60Daと100mm中望遠レンズによる星野写真シリーズです。
メシエ天体(全て),カルドウェル天体(一部),その他の面白そうな散光星雲や暗黒星雲、が対象です。
この「さそり座領域3」には、以下の天体があります。 (※ 領域名は私が勝手に付けています。)
・M6(NGC6405) : 散開星団
・M7(NGC6475) : 散開星団
・NGC6334 : 散光星雲(出目金星雲、猫の足星雲)
・NGC6357 : 散光星雲(彼岸花星雲)
撮影日時 : 2015/05/27 00:55〜 120sec×35枚
撮影場所 : 山梨県・みずがき湖 気温は約11℃
カメラ : EOS 60Da (ISO1600、RAW)
フィルター : 無し
レンズ : EF100mm F2.8 Macro (F4.0)
ガイド : EM11(ノータッチ)
処理
・RAP2 : ダーク減算、フラット補正
・CameraRaw8.5 : Raw現像
・StellaImage6.5 : デジタル現像、Lab色彩調整
・Photosop CC : コントラスト調整、色合い調整、等々
空の暗さ(×)、透明度(D)、フォーカス(B) 5段階評価
StellaNavigator での写野 (恒星は9.5等まで、星雲星団は12.0等までを表示)
”さそり座” のしっぽのすぐ上の領域で、下端にしっぽの先端の星が写っています。
前回よりは構図を少し下に向けました。 →
前回はこちら
この領域の目玉は2つの散光星雲で、それぞれにニックネームが付いています。
M6の右側にも、淡いですが大きな赤っぽい領域がありますね。
そして大きくて明るい散開星団が2つあり、一方は明るい銀河の中にあり、もう一方は暗黒帯の中にあります。
それ以上に、複雑に入り組んだ暗黒帯の様子がとても面白いです。
かなりの低空なので空は明るくて透明度もよくありませんでした。
しかも撮影開始してから1時間ほど経つと、下側に木々が写り始めてしまったのです。
それがなければ2時間以上は露光できたはずでした。
この領域は銀河(天の川)がとても濃くて、どういうふうに仕上げたら良いのかとても悩みます。
銀河の色合いも場所によってかなり微妙で、青や緑が強いところも見られます。
でもこれは偏り補正によって作りこんでしまった可能性も否定できません。
また暗黒帯があまり暗くなって潰れてしまわないように仕上げています。
M6 (ピクセル50%表示で切り抜き)
ちょうど暗黒帯の中に位置しているので、写真でもよく目立ちます。
周囲に散開星団がたくさんあるのが分かりますね。
すぐ右側に淡いですが赤っぽい領域があります。
M7 (ピクセル50%表示で切り抜き)
大きくて明るい散開星団ですが、銀河の濃い部分に位置しているので、
写真ではちょっと目立ちませんね。
メシエ天体の中では最も南に位置するものだそうです。
NGC6334、NGC6357 (ピクセル50%表示で切り抜き)
上がNGC6357(彼岸花星雲)です。
もっと淡い部分まで写ると、彼岸花の形に見えてくるのでしょうね。
下がNGC6334(出目金星雲、猫の足星雲)です。
猫の足とは肉球のことのようです。
参考までに、撮影を開始した頃の星景写真と処理前の画像を示します。
処理前の画像は、Raw現像でホワイトバランスを調整して、コンポジットしたものです。
明るさと色合いの偏りやムラがとても酷く、さらにコントラストの偏りもあって、処理はとても難航しました。
偏りやムラの補正を施して少しコントラスト強調を行うと偏りやムラが見えてきてしまうので、
また補正を施して少しコントラスト強調を行います。
これを何度も繰り返しますが、やがて破綻してしまいます。
仕方が無いので最初からやり直します。
破綻した部分を気を付けながら進めていくと、前よりは少し先へ進むことができます。
これを何回繰り返したでしょうか?
処理時間もさることながら日数もかなりかかりました。
ある程度良いかなという状態まで行っても、次の日に見ると駄目なのですよねえ。
これの繰り返しで、一時はボツにしようかと思ったほどです。
偏りやムラ補正レイヤーは合計で50枚近くなり、今までも最も多いなりました。
でもこんな苦労をしなくて済むような場所で撮影するのが良いですね。
さそり座領域4(2015/04/18に撮影)とモザイク合成してみました。