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2020.08.30 Sunday

宇宙物理学  HR図

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    ***** 宇宙の構造 (2) 天の川銀河内 > 恒星 *****


    HR図


    正式には「ヘルツシュプルング・ラッセル図(Hertzsprung-Russell diagram)」と言うが、学校で習った記憶がないだろうか?

    縦軸に絶対等級、横軸にスペクトル型(表面温度)をとった恒星の分布図のことだ。
    デンマークのエニュア・ヘルツシュプルングさんとアメリカのヘンリー・ラッセルさんの2人の天文学者によって提案されたので、頭文字をとって「HR図」と呼ばれてる。
    元々のHR図では横軸は星のスペクトル型をとるが、星の表面温度を用いる場合もある。
    縦軸の絶対光度とは、天体が仮に我々から見てある基準となる距離(10パーセク(約32.6光年))にあったとしたときの明るさだ。

    スペクトル型は「Oh Beautiful American Fine Girl Kiss Me」と高校生のときに覚えたが、皆さんはどうだろう?
    その後、赤外線を観測できる望遠鏡によって褐色矮星が発見され、1999年以降はL型とT型の2つの区分が加わっている。
    そして広視野赤外線探査衛星と呼ばれる赤外線衛星が、さらに温度の低いY型に分類される星を発見した。


    このHR図でいろいろな恒星の明るさと色合いをプロットしてみると、まんべんなく分布するのではなくて、いくつかのグループに分かれる。

    大部分の星は図の左上(明るくて高温)から図の右下(暗くて低温)に延びる狭い帯状の領域に集中してしまう。
    この帯状に集まった星のグループを「主系列」と呼ぶ。
    これらは中心部で水素の核融合反応が安定に進行している星で、いわゆるふつうの星たちだ。
    太陽も(今は)この主系列星に属している。

    星は一生の90%ほどの期間を主系列星として輝くそうだ。
    主系列の帯のどのあたりに位置するかは、主に星の質量で決まる。
    質量が大きいほど左上に、小さいほど右下に位置する。
    また星の寿命もその質量で決まる。
    私たちの太陽の寿命は約100億年といわれている。(現在は半ばにさしかかったところだ。)
    太陽の2倍の質量をもつ星は、太陽の10倍の明るさで輝き、約20億年で寿命を迎える。
    質量が5倍の星は約1億年、10倍の星は約2600万年、100倍の星は約270万年だそうだ。
    太陽の半分の質量の星は1700億年、10分の1の星は数兆年も寿命があるそうだ。


    主系列に属さない星の大半は、主系列の右上と左下にさらに2つのグループをつくる。
    右上のグループに属するのが、表面温度が低いのに明るい星で、老齢期を迎えて太った「赤色巨星」だ。
    それらの中でもベテルギウスのように特に大きな星は「赤色超巨星」と呼ばれている。

    左下のグループに属するのは、表面温度は高いのに暗い星たちで「白色矮星」と呼ばれている。
    シリウスの伴星(シリウスB)はこの白色矮星で、太陽と同じくらいの質量があるのに、半径は地球と同程度しかない。

    私は知らなかったのだが、青色超巨星というものもある。。
    直径が太陽の数十倍以上あり、光度が太陽の1万倍(全エネルギー放射で太陽の10万倍)以上もあるそうだ。
    リゲルはこの青色超巨星だ。



    プレアデス星団(若い散開星団)のHR図

         画像は New Mexico State University のサイトからお借りしました。 → こちら

      横軸が一番上の図と少し違うが気にしないで欲しい。

    プレアデス星団は誕生してから数千万年程度の若い星の集団で、約15光年の広がりの中に数千個もの星がある。
    肉眼でも見える明るい星は青く輝く高温の星で、太陽の数倍以上の質量を持っていて、表面温度が1万5000度以上もある。
    これらの星は、主系列星の左上に位置している。
    そして明るさと温度がほどほどの星や、低温で赤くて暗い星もちゃんとあり、主系列の帯がしっかりできている。
    ただし、赤色巨星は無い。
    最近の赤外線望遠鏡の観測によると、プレアデス星団の中に褐色矮星がたくさん見つかっている。
    これらの星は低温であるため赤外線を放出しているが、それを捉えるためには赤外線望遠鏡でなければ観測できないのである。

    このHR図は、生まれてまもない星がどのような様子なのかを教えてくれる。
    光度も温度も高い状態で生まれる星もあれば、光度も温度も低い状態で始まる星もあるのだ。
    ただそういうふうに生まれているのだ。



    M13(球状星団)のHR図

         画像は NASA の APOD からお借りしました。 → こちら

    球状星団はどの星も古い。
    写真の大部分を占めるのは、最も明るい赤色巨星だ。
    HR図は、主系列から左上側の青っぽい星を除き、主系列でない赤色巨星を加えたものとなる。
    主系列では光度が低く温度も低い天体しかない。
    主系列の左上側の星も生まれたであろうが、すでに赤色巨星になってしまったのだ。

    ??? 中段左側の青っぽい部分はよく分からない。



    参考図書
      ・「宇宙の果てを探る」、二間瀬敏史、洋泉社、2009年
      ・「宇宙へようこそ 宇宙物理学をめぐる旅」、ニール・ドグラース・タイソン 他、(訳)松浦俊輔、青土社、2016年











    2020.08.28 Friday

    宇宙物理学  電磁波のスペクトルと放射過程

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      ***** 基礎物理学 > 電磁波 *****


      全ての天体は、強弱はさておき、可視光のみならず、あらゆる波長帯で電磁波を放射している。
      またさまざまな放射過程で電磁波を放射している。

      しかし教科書には、物質の放射過程を理解するには、熱力学、統計力学、原子物理学、量子力学、などの知識が必要になると書いてある。
      でもそれらは横に置いといて、まずはアバウトに説明しようとしたら、自分でもよく理解していないことに改めて気づいてしまった。

      なお物理学者は、可視光によらず電磁波を一般に「光」と呼ぶようだ。



      電磁波の波長と呼び名

      電磁波はその波長に応じていろいろな名前で呼ばれている。

      ガンマ線 : <10pm
      X線 : 10pm〜10nm
      紫外線 : 10nm〜400nm
      可視光 : 400nm〜700nm
      赤外線 : 700nm〜1mm
      マイクロ波 : 1mm〜1m程度
      電波 : 1m〜100km程度

        pm=10-12m、 nm=10-9m、 um=10-6

      参考までに
        ウィルスの大きさは、数10nm〜数100nm
        原子の大きさは、だいたい 0.1nm(100pm)


      宇宙を地上(すなわち大気の底)から観測する場合、大気を通過してくる電磁波しか観測できないという大きな制約がある。
      実は地球大気は特定の波長の電磁波しか通さないのだ。
      主に可視光から近赤外線、および波長の短い電波しか透過できず、その領域を「大気の窓」と呼ぶことがある。

           画像はWikipediaからお借りしました。 → こちら

      電磁波のエネルギーは波長に反比例する。
      だから可視光より波長が短い電磁波(紫外線、X線、ガンマ線)はエネルギーが高く、生命にとって非常に危険だ。
      しかし大気がブロックしてくれて、それらが地表まで届くことはとんど無い。



      電磁波のスペクトルと放射過程

      光を波長毎に分けることを「分光」といい、光の波長成分(明るさの波長依存性)をスペクトルと呼ぶ。

           画像は KONICA MINOLTA のウェブサイトからお借りしました。 → こちら

      たとえば太陽の光をプリズムに通すと、赤,橙,黄,緑,青,藍,紫の順に並んだ虹のような色の帯ができる。
      このように連続的な波長成分を持つものを連続スペクトルという。

      一方で、赤い散光星雲ではある波長の光だけが非常に強い。
      このようなものを線スペクトルという。

      なぜこのような違いが生じるかというと、光の放射過程が異なるからなのだ。



      連続光 その1

      物体やガスなどは、その温度に応じた電磁波を放出している。
      これは熱放射(黒体放射)と呼ばれ、連続スペクトルをもつ。
      細かいことを言うと、熱平衡状態にあるとき、という条件が課されるのだが、、、。

      例えば、太陽の表面温度は約6000Kなので、その温度に見合った熱放射を出していて、放射のピークは可視光になる。
      温度が低くなれば放射のピークは波長の長い電磁波(赤外線や電波など)になり、逆に温度が高くなれば波長の短い電磁波(紫外線やX線など)になる。
      放射のピーク波長は温度に反比例し、放射の全エネルギーは温度の4乗に比例するので、連続光のスペクトルから温度を推定することができる。

      下図では縦軸横軸共に対数でプロットしていることに注意して欲しい。

           画像はジャパンセンサー(株)のウェブサイトからお借りしました。 → こちら



      連続光 その2

      宇宙では想像もできないくらいに高温あるいは高エネルギーの状態にあるガスがあり、それらは光速度に近い速度で運動している。
      ガスは電離しているので、磁場があると磁力線の周りを回りながら運動する。
      このような状態にある電子は、シンクロトロン放射と呼ばれる電磁波を放射する。
      超新星爆発やブラックホールのジェットなどで観測される。
      スペクトル的には連続光だが、非熱(的)放射なのでスペクトルの形が熱放射とは異なる。




      輝線

      輝線は、原子やイオン(電離した原子)や分子と電子が絡んだ現象である。
      原子やイオン内の電子は、取りうるエネルギーが飛び飛びの値しか許されない。
      この飛び飛びの値に対応した状態を、エネルギー順位と呼ぶ。
      外からエネルギーをもらうと、電子はエネルギーの高い順位に遷移する。
      場合によっては、原子から飛び出して自由電子になることもある。
      外からのエネルギーは、電磁波の照射や電子など粒子の衝突などで得ることができる。
      しかしエネルギーの低い順位の方が安定なので、やがてそちらの状態に遷移する。
      このときにエネルギーの差に対応した光を放射する。
      これが「輝線」だ。
      輝線の波長は原子やイオンに特有の値になるため、波長を調べることで原子やイオンの種類を特定することができる。

           画像はウシオ電機のウェブサイトからお借りしました。 → こちら

      水素原子では、エネルギーの高い順位から最も低いエネルギー順位(基底状態)に遷移する時に放射する輝線をライマン系列と呼び、2番目に低いエネルギー順位に遷移する時に放射する輝線をバルマー系列と呼ぶ。
      赤い散光星雲などで見られる波長が656.3nmの輝線(Hα輝線)は、バルマー系列で3番目に低いエネルギー順位から2番目に低いエネルギー順位に遷移するときの輝線だ。


      またこんな輝線もある。
      中性水素原子の陽子と電子のスピンの向きは原子の状態によって変化する。
      エネルギーが低くて安定した状態の水素原子は、陽子と電子がそれぞれ反対向きにスピンしている。
      しかしエネルギーが高い状態では、その回転が同じ方向に揃う。
      この状態は不安定なので安定した状態に戻ろうとするが、すぐに戻れるわけではない。
      同じ向きに揃った陽子と電子のスピンが逆方向になるまでには、1000万年もかかるそうだ。
      とはいえ宇宙には膨大な数の水素原子があるので、常にどこかで不安定な水素原子が安定した状態に戻っている。
      このときに波長21センチメートルの電波が放出される。



      吸収線(暗線)

      連続スペクトルにところどころ黒い線が見られることがある。
      これは上記の原子やイオンや分子に、背後から連続光が照射されると、特定の波長の光だけが吸収されるためだ。
      それは輝線となりうる波長そのもので、黒い線は「吸収線」あるいは「暗線」と呼ばれる。

      歴史的には太陽光で見つかり「フラウンホーファー線」と名付けられた。
      この暗線は、太陽の光球面で放射された連続光が、太陽大気の原子やイオンに吸収されるために生じる。
      また地球の大気に吸収されるために生じるものもある。



      参考図書
        ・「宇宙の誕生と進化」、谷口義明 他、NHK出版、2018年
        ・「天の川が消える日」、谷口義明、日本評論社、2018年











      2020.08.27 Thursday

      宇宙物理学  小惑星や彗星の衝突

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        ***** 宇宙の構造 (1) 太陽系 > 太陽系のことあれこれ *****


        約6600万年前の恐竜絶滅は、大きさが10kmから15kmの地球外天体の衝突が原因だった。


        後期重爆撃期

        これは、天文学で約41億年前から38億年前の期間を指す用語だそうだ。
        何ともぶっそうな用語だが、英語では「Late Heavy Bombardment」というので、そのままの訳と思われる。

        太陽系の惑星や衛星には、天体の衝突が頻繁に起こった時期がある。
        まず惑星が誕生・成長する時期には微惑星が頻繁に衝突した。
        この時期を「前期」としている。
        惑星が形成された後も、しばらくは小天体の衝突が続いた。
        この時期を「後期」と言っているようだ。

        惑星が形成された後で、木星が内側に移動し、木星より外側のいくつかの惑星が外側へ移動した。
        これによって小惑星などの軌道が乱されたのが原因だと考えられているようだ。



        地球上のクレーター

        「アース・インパクト・データベース」という衝突クレーターのデータベースがある。 → こちら

        ただし、これに過去の衝突がすべて網羅されているわけではない。
        地球上の非常に古いクレーターの多くは地質学的活動によって消し去られてしまっているからだ。
        そのため、リストに載っているクレーターのほとんどは比較的最近の、ごくまれに起こる衝突から生じたものである。



        地球近傍天体

        小惑星がときどき接近してくるのは明白だ。
        遭遇は今後も間違いなく起こるだろう。
        だが、予想される頻度と規模はいまだ論争のテーマである。

        その天体が最も太陽に近づいたときの地点が太陽から1.3天文単位未満のものは「地球近傍天体」と呼ばれ、私たちが遭遇する可能性が最も高い天体だ。
        地球近傍天体のうち、約1万個は「地球近傍小惑星」で、数は少ないが彗星もある。

        2010年に、全米科学アカデミーは小惑星についての調査結果を「地球の防衛−−地球近傍天体の調査と危機緩和のための戦略」と題した文章で発表した。

        さまざまなな大きさの地球近傍天体の平均衝突間隔と平均エネルギーの概算値を図に示す。


        こういうことにお金をかけてリスク評価をきちんとやる。
        アメリカはやはり立派な国だとつくづく思う。


        大量絶滅

        1982年、シカゴ大学の2人の古生物学者、ジャック・セブコスキとデイヴィット・M・ラウブは、純古生物学の分野に一大変革をもたらした。
        過去5億4000万年の間に、5回の大規模な大量絶滅と約20回の小規模な(約20%の生物が死に絶えた)大量絶滅を特定したのだ。

        ビッグファイブ (図をクリックすると拡大表示できます。)


        ・オルドビス紀・シルル紀境界 : 4億5000万年前から4億年前のどこかで、約350万年のあいだ
            当時はほぼすべての生物が海にいた
            全生物種の約85%が絶滅している
            原因は、気温の低下と大規模氷河作用および海水面の大幅な低下と、その後の温暖化
        ・デボン紀後期 : 約3億8000万年前に始まって約2000万年にわたって続いた
            この間に何回も絶滅の大揺れがあったと見られ、それぞれの揺れが数百万年のあいだ続いた
            特に海洋生物がひどい打撃を受け、かなりの割合が死滅した
        ・ペルム紀・三畳紀(P-T)境界 : 約2億5000万年前に始まった
            地球から消滅した種のパーセンテージという点で、
            これは知られているかぎり最も破壊的な絶滅である
            陸生・海生両方の種の少なくとも90%が絶滅した
            陸上では昆虫さえもやられたが、昆虫が大量絶滅の被害者になったのは唯一このときだけだ
            原因は、深刻な気候変動と、大気中と海洋中の化学反応の変化
        ・三畳紀末 : 約2億年前
            全生物種の約75%が絶滅した
            大半の哺乳類型生物と、多くの大型両生類、恐竜以外の主竜類も姿を消した
        ・白亜紀・古第三紀の境界(K-Pg境界) : 約6600万年前
            恐竜を死に絶えさせた絶滅として最もよく知られている
            当時生きていた種の約75%、属の約50%が絶滅し、
            そのなかには多くの爬虫類、哺乳類、植物、海生生物が含まれていた



        K-Pg絶滅を引き起こした巨大流星物質

        (注) リサ・ランドールの図書では、地球の大気圏に入ってきたり地表に落下したりする地球外天体のことを基本的に「流星物質」という言葉を充てている。


        クレーターの発見には長い期間がかかったが、半分はユカタン半島の石灰岩の平野の下に広がり、もう半分はメキシコ湾の海水と堆積物の下に埋まっている、直径180kmの埋没した円形構造として見つかった。
        このクレーターは海面下の大陸棚にあったため、一面に堆積物が積もって、発見するのも調査するのも困難になっていた。
        しかし、そうして埋まっていたおかげで浸食を免れていた。
        このクレーターは「チクシュループ・クレーター」と名付けられた。



        衝突した天体の大きさは10kmから15kmだ。
        衝突速度は秒速20km、しかももし彗星だったらその3倍の速さになっていただろう。
        衝突時に放出するエネルギーは、最大でTNT100兆トンに相当する。
        広島と長崎を破壊した原子爆弾の10億倍以上の威力だという。

        爆心地の近く(約1000km以内)では、とてつもない暴風や荒波が起こり、巨大な津波が中心から広がっていった。
        放出された何兆トンもの物質がいたるところに飛び散り、発光するほどに高温になった個体粒子が大気中を降下する間に、地球全体の温度を上昇させたに違いない。
        結果として、火災がいたるところで発生し、衝突から数ヶ月以内で全世界の生物量の半分以上が灰になった。

        水も、空気も、土も、すべて毒された。
        おそらく重金属は雨のように降り注いてきたはずだ。
        大きな害をなしたと思われるのが、大気中で合成された亜酸化窒素で、これも空から酸性雨となって地上に降ってきただろう。
        硫黄も大気中に放出されて硫酸を合成し、それがそのまま大気に残って太陽光を遮断したため、地球が冷やされて、寒冷化が何年も続いた。
        海は回復するのに数十万年を要し、少なくとも50万年から100万年は破壊の影響が残っただろう。



        巨大流星物質の衝突が引き起こした絶滅として、しっかりと確立されているのはK-Pg絶滅だけである。
        ビッグ・ファイブのその他は、気候変動と大規模な噴火が原因であるとする証拠のほうが、おそらく衝突説よりも説得力がある。
        5回の主要な大量絶滅のうち、およそ3億6000万年前から4億年前のあいだに起こったデボン紀末の絶滅は、K-Pg絶滅に次いで2番目に、地球外天体の関わった証拠が多いものだ。
        おそらくこの時期には同時に複数の衝突が起こったと見られる。



        参考図書
          ・「ダークマターと恐竜絶滅」、リサ・ランドール、(訳)向山信治、NHK出版、2015年











        2020.08.26 Wednesday

        宇宙物理学  我々のいる場所はありふれたところか?

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          ***** 宇宙の構造 (1) 太陽系 > 太陽系のことあれこれ *****

          いろいろと知れば知るほど、我々のいる場所が奇跡的な状態の積み重ねで成り立っているように思えてくる。
          こんな場所は宇宙のどこにでもあるのだろうか?




          天の川銀河

          天の川銀河は巨大な渦巻銀河だが、バルジは比較的小さく、銀河中心のブラックホールは大きくない。
          そのブラックホールが大暴れすることも、またその悪影響が円盤部に大きく及ぶことも少なかったようだ。

          そのため、円盤部では大きな波乱もなく新たな恒星が今も作られ続けている。
          この状況を天文学者は、われわれは「適度な」星形成領域に住んでいると表現することがある。
          惑星に生命が誕生してそれが進化するには、格好の環境だ。

          一方で、中心のブラックホールは適度に活動していて欲しい。
          星が適度に形成される環境を維持し、超新星爆発によって重元素(ヘリウムよりも重い元素)を作り出すためだ。
          およそ45億年前に私たちの太陽系が誕生するときには、そのような環境が整っていたことになる。


          天の川銀河のような渦巻銀河は、生命に最も適した銀河のタイプなのかもしれない。



          天の川銀河内での位置


          上の画像はNASAが作成した天の川銀河の姿だ。

          天の川銀河の円盤部には、中心から外に向かって比較的きつく巻いた4本の渦状腕(かじょうわん)が巻き出ている。
          この渦状腕には生まれたばかりの若い高温の星がたくさんあるので、明るく輝いていている。
          太陽系は現在、2本の主要な渦状腕の間を結ぶ橋のような、オリオン腕あるいは単に局所腕と呼ばれる短い腕の中にある。

          太陽は、天の川銀河の中心から円盤の端までの距離の約3分の2ほどのところにある。
          円盤を構成するほかの星々と同様に、太陽は天の川銀河の中心のまわりを秒速約250キロメートルでほぼ円軌道を描いて回転しており、1周する周期は2.5億年より少し短い。

          図には太陽を中心として半径が5000光年の円を黄色で書いてみた。
          肉眼で見える恒星のほとんどは数千光年以内の距離にあると言われているので、こんなに狭い範囲に限られていることになる。


          太陽から10光年までの距離には、恒星は10個ほどしかない。
          その密度は、太平洋にスイカがぽつんぽつんと2個か3個浮かんでいる程度だという。
          太陽からもっとも近い恒星はケンタウルス座にあるプロキシマ・ケンタウリで、距離は4.24光年になる。
          この星はケンタウルス座でもっとも明るいケンタウルス座α星(4.32光年)の伴星のひとつだ。


          私たちはいま、直径300光年の「局所泡(ローカルバブル)」と呼ばれる領域に住んでいるそうだ。
          一般に渦状腕は星間物質が多く存在しているが、ここは水素の密度が極めて低い真空のような領域らしい。
          私たちは数百万年ほど前に、この高温低密度の、部分的にイオン化された、比較的すかすかな星間環境に入ってきた。
          そのあいだに、太陽圏の境界で囲まれる領域(太陽風が星間物質より優勢になるところ)は、途方もなく大きくなった。



          太陽

          どうやらいくつかの面で、太陽そのものが特別な存在のように思える。
          太陽は、典型的な恒星よりも重い(上位10%に含まれる)星の一つで、金属の含有量もおそらく通常よりも多く、その年齢のわりには異例なほど銀河面の近くにある。
          さらに、同じような年齢の星よりも軌道が円形で、渦状腕とだいたい同じような速度で軌道を進んでいける位置にあるため、渦状腕と交差することが比較的少ない。

          太陽があと10%程度重かったら効率の良いCNOサイクルの核融合反応が起き始めるという。
          もし太陽の質量が現在の2倍だったら、寿命が10億年程度になってしまい、生命は誕生できなかったかもしれない。

          太陽風は星間物質と相互作用して太陽圏をつくる。
          安定した「太陽圏」は生命の出現にとってとても重要なものだ。
          この領域の内部では、銀河の宇宙線が比較的弱まり、地球の気候も安定しやすくなる。



          太陽系

          太陽との距離
          生命を抱えられるような惑星は、過剰な太陽放射を浴びないように、太陽から十分に離れていなければならない。
          しかしその一方で、外側の惑星に小惑星や彗星の衝突から守ってもらえるぐらいには太陽に近くなくてはならない。
          その意味で、必然であろうとなかろうと、木星は確実に地球の兄弟分、もしくは用心棒、の役割を果たしている。

          月の存在
          月は地球から絶妙な距離にあって、そのおかげで地球の軌道が安定し、大規模な気候変動が起こらずにすんでいる。



          系外惑星が多く発見されるようになって、太陽系は惑星系の標準ではないことが分かったきた。
          太陽系は多様な姿をもつ惑星系のひとつに過ぎない、というのが現状の認識だ。
          では、太陽系のような姿の惑星系はめったにない特別な存在なのだろうか?
          それとも、普遍的に存在するありふれた惑星系なのだろうか?
          残念ながら、この問いにはまだ答えることができないそうだ。



          地球

          地球の反射性と、太陽の光度と地球までの距離だけにもとづいて考えると、大気の温室効果がないかぎり、地球表面の水は今日でも凍結してしまう。
          二酸化炭素、メタン、水蒸気、亜酸化窒素による温室効果で地球を温め続けていなかったら、地球は冷えすぎてしまう。
          温室効果ガスが赤外線を吸収して地球を温め、それによって平衡を確立しているのだ。
          また長期的な気候の安定が得られたのは海と地球内部の熱源のおかげでもあった

          地球のとくに際立った特徴のひとつは、表面の約2/3が海に覆われていることだ。
          つまり、すべてが海であるわけでもなく、海がまったくないわけでもない。
          このような部分的に海があることで、海岸線ができ、潮汐のある領域が生じる。
          これが地球で発達した生命にとってもおそらく重要だったのだろう。

          地球における空気の層はわずか数十kmしかない。
          地球の半径はおよそ6400kmだから、私たちがいかに薄い大気の下で這いつくばって生きているのかが分かるだろう。
          しかしこの大気の厚さにも、すばらしき必然が潜んでいる。
          もし、もう少し厚い大気だったとしたら、温室効果によって灼熱の環境になってしまうかもしれない。
          もし、もう少し薄い大気だったとしたら、太陽から可視光と同時に放射される紫外線にさらされ、生命にとっては過酷な環境となるだろう。
          この大気の厚さは、地球が誕生したときに地球内部から出てきたガスの量でおおむね決まったものである。



          参考図書
            ・「銀河と宇宙」、ジョン・グリビン、(訳)村岡定矩、丸善出版、2008年
            ・「重力機械」、ケイレブ・シャーフ、(訳)水谷淳、早川書房、2012年
            ・「日本人と宇宙」、二間瀬敏史、朝日新書、2013年
            ・「ダークマターと恐竜絶滅」、リサ・ランドール、(訳)向山信治、NHK出版、2015年
            ・「宇宙の物質はどのようにできたのか」、日本物理学会、日本評論社、2015年
            ・「現代物理学が描く 宇宙論」、真貝寿明、共立出版、2018年
            ・「地球は特別な惑星か?」、成田憲保、講談社ブルーバックス、2019年











          2020.08.24 Monday

          宇宙物理学  探査機ボイジャーと太陽系の果て

          0
            ***** 宇宙の構造 (1) 太陽系 > 太陽系のことあれこれ *****


            NASAは1977年に打ち上げられた探査機「ボイジャー2号」が、2018年11月に太陽圏を出て星間空間に突入したと発表した。
            「ボイジャー1号」はすでに2012年8月に太陽圏を出ている。
             
                 画像はNASAのサイトからお借りしました。 → こちら


            ところで「太陽圏を出た」とはどういう意味だろう?
            太陽系の果てを越えたということだろうか?

            太陽の影響が届かなくなるところが太陽系の果てと考えるのは自然だろう。
            その影響として、重力を考える場合と太陽風を考える場合とがあるようだ。



            太陽圏

            太陽風がどこまで届くかによって太陽系の範囲を決めるという考え方がある。
            太陽系の範囲を「太陽圏(ヘリオスフィア)」、太陽圏の境目の面を「ヘリオポーズ」という。

            太陽風は惑星間空間を吹き抜け、やがて星間物質とぶつかり、衝撃波(終端衝撃波)が形成されて急激にその速度を落とす。
            星間物質の大部分は水素やヘリウムなどのガスで、これは星間ガスとも呼ばれている。
            太陽風に乗って運ばれてきた太陽からのプラズマ粒子は、ヘリオポーズが近づくにつれて少なくなっていき、その代わりに星間物質の濃度が上がってくる。
            ヘリオポーズを超えるとプラズマ粒子はガクッと減り、星間物質の濃度が跳ね上がると考えられていた。
            また太陽風は磁力線を引き連れているので、ヘリオポーズでは磁場の向きが変わるとも考えられていた。

            太陽風が星間物質とせめぎ合って、その流れを止めるところ、そこが太陽圏の縁、ヘリオポーズだ。
            したがって、太陽風の強弱に合わせて太陽圏は膨らんだり縮んだりする。
            その意味で、太陽圏は言ってみれば太陽風で絶え間なく膨張と収縮を繰り返すバブル(泡)のようなものだ。
            太陽風が強くなると、それだけ星間物質を強くはね返し、逆に弱くなると星間物質は太陽圏に侵入しやすくなる。



            探査機ボイジャー

            ボイジャーはNASAの宇宙探査機で、1号,2号共に1977年に打ち上げられた。
            惑星の探査を終えた後、ヘリオポーズを目指して孤独な旅を続けていた。


            ボイジャー1号がヘリオポーズに近づいたときに、観測結果をどう解釈すべきかに悩んだ様子はとても面白い。
            natureダイジェストの2012年12月号をぜひご覧頂きたい。 → こちら



            ボイジャー1号
              2004年12月に、太陽からおよそ94天文単位の位置で末端衝撃波面を通過した。
              2012年8月に、太陽からおよそ123天文単位の位置で、ヘリオポーズを越えた。


            ボイジャー2号
              2007年8月に、太陽からおよそ84天文単位の位置で末端衝撃波面を通過した。
              2018年11月に、太陽からおよそ119天文単位の位置で、ヘリオポーズを越えた。

            ボイジャー2号が検出した銀河宇宙線(上)と太陽系内粒子(下)の変化を図に示す。
            前者が増加して後者が減少した様子がよく分かる。
            これほど急激な変化が見られたのには驚いた。

                 画像はNASAのサイトからお借りしました。 → こちら



            太陽圏の姿

            太陽圏(ヘリオスフィア)は、太陽風の粒子と太陽の磁場から形成される大きな泡のような構造だ。

            2機のボイジャーによってもたらされた観測結果からは、新たな知見がたくさん得られたようだ。
            アストロアーツニュースに記事がある。 → こちら


            太陽系は天の川銀河内を周回運動しているので、太陽圏(ヘリオスフィア)は球形ではなく涙型に近いようだ。
            地球磁気圏が後ろ側に長い尾をたなびかせているように、尾を伸ばした彗星のような形なのかもしれない。

            ちなみに、ボイジャー1号は太陽圏の進む方向に飛行しており、ボイジャー2号は斜め前向きに飛行している。



            太陽系の果て

            太陽系の果てを、太陽の重力による影響が及ぶ範囲までと考えると、ボイジャーはいまだ太陽系の内部にいることになる。
            エッジワース・カイパーベルトは通り過ぎたが、「オールトの雲」の内側までも達していない。
            なにしろ、太陽から近いところでも1000天文単位、遠いところでは5万天文単位を越えるところまで広がっていると考えられているからだ。

            でも、太陽圏という考えはとても勉強になった。
            ボイジャーの頑張りには拍手を送りたい。
            電力を供給するプルトニウム同位体が2025年頃に尽きてしまうそうで、それまでに偉業を達成できて本当に良かった。



            参考図書
              ・「太陽に何が起きているか」、常田佐久、文春新書、2013年
              ・「ダークマターと恐竜絶滅」、リサ・ランドール、(訳)向山信治、NHK出版、2015年
              ・「現代物理学が描く 宇宙論」、真貝寿明、共立出版、2018年
              ・「驚異の太陽」、鈴木建、日本評論社、2020年











            2020.08.23 Sunday

            宇宙物理学  太陽惑星系の誕生

            0
              ***** 宇宙の構造 (1) 太陽系 > 太陽系の形成 *****

                   画像は HPCI のサイトからお借りしました。 → こちら



              惑星科学での言葉の使い方

              惑星科学の分野では、物質が実際にとっている相(気体、固体、液体)とは無関係に、融点が100K(絶対温度)未満の元素をすべて「ガス」と呼ぶ。
              一方、融点が低いことは低いが、ガスほどは低くない元素は、惑星科学では「氷」と呼ばれる。
              このため木星と土星は巨大ガス惑星と呼ばれ、天王星と海王星は巨大氷惑星と呼ばれる。
              どちらのタイプでも、その内部は実際のところ高温高密度の液体である。



              太陽系の誕生

              原始太陽系星雲が収縮を始めて10万年くらい経過して、原始太陽と原始惑星系円盤ができた。
              原始太陽はその後、収縮を続け、約8000万年後に主系列星となった。
              その間、原始惑星系円盤も着々と惑星をつくる準備をしていった。

              できたばかりの円盤では、外部では外へ向かう流れ、内部では原始太陽へ落ちる流れができ、円盤は広がって質量は減っていった。
              そして円盤に含まれていた個体微粒子のチリが合体して大きくなり、円盤の中央面に沈んでいった。
              チリの層が厚くなってくると、この層が分裂を始めて無数の塊ができた。
              この塊を「微惑星」という。
              微惑星の大きさは、地球近辺では数Km程度で、木星付近では数十Km程度である。

              微惑星は衝突・合体を繰り返し、だんだん大きくなっていく。
              こうして100万年から1000万年ほどで、少数の大きな原始惑星と多数の小さな原始惑星ができる。
              地球付近でできる大きな原始惑星の質量は、現在の地球の10%程度にしかならないが、木星軌道付近でできる大きな原始惑星は地球質量の2倍程度に成長する。

              地球軌道付近の原始惑星どうしはさらに衝突・合体して成長し、1000万年から1億年かけて地球が作られた。
              木星や土星付近の原始惑星は、その大きな質量によって周りのガスを引き付けて、大量の円盤ガス(水素やヘリウム)を周りにまとうようになる。
               
                   画像は理科年表オフィシャルサイトからお借りしました。 → こちら



              京都モデル

              原始太陽系円盤の中で、どのようにして性格の異なる惑星たちが誕生したのか?
              標準的なシナリオとして、1980年代に故・林忠四郎らが提唱した京都モデルが知られている。
              京都モデルでは、太陽系惑星はそれぞれ、原始太陽系円盤の中でその軌道付近にあった物質が集積してできた、と説明される。

              原始惑星系円盤は主に水素ガスと岩石・氷(固体になった水や二酸化炭素など)からなる個体微粒子でできていて、それに加えて一酸化炭素などのさまざまな微量のガス成分を含んでいる。

              原始太陽系円盤の小惑星帯より内側、つまり太陽に比較的近い領域では、温度が高いため氷がなく、水素ガスと個体の岩石だけがあった。
              そのため、この領域にできる惑星が獲得する個体成分は主に岩石だ。
              そうして、太陽に近い領域に岩石惑星が形成された。
              岩石惑星は、形成直後は周囲にあった水素ガスを大気(一次大気)として獲得したと考えられる。
              しかし、これらの惑星は比較的軽くて重力が弱いため、太陽からの太陽風などの影響で、全部はぎとられてしまった。
              その後、岩石と一緒に惑星内部に閉じ込められていたガス成分が火山活動などにより地表に放出され、現在の大気のもと(二次大気)になったと考えられる。

              一方、小惑星帯より外側の領域には大量の氷があったと考えられ、岩石に加えて氷も惑星の材料物質となる。
              そのため、この領域の惑星は内側の岩石惑星よりもも大きく成長することができた。
              またこの領域では、内側になるほど材料物質が多く存在していたため、内側の惑星ほど早く成長した。
              そして、形成中の惑星(惑星の種)が地球の10倍程度の質量を獲得すると、惑星の重力が十分に強くなり、周囲(原始太陽系円盤内)にある水素ガスを大量に獲得する。
              これらの惑星は十分に重力が強くなったため、その後も水素大気(水素を含んだ大気)を保持することができた。

              ところで、原始惑星系円盤は一般に数百万年程度しか存在できず、長くても1000万年程度で消えてしまう。
              なぜなら、原始惑星系円盤をつくる物質は、原始星からの光の圧力によって宇宙空間に飛ばされてしまったり、あるいは原始星に落ちていったりするからだ。

              早い段階で惑星の種が十分に成長した木星と土星は、周囲にあった水素を大気として大量に獲得した。
              その大気の質量は、もともとあった惑星の種(岩石と氷)の質量より圧倒的に大きくなった。
              こうして、水素を主成分とする2つの巨大ガス惑星が誕生した。

              天王星と海王星は成長が比較的遅かったため、原始太陽系円盤の水素が周囲に大量にあるうちに、それらを大気として獲得することができなかった。
              そのため、この2つの惑星は氷を主成分とし、木星や土星よりはずっと水素量の少ない大気をもつ巨大氷惑星になった。


              この京都モデルで、現在の太陽系惑星たちの軌道と構成成分の特徴をある程度自然に説明することができた。



              参考図書
                ・「宇宙の果てを探る」、二間瀬敏史、洋泉社、2009年
                ・「ダークマターと恐竜絶滅」、リサ・ランドール、(訳)向山信治、NHK出版、2015年
                ・「地球は特別な惑星か?」、成田憲保、講談社ブルーバックス、2019年











              2020.08.22 Saturday

              宇宙物理学  太陽の誕生

              0
                ***** 宇宙の構造 (1) 太陽系 > 太陽系の形成 *****

                星が誕生する様子は、星の質量によって異なり、また幾つかの星が同時に生まれるかどうかによっても異なる。
                太陽と同程度の質量を持つ星が単独で形成されるシナリオを以下に示す。

                     (注)分子雲コア、原始星、古典的Tタウリ型星以降でスケールが異なる。
                     画像はJAXAのサイトからお借りしました。 → こちら



                分子雲

                銀河の円盤部には、星のほかに星間ガス雲がところどころに漂っている。
                星間ガスの主成分は水素原子だが、密度が周囲より100倍以上高いところでは、水素原子同士が結びついて水素分子が形成されている。
                そのほかに微量の一酸化炭素、水酸分子、水、二酸化ケイ素などの分子があることから、このような部分を「分子雲」と呼んでいる。
                さらに分子雲の中で特に密度が高い部分を「分子雲コア」という。
                その大きさは直径が1光年程度で、質量は太陽の数倍から数十倍だ。

                炭素、窒素、酸素、鉄など、現在の太陽系のありとあらゆるものを作っている元素は、もともとこの分子雲に含まれていたものだ。
                水素とヘリウムは宇宙初期に作られたが、それ以外は、遠い昔に周囲のどこかで爆発した超新星から放出されたものである。
                星は世代を重ねるにつれて、重元素(ヘリウムよりも重い元素)を多く含む星として誕生するようになる。



                原始太陽

                星が誕生するためには、分子雲が自分の重力で収縮を始めなければならない。
                でもそのためには、何かきっかけが必要なようだ。
                分子雲どうしが衝突したり、近くで超新星爆発などが起こったりすると、その衝撃で収縮を始めることがあるという。


                今から46億年前、天の川銀河の隅で分子雲のひとつが収縮を始めた。
                これが「原始太陽系星雲」である。

                最初は数十万年かけてゆっくりと収縮していくが、ある段階から急激に収縮が進行する。
                10万天文単位ほどあった大きさが1000天文単位ほどに収縮し、中心に高温の塊ができてくると収縮が止まる。
                中心部の温度は100万度くらいで、現在の太陽の100分の1程度の重さ(大きさは逆に太陽の数百倍)である。
                これが星の赤ちゃんである「原始太陽」で、その周囲には「原始惑星系円盤」が生まれつつある。

                でも、まだ中心部で核融合反応は起こっていない。
                原始太陽のエネルギー源は重力エネルギーなのだ。



                一人前の恒星(主系列星)

                原始太陽は周囲のガスを自分の重力で引き寄せ、どんどん重さを増しつつ、さらに収縮して中心部の温度を上げていく。
                そして生まれてから約8000万年たったころ、中心部の温度が1500万度に達し、水素原子どうしの核融合反応が始まる。
                ついに、一人前の恒星(主系列星という)ができあがったのだ。


                太陽が誕生する様子を簡単に記述すると、こんなふうになる。



                太陽の兄弟星

                平均的に言って、100個の星が生まれれば、60個は連星系で、そのうち40個は三重連星であるそうだ。
                だから太陽のような単独星は、このようにして生まれた三重連星から、後に外部に弾き飛ばされたものと考えられている。

                さて、太陽の兄弟星は今頃どこでどうしているのだろう?





                参考図書
                  ・「銀河と宇宙」、ジョン・グリビン、(訳)村岡定矩、丸善出版、2008年
                  ・「宇宙の果てを探る」、二間瀬敏史、洋泉社、2009年
                  ・「日本人と宇宙」、二間瀬敏史、朝日新書、2013年
                  ・「ブラックホール・膨張宇宙・重力波」、真貝寿明、光文社新書、2015年
                  ・「宇宙の物質はどのようにできたのか」、日本物理学会、日本評論社、2015年











                2020.08.20 Thursday

                宇宙物理学  月

                0
                  ***** 宇宙の構造 (1) 太陽系 > 太陽系の構成員 *****


                       Credit :Clementine UV-VIS camera


                  月の誕生

                  月の質量は地球の約100分の1もあり、質量比がこれほど大きな衛星は他にはない。
                  そんな月がどのようにして誕生したのかについては、様々な説が唱えられてきたが、「ジャイアントインパクト(巨大衝突)説」が有力である。

                       (c) NASA

                  今から約45億3000万年前、できたばかりの地球に火星ほどの大きさの原始惑星が衝突した。
                  この衝突によって原始地球と原始惑星のコアが合体し、地球のマントル物質がはぎとられて、地球の周りに円盤をつくった。
                  その多くは再び地球に落ちてくるが、残りはだんだん合体し成長して月が生まれた。
                  そのころの地球と月の距離は約2万2000kmしか無かったそうだ。
                  ちなみに現在の距離は約38万kmだ。

                  当時の地球の自転周期は5時間ほどであった。
                  だが地球に海ができると、月が海水に及ぼす潮の満ち引きと海底との摩擦によって自転にブレーキがかかり、自転速度は次第に遅くなっていった。
                  一方で、月はその反動で地球からだんだんと離れていき、現在の位置になったのである。
                  また、この衝突によって地球の自転軸が公転面から約23.5度傾いて、季節の変化ができた。



                  月の構造

                  月の構造も地球と同様、地殻、マントル、コアの3層構造になっているが、コアの半径が約300キロメートルしかない。
                  地球のコアが地球半径の半分以上にもなるのに対して、月の場合は半径の20%しかない。
                  また、地殻も月の表(地球側)と裏では厚さが違っていて、裏の方が厚くなっている。

                       図はNAOJのサイトからお借りしました。 → こちら



                  潮の干満

                  月と地球は引力によってお互いの共通重心の周りを円運動(公転)している。
                  その共通重心は、地球の中心から地球半径の約0.72倍(地球内部にある)のところに存在している。

                  その回転運動の大きさと回転速度は、地球上のどこでも同じになるという。
                  もちろん場所によって、その回転運動の中心は異なるが、、、。
                  そのため、回転運動による遠心力の向きと大きさがどこでも同じになるそうだ。

                  詳細は、海上保安庁・海洋情報部のウェブサイトを参照して下さい。 → こちら

                  地球の月に近い側は、月の引力が遠心力に勝って地球表面を引き付け、
                  月と反対側は遠心力が月の引力に勝って地球表面を押し出すような力が働く。
                  その力に海水が敏感に反応して盛り上がるのだ。
                  この力は岩石や地殻にも働き、岩石も25cmほど昇降運動していることがわかっている。




                  月は地球にいつも同じ面を向けている

                  月は自転周期と公転周期が等しくなっている。
                  そのため月はいつも同じ側を地球に向けていて、私たちは月の裏側を見ることができない。
                  これは、地球が月を引っ張る力(重力)が月にとって非常に大きく、月が自由に回転できないことが理由だそうだ。
                  これを「潮汐固定」という。

                  この現象は火星や木星の衛星などにも見られ、惑星や衛星に限らず、公転運動する固体状の天体において一般的に起こり得る現象だそうだ。

                  月の重心がこちら側に偏っているためだと、どこかで読んだ記憶があるのだが、、、。



                  月は地球の衛星と言えるのか?

                  東北大学・未来科学技術共同研究センターの川添良幸さんの面白い記事を見つけた。
                    → こちら

                  太陽と地球と月の3つの天体間の重力を計算してみる。
                  もちろん太陽と地球の間の重力が桁違いに大きいのだが、2番目は何と太陽と月で、地球と月はその半分位だ。
                  私も計算してみたが、確かにそうだった。

                  地球と月の共通重心は地球の内部になるが、それが太陽の周りを回る。
                  月は太陽に対して常に正の曲率を保ちながら一定方向に回っている。
                  月は、地球の太陽の周りの移動方向に逆行することはない。

                  これでは月を地球の衛星とは呼べない。
                  地球と月は連星と呼ぶべき関係なのだ。


                  2006年のIAU(国際天文学連合)総会において、「惑星の定義」が決議され、冥王星が惑星から準惑星に降格されたのは記憶に新しい。
                  これは「惑星とは?」という定義がそれまで明確ではなかったために行われた決議だった。
                  しかし実は「衛星とは?」という定義もまだ決まってはいないらしい。



                  参考図書
                    ・「宇宙の果てを探る」、二間瀬敏史、洋泉社、2009年
                    ・「宇宙入門」、池内了、角川ソフィア文庫、2015年











                  2020.08.19 Wednesday

                  宇宙物理学  チバニアン

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                    ***** 宇宙の構造 (1) 太陽系 > 太陽系の構成員 > 地球 *****


                    地質年代とGSSP

                    地質年代とは、約46億年の地球の歴史を区分して表す世界共通の年代の基準のこと。
                    「ジュラ紀」「白亜紀」などもこの地質年代の名前のひとつだ。


                    地質学の国際機関である国際地質科学連合は、「国際年代層序表」として地質年代を標準化してまとめたものを公開している。
                    地球の歴史の研究は日進月歩のため、国際年代層序表も最新の研究成果を反映して随時更新されている。

                         大きな図は、日本地質学会のウェブサイトをご覧下さい。 → こちら
                         表中の釘のような記号は、GSSPが決定している年代を示す。


                    地質年代は、大きな区分から、「代」、「紀」、「世」、「期」、に区分されている。
                    一般によく知られる古生代や中生代は「代」の区分、またジュラ紀や白亜紀は「紀」の区分に相当する。
                    そしてこの区分に従うと、現在我々が生きている時代は、新生代/第四期/完新世/メガラヤン期となる。


                    そして、このいちばん細かい期の区分の下限(それより古い期との境界)について、その境界を代表する地層が「GSSP(国際境界模式層断面とポイント)」として世界中から一ヵ所選ばれるのだ。

                    1977年以降、国際地質科学連合は全部で116個ある地質年代境界のうち、化石が算出し、境界の認定が可能なエディアカラン紀以降の103個について、GSSPの認定作業を続けている。
                    しかし、いまだに境界の議論が続いているものや、最適な候補地が見つからないなどの事情で、認定に至っていないGSSPも残されている。
                    前期-中期更新世境界も、そういったなかなか決まらないものの一つだった。


                    GSSPを決めるための主な基準は、思い切って簡単にまとめると、
                      海底で堆積した地層が現在は地上に露出していて、
                      断層による変形や岩石の変質などが著しくなく、
                      化石や地磁気逆転の痕跡などが保存され、
                      年代がハッキリと分かること、
                    となる。

                    今回の審査は前期更新世と中期更新世の境界のGSSPを決めるもので、イタリアの2地点を含む3つの候補地が名乗りを挙げた。
                    恐竜が絶滅した白亜紀末から前期-中期更新世境界までの約6500万年間のGSSPはすべて地中海沿岸地域に置かれていて、これまで他の地域の地層が選ばれたことがなかった。

                    前期-中期更新世の境界には、生物の絶滅や隕石衝突などの地球全体で同時に起きた証拠があるような明瞭なイベントがない。
                    そのため、地球の歴史にとって大切な時間の目盛りである「松山-ブルン境界」が、この地質年代境界の条件として重要視された。



                    千葉セクション

                    千葉セクションは、千葉県房総半島の中央部を流れる養老川沿いに露出する地層だ。
                    周辺の河川や崖で観測される地層とあわせて「千葉複合セクション」と呼ばれている。



                    房総半島には、「上総層群」と呼ばれる約240万年前から45万年前の海底で堆積した地層が分布することが知られている。
                    千葉セクションはこの上総層群のほぼ真ん中ぐらい、約80万年から75万年前頃の地層だ。
                    上総層群のように、数百万年前以降に海底で堆積した「比較的新しい」地層を陸上で観察できる場所は、とても珍しい。


                    ここの地層には、約77万年前から約13万年前までの時代を象徴する以下のような特徴が記録されていた。
                      ・いちばん最近に起きた地磁気逆転の記録がある。
                      ・気候変動の研究にも大変適している。
                         日本列島は南北に長く、標高差も大きいため、とても多様な植生を有する。
                      ・白尾(びゃくび)火山灰以外にも多くの火山灰が含まれる。



                    チバニアン

                    長い審査を乗り越えて、2020年1月17日に、地質年代名として新たに「チバニアン」が誕生した。

                    「チバニアン」という名前がついた時代は、約77万年前から約13万年前までの期間を指す。



                    地質年代名はGSSPが置かれる場所の地名に由来する言葉から選ぶことになる。
                    「ちば(Chiba)」という地名を選ぶと、慣習に従えば、地質年代名は「チビアン(Chibian)」となる。
                    しかし、この名称では「ちば」の音が残らないし、違和感があるとの反対意見もあった。
                    そこで「チバニアン(Chibanian)」という名称が良いのではと話がまとまり、正式に提案することになったそうだ。

                    探索に行ってみたい人は、市原市のチバニアン・ガイドをぜひご覧下さい。 → こちら



                    参考図書
                      ・「地磁気逆転と「チバニアン」」、菅沼悠介、講談社ブルーバックス、2020年











                    2020.08.18 Tuesday

                    宇宙物理学  地磁気の逆転

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                      ***** 宇宙の構造 (1) 太陽系 > 太陽系の構成員 > 地球 *****


                      過去の地磁気の様子を調べる

                      過去の地磁気の様子はどうやって調べるのだろう?

                      地層や溶岩などの岩石等には過去の「地磁気の痕跡」が刻まれていることがあり、それを「古地磁気」と呼ぶそうだ。
                      地磁気情報が刻まれるメカニズムは「残留磁化」だ。
                      これには「熱残留磁化」と「堆積残留磁化」がある。

                      鉄などの強磁性体はある一定の温度(キュリー温度)を超えると磁性を失う。
                      そして、冷える際にその場所の地磁気の向きを残留磁化として記録する。
                      岩石の中の主要な磁性鉱物である磁鉄鉱のキュリー温度は約580℃だ。
                      火山噴火で溶岩が噴出すると、その溶岩とその下にある粘土層も溶岩に焼かれる。
                      加熱したレンガや陶器なども溶岩と同様に残留磁化を持つ。

                      海底や湖底などに堆積した地層(海底・湖底堆積物)も残留磁化を持つ。
                      磁性を持っている鉱物が、堆積して積み重なる過程で地磁気方向におおよそ沿って固定されるという。


                      原理はそれほど難しくないが、実際の測定や解析はとても難しそうだ。



                      地磁気の強さの変化

                      同じ極性の期間内でも地磁気の強さは常に大きく変動していたそうだ。
                      例えば、過去80万年間を見ると、平均値を100%とすると、大局的には120%から70%ぐらいの幅で変動している。

                           過去80万年間の地磁気の強さの変化 ( 矢印は地磁気エクスカーションを示す)
                           図は東京大学・大気海洋研究所のウェブサイトからお借りしました。 → こちら


                      過去には地磁気逆転に至らずとも、見かけ上の地磁気極が北極または南極から大きく外れるイベントが起きていたことが明らかになってきた。
                      このようなイベントのことを「地磁気エクスカーション」と呼ぶ。
                      発生期間はおおよそ5000年以内と考えられている。

                      地磁気エクスカーションの多くが、地磁気強度の低下する時期に起きる傾向がある。
                      このことは、地磁気の主な担い手である双極子磁場成分が弱まったときに、非双極子磁場成分が相対的に強くなることで引き起こされることを示唆している。



                      地磁気の逆転

                      地磁気の逆転は地球誕生以来何度も起きている。

                      全体として見ると、地磁気の極性に、正磁極と逆磁極のどちらが長い、短いという偏りは認められない。
                      地磁気逆転は外核の対流の不安定性に由来すると考えられるので、基本的にはランダムに起きるはずである。

                      一方で、長期的には地磁気逆転の頻度が時代とともに大きく変わっている。
                      過去80万年間には1度しか起きていないが、過去250万年間では11回以上も起きている。
                      さらに時間をさかのぼった白亜紀には、4000万年ほどの間、地磁気逆転が一度も起きなかった時代があった。
                      数千万年もの長い期間にわたって地磁気逆転が起きず、ひとつの磁性が維持される時代のことを「地磁気スーパークロン」と呼ぶ。


                      地磁気逆転の歴史を「地磁気極性年代表」と呼び、ある程度同じ極性を持つ期間を「磁極期」という。
                      最近の4つの磁極期には、ブルン、松山、ガウス、ギルバート、と地磁気の研究に貢献した先人の名前が付けられている。
                      そして、磁極期の境界をたとえば「松山-ブルン境界」と表すことになった。
                      こうして、地球の歴史の一部として、日本人として初めて松山基範(もとのり)の名前が刻まれた。

                      松山は、地磁気逆転が過去に何度も起きていたことを初めて明らかにした人物だ。
                      ちなみに、地磁気逆転の可能性自体はベルナール・ブルンが先に示唆している。

                           新生代後期(鮮新世以降)の地磁気極性    図はWikipediaからお借りしました。
                           黒い箇所は現在と同じ極性で白い部分は現在と逆の極性  AgeのMaは百万年



                      松山-ブルン境界の全容

                      現在のスーパーコンピュータを使っても、地球ダイナモの完全な再現は成し遂げられていない。
                      いまだに地磁気逆転のメカニズムの詳細は謎に包まれているのだ。
                      しかし、これまでの研究の進展で、いちばん最近の地磁気逆転である「松山-ブルン境界」についてはさまざまな情報が集まってきた。

                      松山-ブルン境界を含めて、地磁気強度が低下する期間全体の長さは約3万年間である。
                      地磁気強度が2度にわたって急激に低下したようだ。
                      それぞれ5000年程度の間に地磁気強度がそれまでの半分ぐらいまで落ちた。
                      地磁気極は、地磁気強度が弱くなったぶん双極子磁場以外の成分(非双極子成分)が相対的に卓越するためか、激しく移動した。
                      地磁気極の大きな移動が始まり、およそ2000年の間に、地磁気極は赤道を通過し、北極へと一気に移動する。
                      地磁気極がもっとも早く移動しているときには、約400年間に60度以上も移動した。
                      しかし地磁気逆転のあとも、地磁気強度はなかなか回復しない。
                      1万年程度は地磁気強度の低い期間が続き、その間は地磁気極の位置も安定しない状態が続く。
                      最終的に松山-ブルン境界の1万数千年後あたりで地磁気強度は急激に回復した。

                      下図の横軸の単位は千年で、右側が時代が古い。

                           地磁気の強さ(緑線)、地磁気極の緯度(黒線)



                      なぜ逆転するのか?

                      地磁気逆転のメカニズムは非常に複雑で、今も解明には至っていない。
                      その大きな理由の一つは、私たち人類が実際に逆転現象を観測したことがないことだろう。


                      マントルとの境界に近い外核の外側で、ときどき小さな領域で逆向きの磁場を作る流れが発生することがあるらしい。
                      そういった流れが消えずに成長を続けると、双極子磁場すべてをひっくり返すことがあると考えられている。
                      つまり、地磁気は勝手に反転するのだ。


                      地球の体積の8割を占めるマントルは、非常にゆっくりだが対流しており、熱を外核から地球表層へと輸送している。
                      プルームと呼ばれる間欠的に起きるマントル下部からの上昇流は、長い時間スケールでのマントル対流の変動に大きな役割を果たしているらしい。
                      このプルームのわき上がりを含めてマントル対流にも周期的な変動があり、そのリズムが約2億年であると考えられている。
                      外核からマントルへの熱輸送が活発になると、外核の対流も活発になり、その結果として地球ダイナモが不安定になる可能性が指摘されている。
                      つまり、マントル対流の活発化は、地磁気逆転を誘発すると考えられるのだ。




                      参考図書
                        ・「太陽と地球のふしぎな関係」、上出洋介、講談社ブルーバックス、2011年
                        ・「地磁気逆転と「チバニアン」」、菅沼悠介、講談社ブルーバックス、2020年











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