2015.12.30 Wednesday
星野写真(60Da、100mm) おうし座領域4
60Daと100mm中望遠レンズによる星野写真シリーズです。
メシエ天体(全て),カルドウェル天体(一部),その他の面白そうな散光星雲や暗黒星雲、が対象です。
この「おうし座領域4」には、以下の天体があります。 (※ 領域名は私が勝手に付けています。)
・おうし座分子雲 : 分子雲,暗黒星雲
撮影日時 : 2015/12/18 23:41〜 480sec×15枚
撮影場所 : 山梨県・みずがき湖にて 気温は約-4℃
カメラ : EOS 60Da (ISO1600、RAW)
フィルター : 無し
レンズ : EF100mm F2.8 Macro (F4.0)
ガイド : EM11(ノータッチ)
処理
・RAP2 : ダーク減算、フラット補正
・CameraRaw8.5 : Raw現像
・StellaImage6.5 : デジタル現像、Lab色彩調整
・Photosop CC : コントラスト調整、色合い調整、等々
空の暗さ(B)、透明度(BC)、フォーカス(AB) 5段階評価
恒星は9.5等まで、星雲星団は等級制限の指定無しを表示
この領域は、プレアデス星団の東側で、ヒアデス星団の北側です。
主役は「おうし座分子雲」です。
おうし座分子雲はこの画角でも入りきらないほど広がっていますが、この辺りが最も濃いように思われます。
分子雲という言葉は、私も使っていますが、よく見聞きするようになったのは最近のことですよね。
星間雲,分子雲,星雲(輝線星雲,反射星雲),暗黒星雲(暗黒物質ではありませんよ!)といろいろな言葉がありますが、私は次のように捉えています。
素人なので勘違いしている部分があるかもしれませんが、、、。
星間雲は原子や分子のガスや塵などが集まって雲のようになっているものです。
その中で特に分子が主成分のものを分子雲と呼んでいるのだと思います。
宇宙で最も多く存在している原子は水素ですから、この場合の分子は主に水素分子です。
分子は原子同士が衝突して結合しないと出来ませんから、分子雲は星間雲の中でも濃い(密度が高い)と思われます。
それらがどのように見える(どのように写る)かによって星雲としての呼び方が違ってきます。
近くに明るい星(恒星)があると、その星の光を反射して雲が輝きます。
これを反射星雲と呼び、その光は連続スペクトルになります。
その星(恒星)が高温の場合は、紫外線などのエネルギーの高い光によって、分子が壊されたり原子が電離したり励起したりします。
この励起した原子は、原子特有の波長(エネルギー)の光(電磁波)を放出します。
量子力学で習いますが、原子はとびとびのエネルギーしか持てないからです。
水素原子が3番目に高いエネルギー順位から2番目に高いエネルギー順位に移るときに、656.3nmの赤い光を出します。
これが有名なHα光です。
順位の組み合わせに応じて波長(エネルギー)が決まるので、その光は輝線スペクトルになります。
水素原子では可視光の領域で最も輝度が高いのが上記のHα光です。
このように輝線スペクトルで輝いている星雲が輝線星雲で、写真ではほとんどが赤く写ります。
近くに明るい星(恒星)が無い場合には、星雲として輝かないので見えません。
でも背後の星の光を遮ってしまうほど雲が濃い場合には、暗黒星雲として認識できます。
背後に明るい星雲などがある場合は、馬頭星雲のようにもっとはっきり見えます。
背後の星が透けて見えるような場合でも、最近のデジタルカメラと画像処理によって分子雲を浮かび上がらせることができるようになったのは驚きです。
分子雲が薄い場合は色合いはほとんど無いようですが、比較的濃い場合は赤茶色のような色合いで仕上げている画像が多いですね。
私としてはかなりたっぷり露光したつもりでいましたが、甘かったです。
分子雲が濃くて背後の星の光を遮っている部分はノイズでざらついています。
背後の星が少し透けて見える部分の色合いがうまく出せませんでした。
そして非常に小さくて淡いですが、反射星雲が幾つかあるのですね。
この領域にはメシエ天体もカルドウェル天体もありませんが、あえて撮影したのはもちろん濃い分子雲があるためです。
そして、近隣の領域とモザイク合成しようと思ったからです。
プレアデス星団がある「おうし座領域2」と繋げてみました。 → こちら
ヒアデス星団がある「おうし座領域3」も繋がるかなと思いましたが駄目でした。