図では、横軸が入力(処理前)で縦軸が出力(処理後)です。
    今の場合は、入力(横軸)は被写体の輝度で、出力(縦軸)は撮影した画像での輝度です。
    横軸の右端は被写体の最も明るい部分の明るさで、縦軸の上端は画像の飽和(白とび)レベルと考えて下さい。

    さらに単純化して、この入出力特性が直線だとします。
    実際には様々な要因で、微妙に?直線からずれていると思います。


    はじめに

    露光時間が2分のときに、下図の緑線の特性になったとします。
    被写体の最も明るい部分が飽和(白とび)レベルとなっていて、ダイナミックレンジを最大限に使うことができています。
    でも、この状態では星雲星団の淡い部分が露光不足になってしまうのですよね。



    では露光時間を4分にしたらどうでしょうか?
    下図の青線の特性になり、明るい部分が飽和(白とび)してしまいます。




    それでは、露光時間の異なる画像をコンポジットするとどうなるでしょう。


    例1

    露光時間が2分のものと1分のものをコンポジットした場合を考えます。

    露光時間が2分の特性が緑とします。
    露光時間が1分の特性を黄緑とします。
    両者の差は、直線の傾きの違いとなって現れてきます。


    2枚を加算平均でコンポジットすると、ピンクの直線になります。
    加算平均ですから、ある入力値における緑と黄緑の出力値を足して2で割るとピンクの出力値が求まります。
    これでは露光時間を1.5分とした場合と同じになってしまって、ダイナミックレンジに関しては駄目です。



    例2

    露光時間が4分のものと1分のものをコンポジットした場合を考えます。

    露光時間が4分の特性が青とします。
    露光時間が1分の特性が黄緑とします。
    露光時間が4分のものは、飽和(白とび)が起こっています。


    2枚を加算平均でコンポジットすると、ピンクの線になります。
    例1の場合と違って、単純な直線ではなくて折れ曲がった直線になります。
    輝度の低い部分では、露光時間が4分のものよりは暗くなりますが、2分のものよりは明るくなります。
    そして飽和(白とび)が回避できます。
    でも、ダイナミックレンジをフルに使えていないですね。



    例3

    それでは、露光時間が4分の画像を2枚と、露光時間が1分の画像を1枚を使ったらどうなるのでしょうか?
    図では青線は1本ですが、2本が重なっていると思って下さい。


    3枚を加算平均でコンポジットすると、ピンクの線になります。
    加算平均ですから、ある入力値における青の出力値の2倍と黄緑の出力値を足して3で割るとピンクの出力値が求まります。
    例2よりはよくなりましたが、まだダイナミックレンジをフルに使えていないです。
    でも、4分の画像の枚数をもっと増やしてやれば、もっと良くなっていきます。



    例4

    露光時間が4分のものと2分のものをコンポジットした場合を考えます。

    露光時間が4分の特性が青とします。
    露光時間が2分の特性が緑とします。


    2枚を加算平均でコンポジットすると、ピンクの線になります。
    ダイナミックをフルに使えるようになりましたね。
    折れ曲がり部分の角度も例3よりも小さくて、こちらのほうが良いような気がします。


    以上、かなり単純な場合に関して説明してみました。
    実際には、以下の事などを考慮して多段露光時間とその重み付けを決めることになろうかと思います。
      ・どこまで飽和(白とび)を許容するか。
      ・淡い部分をどの程度浮かび上がらせたいか。
    これらは結局、どこにどれだけの諧調を割り振るかという事で、画像処理のコントラスト強調で考慮することと同じですね。
    また重み付けは、画像の枚数だけでなくて、合成の際の不透明度(Photoshopの場合)でも調整することができます。



    なお、この記事はだいぶ前にブログ仲間へのコメント用に書いたものでした。
    ちょうど先日も別のブログ仲間と露光時間の異なる画像のコンポジットに関して話をしたところなので、修正加筆して公開することにしました。











    コメント

    なるほど、露光時間の異なる画像を単純にコンポジットしただけでは、狙った効果は出せないわけですね。
    図解していただくと分かった(ような)気になります。

    先ず1枚画像で狙った部分の飽和直前を見つけ、それ以上淡い部分の表現には、露光時間を延ばした画像とコンポジットする・・・と理解してよろしいでしょうか。
    2013/10/13 7:19 AM by 悠々遊
    >悠々遊さん、おはようございます。

    CMOSイメージセンサーを開発していた経験があるのですが、
    そのころもダイナミックレンジに関してはこんな図を描いて考えていました。

    基本的には仰るとおりで良いと思います。
    でも白とびさせない画像が綺麗かどうかは別問題なので、それを基本としていろいろと試してみるのが良いでしょう。
    露光時間をいろいろと変えて撮っておけば、そのブレンドの加減は自由に変えられますからね。
    2013/10/13 7:30 AM by やまねももんが
    おはようございます。
    突っ走り脳の自分は、「例1」のグラフをみたところ
    「いいじゃん」と思いましたが、詳細解説を読んで「むむう!」
    しかし撮影時に重み付けを考慮するなんて、どーしたらいいんだろう、って思うところです。
    どういう塩梅でいくのか、その方針を決めるには、心の余裕が必要そうです。

    僕も先日来のやまねももんがさんからのアドバイスをまとめたいなあと考えていたのですが、
    どうも抽象的な言葉でしか残せないのでした…。
    開発もされていたとのことで、こうやってビジュアルでも見せてもらえるのはとても参考になります。
    2013/10/13 10:46 AM by ミッチー
    >ミッチーさん、こんにちは。

    まずは基本は基本として理解しておいて、あとは応用編ですよね。
    応用編は試行錯誤しながら、自分の感性を信じてやるしかないと思っています。
    私の判断基準は、綺麗がそうでないかですが、自分の感性に今ひとつ自身が持てません(涙)。
    私は処理においてブラックボックス的になるのは嫌なので、ほとんが手作業でやっています。
    でないと、気に入らないときにどのように方向を変えていけばよいのかが分からなくなってしまうのですよね。
    2013/10/13 11:13 AM by やまねももんが
    これはとてもわかりやすい説明ですね。
    多段露光の重要性がとても理解できました。
    ありがとうございます。
    計算しての実践は無理ですが
    長時間、短時間と中間時間を意識して
    撮影してみようと思います。
    2013/10/14 10:36 AM by 道端小石
    >道端小石さん、こんにちは。

    原理的なことは知っておいて損は無いと思いますよ。
    あとは、あれこれ実験してみるのが良いと思います。
    ブレンドの塩梅は人それぞれに好みが違ったりしますからね。
    2013/10/14 1:23 PM by やまねももんが
     感覚だけでやっている私にとって、やまねももんがさんの解説はいつも目からうろこです。なるほど、そういうことだったんだ、と納得するばかりです。ありがとうございます。
    2013/10/16 3:53 PM by 阪神ファンいっこう
    >広島ファンいっこうさん、こんにちは。

    はい、ここは必ずテストに出るので、しっかり覚えておいて下さいね(笑)。
    でも、単純な加算平均でない場合はどうなうのかなあ?
    誰かレポートにまとめてくれないかなあ?
    2013/10/16 4:31 PM by やまねももんが

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