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2013.07.31 Wednesday

宇宙物理学  一般相対性理論

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    「特殊相対性理論」に続いて「一般相対性理論」です。

    アインシュタインさんが一般相対性理論に取り組んだ時、ニュートンの重力の法則をどう扱うかが問題だったそうです。
    ニュートンさんは重力は瞬間的に働くと想定していました。
    しかし、特殊相対性理論で明らかになったように、何物も光より速く伝わることはできません。
    また物質でなくても、あらゆる形態のエネルギーは有効質量(つまり何らかの重さ)があることを特殊相対性理論で発見していたのですよね。


    アインシュタインさんは、重力は加速度と等価であることに気づきました。

    ある宇宙飛行士が上向きに毎秒9.8mの割合で加速度を増す部屋にいるとしましょう。
    これは地球表面で落下している物体が受ける重力加速度と同じ大きさです。
    話を簡単にするために空気抵抗は無視できるとします。
    この宇宙飛行士が金槌と羽を床から同じ高さのところで手放すと、床に同時に落ちます。

    でもこれを外部から覗くと、金槌と羽は動かないまま浮かんでいて床が急上昇するように見えるでしょう。
    つまり重力と加速度とは識別不可能なのです。
    これを「等価原理」と呼びます。

    車などで急カーブを曲がるときに遠心力を感じますが、実はそのような力は存在しないそうです。
    全ての重さのある物体は、いったん動き始めると一定の速さで直線上を動き続ける性質があります。
    「慣性」と呼ばれるこの性質のために、遠心力を感じるのです。

    重力に関しても同様で、そのようなものは存在せずに、物体は単に慣性の結果として運動しているにすぎないと考えたそうです。
    でも、地球は太陽の周りを廻っていて、直線運動しているわけではないですよねえ。

    直線は二点間の最短経路だというのは、平らな紙の上では真実です。
    でも重力が存在するところでは空間は湾曲して、最短経路は曲線になるのです。
    だから、地球は太陽の周りを廻り、光でさえ曲がるのです。

    重力とは4次元の時空が歪んだものなのですが、残念なことにこれを視覚化するのは不可能です。

    時空を通過して「最もまっすぐな」経路に沿って運動している物体は、自由落下しているのです。
    そして自由落下しているから重力を経験しないのです。

    地球は太陽の周りで自由落下しているので、私たちは地球上では太陽の重力を感じません。
    国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士は、地球の周りで自由落下しています。
    だから彼らは地球の重力を感じないのです。
    重力が生じるのは、物体が自由な運動に従うことを妨げられたときだけです。
    地球にいる私たちの自然な運動は、地球の中心に向かう自由落下です。
    でも地面がそれを妨げるので、私たちはその力を身体に感じて、それを重力として解釈しているのです。

    物質は時空を歪ませ、そしてこの歪んだ時空は他の物体に影響を与えるのです。

    このアインシュタインさんの考え方をどのように感じられましたか?
    目から鱗と感じられましたか?
    詭弁のようで眉唾物だと感じられましたか?



    時空と物質とが相互に関係し合う、つまり時空と物質とを統一した理論が一般相対性理論です。
    一般相対性理論の最大の成果は、物質の存在によって周囲の時空が曲がることを明らかににした点だそうです。
    これを表す方程式を、「重力場の方程式」または「アインシュタイン方程式」と呼びます。


    左辺全体としては、時間と空間の幾何学(曲がり)を表しているそうです。
    右辺全体としては、物質やエネルギーの分布の効果を表しているそうです。


    時空の曲がりをイメージするのは難しいので、2次元平面の曲がりに置き換えて、2次元の薄いゴムシートで説明されることが多いですよね。
    ゴムシートの上に鉄球を載せると、ゴムシートは下にたわみます。
    これが物質によって時空が曲がった状態です。
     

         画像はWikipediaよりお借りしました。

    次にゴムシートの上に2つの鉄球を少し離して置くと、ゴムシートはやはり下にたわみます。
    そして同時に2つの鉄球はたわみに沿って移動して近づき、最終的にはくっついてしまいます。
    実はこれが万有引力と呼んでいる力が働くしくみなのです。


    時間と空間に分けて考えると、次のようになるそうです。
      物質があると時間の進み方が遅くなる。
      物質があると周囲の空間が曲がる。


    光は曲がった空間の中で最短コースをとって進みます。
    これを少し離れたところから見ると、光が曲がって進むように見えるのです。

    太陽の表面付近では時空が100万分の1ほど曲がっているそうです。
    これは太陽の表面付近を通過する光の進路が360度の100万分の1ほど曲がることを意味します。
    日食の際に太陽の周囲に見える星の位置を調べて、その位置のずれから一般相対性理論の正しさが証明されたことは有名ですね。

    また時間については、太陽の表面付近では100万分の1ほど時間の進み方が遅くなるそうです。
    火星が太陽をはさんで地球のほぼ反対側にあるときに、火星にレーダー信号を送ってその往復時間を測定するという実験が1960年代に行なわれました。
    レーダー信号の往復時間が250マイクロ秒(1万分の2.5秒)だけ長くなることが確かめられたそうです。



    特殊相対性理論を改良して一般相対性理論を生み出すのに、アインシュタインさんは10年もの長い歳月をかけています。
    これは、時空の曲がりを記述するためのリーマン幾何学の習得に時間がかかったためだそうです。
    私たちが学校の数学で習うのはユークリッド幾何学です。
    三角形の内角の和は180度であるという定理が成り立つ空間です。
    でも、地球儀で赤道上の2点と北極点とをつないだ三角形では、内角の和は180度よりも大きくなります。
    このように曲面(曲がった平面)や曲がった空間における幾何学の理論がリーマン幾何学で、これは当時の最先端の数学理論でした。



    参考図書
      ・相対性理論から100年でわかったこと
         (佐藤勝彦さん、PHPサイエンス・ワールド新書、2010年10月発行)
      ・量子論で宇宙がわかる  (マーカス・チャウンさん(訳:林一さん)、集英社新書、2011年12月発行)










    2013.07.30 Tuesday

    宇宙物理学  特殊相対性理論

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      相対性理論はアルベルト・アインシュタインさんによってつくられたのは誰でもご存じですよね。



      相対性理論は、特殊相対性理論と一般相対性理論があります。
      前者は基礎となる理論ですが、等速直線運動している場合にしか適用できず、また重力を扱えなかったので、特殊という名前が付いているようです。
      後者は前者を拡張して一般化したものだそうです。

      でも私には全く別物のように思えます。
      特殊相対性理論は、時間と空間を物理的に考察して、それまで誰も気づかなかった時間と空間の性質を明らかにしたものです。
      一般相対性理論は、重力の理論であり、時間と空間が物質の存在によってどのように歪められるのかを明らかにしたものです。


      まずは「特殊相対性理論」です。


      特殊相対性理論の出発点は、「光速度不変の原理」です。
      これは、光源がどんな速度で運動していてもそこから出る光の速度は一定であり、またどんな速さで運動している人から見ても光の速度は一定に見えるというものです。
      光って不思議ですね。
      高速道路を車で走っていると、同じような速さで走っている車は止まっているように見えますよね。
      これは速度合成の法則と呼ばれて、ニュートン力学における基本法則の一つだそうです。
      でも、光に関してはこれが通用しないのです。

      アインシュタインさんは、この光速度不変の原理を土台にして、時間と空間の性質を考え直したのです。
      通常、距離を測るには物差しが用いられ、時間を測るには時計が用いられます。
      そこで、与えられた時間内に光が動く距離を測ったとき、常に速さが正確に毎秒30万kmであるためには、あらゆる人の物差しと時計に何が起きなければならないでしょうか?
      極めて簡単に言えば、これが特殊相対性理論なのです。
      宇宙にいる全ての人が光の速さについて意見が一致するために、空間と時間に起こらなければならないことに対する「レシピ」なのです。


      特殊相対性理論からは、いろいろと不思議な事が明らかにされました。

      (1)動いている時計はゆっくりと時を刻みます。
      時間の流れる速さは観測者によってバラバラで構わないのです。
      すなわち時間とは相対的なものなのです。

      もちろん、このような現象は物体が光速に近い速度で運動するときに初めて明確に現れるものです。
      でも東京から博多まで新幹線で移動すると、時間が約10億分の1秒遅れるそうですよ。

      人工衛星に乗っている時計は、猛スピードで地球の周りを回っているので、特殊相対論の効果で地球の時計より遅く進みます。
      一方でその場所は地上より重力が小さいので、時計の進み方に一般相対論での重力の効果が現れます。
      そのために両方の効果を合わせて補正しないと、GPSは1日に10kmほど狂ってしまうそうです。

      また互いに運動している2人の観測者は、遠方の出来事に対して同じ時間を割り当てることは決してできません。
      彼らの時計は常に異なる速さで動いているからです。
      だから「同時性」の概念さえも成り立たないのです。


      (2)動いている物体は進行方向の長さが縮んで見えます。
      これは物体が本当に圧縮されるのではなくて、空間(長さ)を測る物差しが変化することを意味します。

      太陽に最も近い恒星であるアルファケンタウリまでの距離は約4.3光年です。
      もしあなたが光の速さの99.5%の速さで往復しても約9年かかる計算になります。
      しかし、あなたの視点からアルファケンタウリまでの距離は相対性によって1/10に収縮されます。
      だから、この往復旅行は9年の1/10、すなわち約11ヶ月しか掛かりません。
      地球からあなたの宇宙船内を見ることができれば、船内の時計が約10倍ゆっくりと時を刻み、あなたがスローモーションで動いていると感じるでしょう。
      でもあなたにとっては、時計の刻みも自分の動きも完全に通常だと感じます。
      そして地球のことを見ると、地球の時計は約10倍ゆっくりと時を刻み、みんながスローモーションで動いていると感じるでしょう。
      これが相対性の魔法なのです。


      (3)光の速度はこの世で実現できる最高速度なのです。


      (4)質量とエネルギーは等価(同一のもの)なのです。
      質量はエネルギーの一形態であるのと同時に、エネルギーもまた有効質量を持っているのです。
      E=mc2 という有名な式で、1gの物質に適用すると9×1013ジュールという途方もないエネルギーになります。
       


      (5)時間と空間は「時空」として一体不可分のものです。

      時間の遅れや空間の縮みはばらばらに起こるのではなくて、連動して起こります。

      ある人が空間だけによって隔てられている出来事と見るものを、別の人は空間と時間によって隔てられている出来事と見ます。
      そしてその逆も成り立ちます。
      ある人が時間だけによって隔てられている出来事と見るものを、別の人は空間と時間によって隔てられている出来事と見ます。
      したがって、空間のあるものが時間に見え、時間のあるものは空間のように見えるのです。
      ある人の空間距離は別の人の時間間隔と空間距離であり、ある人の時間間隔は別の人の時間間隔と空間距離であるのです。
      つまり、時間と空間は入れ替え可能なのです。


      相対性理論も量子論に劣らずに禅問答のようですね。



      参考図書
        ・相対性理論から100年でわかったこと
           (佐藤勝彦さん、PHPサイエンス・ワールド新書、2010年10月発行)
        ・量子論で宇宙がわかる  (マーカス・チャウンさん(訳:林一さん)、集英社新書、2011年12月発行)










      2013.07.29 Monday

      宇宙物理学  シュレーディンガー方程式

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        まず普通の波について考えてみましょう。
        例えば水面上の波です。
        池に小石を投げ入れると、円形状の波ができて、外側に広がっていきます。
        明らかに波は動いていますね。
        でも水そのものは波と一緒に移動するわけではなくて、同じ場所で上下運動を繰り返しています。
        このように通常の波では何らかの媒質がなければなりません。

        次に電磁波について考えてみましょう。
        光は電磁波の一種であることはご存知ですよね。
        電磁波は実在の波ですが、媒質はありません。
        媒質がないということは真空を意味するので、真空中を伝わる波です。
        光が伝わる媒質として「エーテル」というものが考えられた時代もあったようですね。

        実在する波(水面上の波,音波,電磁波など)は数式を用いて正確に表すことができます。
        この式には、波長,振動数,波の伝播速度,振幅などが含まれています。

        では、粒子の波とは何でしょう?
        オーストリアの理論物理学者エルヴィン・シュレーディンガーさんは、ド・ブロイさんの「物質波」に対して「波動方程式」を考え出しました。
        こんな式です。


        Ψ(r,t)が粒子に対する波(波動関数)を表しているのですが、私はとても理解できません。
        だいたいギリシャ文字が出てくると、読めないし書けないし、もうお手上げです。

        この波動関数も、実在波と同じように波長,振動数,波の伝播速度,振幅を持っているのだそうです。
        観測不可能な波を数式で表現したら、実在波と同じような特性を持っていたなんて、何とも不思議で奇怪な世界ですね。
        しかも干渉まで起こすのですからね。

        でもシュレーディンガーさん自身は、当時はこの物質波をどう解釈してよいか分からなかったそうです。
        実は数式で表された物質波は、「複素関数」になっているのです。
        複素関数とは、複素数(実数と虚数が混じり合っている数)で表されている関数のことです。

        そこで、ドイツのマックス・ボルンさんが物質波の絶対値の2乗が、存在確率になっているのではないかと考えました。
        存在確率?
        またまた、訳の分からないことが出てきましたね。
        とにかくこれ以降は、シュレーディンガーの波動方程式を解いて得られる波は、物質波とは言わずに「確率波」と言われるようになりました。


        例えば原子1個の大きさの箱に電子を1個入れて密閉します。
        この状態に関して、シュレーディンガー方程式を適用して解くと、いろいろな波が出てくるそうです。
        それらの波は、電子の取りうる状態(位置や運動量やエネルギー等)に対応します。
        このひとつひとつの波をギリシャ文字のΨ(プサイ)で表します。
        電子の取りうる状態は複数あるので、それぞれをΨ1,Ψ2,Ψ3、、、、などと表します。
        だれも見ていないときの箱の中の電子は、全ての状態(波)の重ね合わせとして表されて、
        Ψ=Ψ1+Ψ2+Ψ3、、、、となります。

        量子論では、観測前には「いろいろと異なった状態」が同時に存在するのでしたよね。
        日立の外村(とのむら)彰さんたちが行なった「1個の電子による二重スリット実験」を思い出して下さい。
        1個の電子が誰にも見られずに二重スリットを通過する時は、「右のスリットを通過する状態」と「左のスリットを通過する状態」が同時に重なっているのです。


        水素原子の中の電子に適用した例を見てみましょう。

        原子の中の電子は波ですから、原子核の周囲をぐるりと囲んだ波がうねうねと揺れ動いているようなイメージですかね。
        発想が貧弱ですみません。
        この波が同じ状態で安定していられるには、「定在波」の条件を満たさなければなりません。
        この条件を満たす状態はいくつもあって、そこでは電子はエネルギーを失わずに安定していられるのです。
        でも、この記述はあくまでイメージです。

        では、水素原子の電子雲の断面図をお見せしましょう。
        これはシュレディンガー方程式をの解をコンピュータで解析して得られた図です。
        顕微鏡写真ではありませんよ。



        それぞれの図は、エネルギーや角運動量が異なる場合を計算した結果だそうです。
        水素原子ですから電子は1個しかありませんが、そのたった1個の電子がもやもやと描かれているのです。
        明るい部分は電子の存在確率が高くて、黒い部分は存在確率がゼロです。


        参考図書
          ・量子力学はミステリー (山田克哉さん、PHPサイエンスワールド新書、2010年9月発行)
          ・相対性理論から100年でわかったこと
             (佐藤勝彦さん、PHPサイエンスワールド新書、2010年10月発行)










        2013.07.28 Sunday

        ブルーベリーが収穫できそう

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          昨日の八王子は、日中はとても蒸し暑くて、夜になって雷雨になりました。
          関東北部はかなり激しい雨になったようですが、水源地付近は僅かしか降らなかったようです。

          今日は朝から青空が広がっています。
          でも雨上がりなので、湿度が高いですね。





          ブルーベリーの実がだいぶ良い感じになってきました。
          ときどき味見をしているのですが、酸っぱさが少なくなって、甘みが増してきました。
          もうちょいです。
          このところ、ヒヨドリもよく味見に来ています。





          サルスベリです。
          今年も昨年と同様に、カナブンがたくさんいます。
          どうも蕾を食べているようです。





          クマバチでしょうか?
          花から花へ飛び交っています。



          10:53 | 庭の風景 | comments(6) | - | - | - |







          2013.07.26 Friday

          せっかくセミが来たのに

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            ここしばらく、関東地方はぐずついた天気が続いています。
            猛暑が収まったのはいいのですが、湿度が高くて蒸し暑いです。
            たまに雷が鳴って、激しい雨が降ったりしています。

            数日前からやっとセミの鳴き声が聞こえるようになりました。
            主にアブラゼミですが、ミンミンゼミの鳴き声も聞こえます。
            昨日は、今年初めてセミがやってきました。




            アブラゼミですね。
            網戸にとまっています。





            兄弟猫は目ざとく見つけたようで、じっと見ています。
            でも窓際まで行こうとしないのは何故でしょう?
            1年ぶりなので、忘れてしまったのかな?





            兄の海(かい)は鳥を見た時のように「カカカカ」と声を出しています。





            でも大きなあくびをして、寝てしまいました。





            弟の空(くう)はじっと見ていますねえ。





            でも、寝てしまいました。


            今日はどうも眠いようです。
            まあ、夏バテしないように睡眠はたっぷりとらないといけませんよね。










            2013.07.25 Thursday

            宇宙物理学  閑話休題 (1)

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              とにかく最近の物理学はとても難解に感じます。
              どうしてなのかを少し考えてみました。
              (もちろん、自分が勉強していないことは棚に上げています。)



              物理学は、昔は観測結果や実験結果ありきでした。
              そしてその結果を説明するために理論が構築されていきました。
              対象事象も殆どが直接目に見えるものだったので、物理学者でなくても分かりやすいものでした。
              学校で習った理科や物理は、多くがこの範疇たったと思います。
              太陽の周りを回る惑星の運動に対するケプラーの法則や万有引力の法則はいい例ですね。


              でもウロボロスの絵で、人間から離れれば離れるほど、そうではなくなってきます。
              素粒子の世界はその最たるものですよね。
              まず目に見えませんからね。
              そして理論が先行して、実験が後追いになっています。
              ヒッグス粒子の発見はまさにそうですよね。

              しかもヒッグス粒子はすぐに壊れてしまうそうで、実際にはその痕跡を探すのだそうです。
              これじゃ発見と言われても、素人には何が何だか分かりませんよね。


              しかし観測や実験ができるものはまだ良いです。
              理論だけが先行している領域は、様々なアイデアによっていろいろな理論が提案されます。
              でも観測や実験による検証ができない(できていない)ので、判断しようがないです。
              超ひも理論などは、そんなふうに感じます。

              だから、同じようなテーマの本を読んでも、著者によって内容がかなり異なる場合があります。
              また書かれた時期にも注意が必要です。
              新しい本を積極的に読みたいですね(本屋さんの回し者ではありませんよ。)


              また量子論は別の意味で手に負えません。
              例えば電子は粒だと思っていました。
              それが粒のような波のような、、、。
              しかも確率的にしか予測ができないなんて、どういうことでしょう。
              このような振る舞いをどう解釈するかは、量子力学の解釈問題と呼ばれて、物理学者でも様々な考えがあるようです。
              アインシュタインさんは量子力学には懐疑的で、「神は宇宙を相手にサイコロ遊びをしない」と言って猛烈に反発したそうです。



              また最新知ったことですが、少し気になることがあります。
              日本の高校では、今も相対性理論も量子論も教えないようですね。
              これら20世紀を代表する物理学は、それ以前のいわゆる「古典物理学(伝統的な物理学)」とは大きく違います。
              大げさに言えば、天動説から地動説への転換に匹敵するほどの考え方の転換を求められます。
              これは頭が柔らかい若いうちに慣れ親しんでおかないと駄目だと思います。
              高校ではもう遅いかもしれません。

              また、宇宙の膨張やハッブルの法則については教科書でふれられていますが、ビックバンは登場しないのですね。
              学習指導要領で「素粒子の研究が宇宙の始まりの研究と結びついてきたことに簡単にふれる程度にすること」と名指しで制限されているようです。
              こんな面白いことを学べば、理科離れが減るのでないかと思うのですよねえ。










              2013.07.24 Wednesday

              宇宙物理学  粒子の波とは?

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                私たちが学校の理科で習った物理学は、今では「古典物理学(伝統的な物理学)」と呼ばれています。
                この古典物理学では、粒子は徹底的に粒子であり、波は徹底的に波として扱います。
                粒子と波との間に何の関わり合いもありません。
                さらに、基本的に未来を絶対的な確実さで予測することができるとされています。

                ところが、ミクロの世界(原子よりも小さな世界)では、量子論というマクロの世界とは別の奇妙な物理法則に従います。
                量子論の奇妙さ,異質さは、次の2点にまとめられるでしょうか。
                  ・波と思われていた光も、粒子と思われていた電子なども、粒子でもあり波でもあるのです。
                  ・ミクロの世界では、未来はサイコロが決めます。


                それでは、粒子の波とは何でしょう?

                前回の「電子の2重スリット実験」でわかったように、たった1個の電子でも「粒子であり、波でもある」のです。
                そして光もそうですが、走り回っているときは波の性格が出て、物質や光などと相互作用するときは粒子として振舞うようです。

                例えば密封された箱の中に電子が1個入っているとしましょう。
                電子の波を観測しようとして箱を開けてみると、そこにはもう波はなくて、箱の中のどこかで電子は観測されます。
                つまり、驚いたことに電子の波は観測不可能で見えないのです。

                では、電子が波になっていたということがどうして分かるのでしょうか?
                それは、波にしか起こりようがない現象(回折と干渉)が電子で観測されたからです。

                では、電子の波とは何が振動しているのでしょうか?
                何が振動しているのかは誰にも分からないようです。

                なんか殆ど禅問答のような話になってしまいましたね。


                粒子の波は数式でしか表すことができません。
                シュレーディンガーの波動方程式というやつです。
                そして、それを解くと電子がどこに観測されるかが正確に分かるというじゃないですか。
                でも、ここだと1ヵ所を指し示すことはできなくて、どこに観測される確率がどのくらいということしか言えないそうです。

                私たちの常識では、箱を開けようが開けまいが(観測しようがしまいが)電子の状態は完全に決定されていると考えますよね。
                ただ箱を開けるまでは(観測するまでは)、それが分からなかっただけだと。

                でも量子論は、箱を開ける前(観測する前)は電子の状態は何一つ決まっていないのだと言うのです。
                観測する前は、全ての可能性が混じり合っていて、その全ての位置を同時に占めるという状態が重なり合っていると言うのです。
                そして、この状態が「波」なのだそうです。
                しかし箱を開ける(観測する)と、波は消滅して、可能性のうちの1つだけが現れるのだそうです。
                でもどの可能性が出現するかは、現れてみないと分からないそうです。
                だから、決定論ではなくてサイコロが決める確率論の世界なのです。


                アインシュタインさんは、こうした考え方に対して「神は宇宙を相手にサイコロ遊びをしない」と言って猛烈に反発したそうです。


                観測する対象物の物理的状態は、観測以前にすでに決定されている。
                そのすでに決定されている状態を観測すると、そのすでに決定されている状態が観測される。
                これが「物理的実在」というもので、人間が観測しようがしまいが物理的実在は存在する。
                これがアインシュタインさんの考えです。

                イギリスの物理学者スティーブン・ホーキングさんは「神は宇宙を相手にサイコロ遊びをするだけでなく、我々に見えないところでサイコロを投げるのだ」と言ったそうです。

                このように、量子論はとてもミステリアスな理論です。
                あまりに奇怪なために、現在においても解釈は判然としていないそうです。

                なお、このような量子論の対象になるのは、電子のようなミクロな粒子に限ります。
                私たちの身の回りの物体も波の性格を持っているそうですが、その波長が非常に短くて観測することができないそうです。



                参考図書
                  ・量子力学はミステリー (山田克哉さん、PHPサイエンス・ワールド新書、2010年9月発行)
                  ・相対性理論から100年でわかったこと
                     (佐藤勝彦さん、PHPサイエンス・ワールド新書、2010年10月発行)
                  ・量子論で宇宙がわかる  (マーカス・チャウンさん(訳:林一さん)、集英社新書、2011年12月発行)










                2013.07.23 Tuesday

                宇宙物理学  電子の二重スリット実験

                0


                  前回、光は「波」と「粒子」の両方の性格を持っているようだという話をしました。

                  今度は粒子であると固く信じられたきた電子の話です。
                  フランスの物理学者であるルイ・ド・ブロイさんは、光とは逆に粒子もまた波動のように振舞えるのではないかということを1924年に自身の博士論文で提案しました。
                  この波は「物質波」とか「ド・ブロイ波」と呼ばれていて、質量mの粒子が速度vで運動する場合に
                  「λ=h/mv」で示される波長λに相当する波であると見なせるというものです。
                  この波長λは「ド・ブロイ波長」と呼ばれています。
                  この理論は1927年にデイヴィソンさんやトムソンさんによって、結晶での電子線の回折・干渉現象を見つけた実験によって実証されました。
                  そしてシュレーディンガーさんが波動力学を定式化するのにも使われたそうです。
                  これらの業績によって、ルイ・ド・ブロイさんは1929年のノーベル物理学賞を受賞しました。


                  ここで、世界で一番美しい実験と言われているものをご紹介します。
                  Physics World誌の読者による投票で2002年に「最も美しい実験」に選ばれたものです。
                  日立の外村(とのむら)彰さんたちが行なった「1個の電子による二重スリット実験」で、19世紀初頭にトーマス・ヤングさんが光の干渉性を示すために行なった実験の電子版です。
                  しかも、電子を1粒づつ打ち出せる電子銃を作って実験したのです。

                  実験の詳細は日立のHPに公開されています。  → こちら



                  電子を打ち出すと、検出器(ヤングの実験でのスクリーンに相当)で電子が到達した場所が分かります。
                  最初はランダムな場所に到達しているように見えます。
                  でも実験を重ねて多くの電子の到達場所を積算していくと、だんだんと縞模様が現れてきます。
                  まさしく干渉縞です。
                  電子が波の性格を有している証拠です。

                  日立のHPにはビデオ画像もあるので、是非見て下さい。


                  でも、よく考えるととても不思議です。
                  電子を1粒づつ打ち出して実験したので、一方のスリットと他方のスリットを通った波は同じ電子のものです。
                  つまり自分自身の波同士が干渉を起こしているのです。

                  また、電子がどちらのスリットを通ったのかを調べようとすると、干渉縞は消えてしまうそうです。
                  どんな手段で観測しようとしても、観測はちょっかいを出すことになります。
                  つまりちょっかいを出すと、波としても性格が消えうせて粒としての性格だけになってしまうということらしいです。



                  参考図書
                    ・量子力学はミステリー (山田克哉さん、PHPサイエンス・ワールド新書、2010年9月発行)
                    ・村山さん、宇宙はどこまでわかったんですか?
                       (村山斉さん (聞き手は高橋真理子さん)、朝日新書、2013年4月発行)
                    ・相対性理論から100年でわかったこと
                        (佐藤勝彦さん、PHPサイエンス・ワールド新書、2010年10月発行)
                    ・量子論で宇宙がわかる  (マーカス・チャウンさん(訳:林一さん)、集英社新書、2011年12月発行)










                  2013.07.22 Monday

                  宇宙物理学  光は波なのか粒子なのか?

                  0


                    19世紀初頭にイギリスの科学者トーマス・ヤングさんは、光の干渉性を示す実験を行ないました。
                    これは「ヤングの実験」と呼ばれているもので、これによって光が波であることが示されました。




                    波が干渉することを観察するには、2ヶ所から位相のそろった波を同時に出してその干渉具合いを調べなければなりません。
                    通常の光源からは、さまざまな波長や位相の光が出ています。
                    そこで、光源から出た光をまずとても細いスリットに通し、さらにそのスリットから等距離にある2つのスリットに通します。
                    これによって、2つのスリットから出る光は波長も位相も全て同じ光になります。
                    そして、狭いスリットを通過するので、光は回折現象によって広がります。

                    2つのスリットから出る光がスクリーンにたどり着くとき、波の山と山が重なればその部分は明るい線となり、波の山と谷が重なればその部分は暗い線となります。
                    この明線と暗線のことを干渉縞と言い、縞の間隔を測ることで光の波長も分かります。
                    なお、図はわかりやすく描いたもので、実際には光はこれほど大きく広がらないし、スリットからスクリーンまでの距離も数メートルあったようです。

                    なお、光源として位相の揃っているレーザー光を使う場合には、1つ目のスリットは必要ありません。


                    1864年にイギリスの科学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルさんは、電磁場の振る舞いを記述する基礎方程式を導出しました。
                    これによって電場と磁場が統一されたわけです。
                    学校の理科では電気と磁気は別々のものとして習ったと思います。

                    そして、この「マクスウェルの方程式」から波動方程式が導かれて、電磁波は真空の誘電率と透磁率で決まる速度を有することも分かりました。
                    この速度が光の速さとほとんど一致したために、マクスウェルさんは光は電磁波ではないかという予測を行ないました。
                    そして、その予測は1888年にハインリヒ・ヘルツさんによって実証されました。



                    しかし、20世紀になると光の新たな性質が発見されます。
                    そしてそれらは上記の電磁波では説明がつかないものでした。
                    そこで1905年にアインシュタインさんは光が粒子だと解釈する「光量子仮説」を提案しました。
                    プランク定数hと光の振動数ν(ニュー)を用いて「E=hν」と表わせるエネルギーを持つ粒子だと考えたのです。
                    でもここで光の振動数という概念が入っているので、波としての性格を全面的に否定したわけではなくて、粒子でもあるという二面性を考えたのですかね?
                    また、この仮説に基づく「光電効果」の理論的解明も行い、これらの業績によって、アインシュタインさんは1921年のノーベル物理学賞を受賞したのです。
                    相対性理論で受賞したのだと思っていたので、これは意外でした。


                    光電効果とは、金属板に光を当てると電子が飛び出してくる現象です。
                    光の波長や強さを変えてみると、幾つかの特徴的な結果が得られました。
                      ・光が金属板に当たった瞬間に電子が飛び出してきます。
                      ・ある波長よりも長い波長の光では、電子は飛び出してきません。 光を強くしても駄目です。
                      ・一方で、ある波長よりも短い波長の光では、弱い光でも電子が飛び出してきます。

                    微弱な光を検出する装置として光電子倍増管(フォトマル)というものがありますが、これは光電効果を利用したものです。
                    ニュートリノの観測で有名なカミオカンデでは、浜松ホトニクスが開発したとても大きな光電子倍増管が大活躍したのです。
                      → こちらの記事が面白いです。 (20インチ光電子増倍管開発ストーリー(浜松ホトニクスのHP))



                    なお、光を粒子として扱う場合は「光子」と呼びます。
                    「みつこ」ではなく、「こうし」と読みます。


                    どうも光は「波」と「粒子」の両方の性格を持っているようです。
                    そして、走っているときは波の性格が出て、電子などと相互作用するときは粒子として振舞うようです。
                    でもそう言われても、どうもイメージが湧きませんよね。



                    参考図書
                      ・量子力学はミステリー  (山田克哉さん、PHPサイエンス・ワールド新書、2010年9月発行)
                      ・相対性理論から100年でわかったこと
                          (佐藤勝彦さん、PHPサイエンス・ワールド新書、2010年10月発行)
                      ・量子論で宇宙がわかる  (マーカス・チャウンさん(訳:林一さん)、集英社新書、2011年12月発行)










                    2013.07.21 Sunday

                    今年最初のアブラセミ

                    0

                      数日前に、今年初めてセミの鳴き声を聞きました。
                      7/6に梅雨が明けて厳しい暑さが続いているのですが、セミが地上に出てくるのがちょっと遅いような気がします。





                      最近、地面の所々に穴が開いているのを見かけます。
                      穴の直径は1.5センチほどでしょうか。

                      少し探してみたら、紫陽花にセミの抜け殻を見つけました。
                      犯人はこれですね。





                      そして、その少し上に本体がいました。
                      アブラゼミです。

                      まだ飛べないのかなあ?
                      と思って、近づいて写真を撮っていたら、飛んでいってしまいました。





                      セミの抜け殻を持ってきてやったのですが、
                      兄の海(かい)には無視されてしまいました。





                      弟の空(くう)は興味があるようで、スンスンと匂いを嗅いでいます。
                      「これ、何だ?」





                       でもすぐに飽きてしまったようです。



                      04:58 | 庭の風景 | comments(6) | - | - | - |







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