とても久しぶりに、ちゃんとした星空写真のご紹介です。
35年も前の1976年の8月のことです。
星仲間5人で、秩父の三峰山のキャンプ場に出かけました。
私は、銀河(天の川)に沿って連続的に撮影してパノラマ写真を作ろうと目論見ました。
レンズは35mmの広角レンズです。
コダックの天文写真専用フィルムである103aEにR1フィルタを使い、露出時間は20分としました。
一応、繋げられるような写真は取れたのですが、、、。
まず露光時間が不足でした。(手動ガイドなので、私には20分程度が限界でした。)
そして、ところどころのコマで現像ムラのようなスジができてしまいました。
赤い光(103aE)と青い光(103aO)でそれぞれ撮影して、並べてみると面白いだろうなあと考えていたのですが、これ以降も実現できませんでした。
銀河に沿って いて、たて
1976/08/23 21:05 FD35mm F2.0→3.5 ガイド撮影(20分)
Kodak 103aE パンドールで現像(12.5分) R1フィルタ 埼玉県・三峰山
”いて座” 付近は、銀河(天の川)の最も濃いところで、明るい部分と暗い部分が入り乱れています。
また、大きくて明るい散光星雲が幾つもあります。
”たて座”付近も銀河(天の川)がかなり濃く、いて座付近の銀河中心部がビッグ・スター・クラウドと呼ばれるのに対して、スモール・スター・クラウドと呼ばれています。
103aEフィルムにR1フィルタを使うと、街灯りの影響をかなり遮ることができるので、コントラストの高い星野写真が撮れます。
ちょうど銀河(天の川)の方向に木立があって、肝心な部分が写せませんでした。(涙)
銀河に沿って たて、へび、わし
1976/08/23 21:34 FD35mm F2.0→3.5 ガイド撮影(20分)
Kodak 103aE パンドールで現像(12.5分) R1フィルタ 埼玉県・三峰山
この付近は、暗黒星雲によって銀河(天の川)が2つの流れに分かれており、その様子は肉眼でも分かります。
でも、”いて座” と” わし座” の間は星座がよく分かりません。
左側のスジは現像ムラでしょうか?(涙)
ところどころのコマで発生しています。
銀河に沿って や、こぎつね、こと、はくちょう
1976/08/23 23:25 FD35mm F2.0→3.5 ガイド撮影(20分)
Kodak 103aE パンドールで現像(12.5分) R1フィルタ 埼玉県・三峰山
七夕伝説の織姫星は ”こと座のベガ”で、ひこ星(牽牛)は ”わし座のアルタイル” で、両者が天の川で隔てられているのが分かります。
この付近も銀河(天の川)が2つの流れに分かれていますが、その様子は肉眼では分かりづらいです。
明るい星の周りに輪が出来ているのはハレーションという現象で、乳剤層とフィルムベースとの境界や裏面で反射した光が引き起こしているものです。
銀河に沿って こと、はくちょう
1976/08/23 23:55 FD35mm F2.0→3.5 ガイド撮影(20分)
Kodak 103aE パンドールで現像(12.5分) 埼玉県・三峰山
R1フィルタを付けるのを忘れてしまいました。(涙)
フィルタを付けるとファインダーでは何も見えないので、構図を決める時にはフィルタを外しているのです。
フィルタを付けないと、フィルムの実効感度は高くなりますが、粒状性は悪くなるようです。
でも、これだけ写ると、フィルタ無しも魅力的ですねえ。
左側だけが周辺減光がとても大きいのですが何故でしょうか?
銀河に沿って はくちょう
1976/08/24 01:25 FD35mm F2.0→3.5 ガイド撮影(20分)
Kodak 103aE パンドールで現像(12.5分) R1フィルタ 埼玉県・三峰山
”夏の大三角” 付近の銀河(天の川)は、まだまだ明るくて、肉眼でもはっきり見えます。
”はくちょう座” には明るい散光星雲が幾つかあります。
最も大きくて明るいのが北アメリカ星雲で、十字の交点のγ星付近には複数の散光星雲が写っています。
また網状星雲も、うっすらと写っています。
休憩して撮影し直したら、高度が低くなってきてしまいました。(涙)
銀河に沿って ケフェウス、とかげ
1976/08/24 01:50 FD35mm F2.0→3.5 ガイド撮影(20分)
Kodak 103aE パンドールで現像(12.5分) R1フィルタ 埼玉県・三峰山
秋の星座の領域まで来ると、銀河(天の川)もかなり淡くなってきます。
それでも夜空の透明度が良いと、肉眼でも見ることができます。
右側のスジは現像ムラでしょうか?(涙)
銀河に沿って カシオペア、ペルセウス
1976/08/24 02:10 FD35mm F2.0→3.5 ガイド撮影(20分)
Kodak 103aE パンドールで現像(12.5分) R1フィルタ 埼玉県・三峰山
秋の星座はギリシャ神話の主人公たちの世界です。
”ペルセウス座” 付近は銀河(天の川)が非常に淡くて、途切れているようにも感じます。
この付近の銀河(天の川)を写すには、20分の露光では不足だったようです。(涙)
でも手動ガイドで撮影しているので、この程度が限度でしょう。
銀河に沿って ペルセウス、ぎょしゃ
1976/08/24 03:10 FD35mm F2.0→3.5 ガイド撮影(20分)
Kodak 103aE パンドールで現像(12.5分) R1フィルタ 埼玉県・三峰山
冬の星座である ”ぎょしゃ座” までたどり着きましたが、右上に何かの灯りが写り込んでしまいました。(涙)
このフィルムは赤い散光星雲がとても良く写るので、カリフォルニア星雲などの比較的明るい散光星雲が幾つかあるのが分かります。
左上には、−2.4等の木星がいます。
一晩中快晴で、楽しいキャンプでした。
星空を楽しめたかと言うと、じっと見たのはガイド星だけだったかも。